15日からの週は、リスク選好の円安と、ドル高が共存した。一連の米経済指標の力強さが米株式市場に評価され、目先の追加利上げ観測や近い将来の利下げ開始時期が後ずれしてきていることなどが、ドル買い圧力となった。特に日本株の好調さとドル円相場上昇が際立った。米著名投資家が日本株買いを進めていることが報じられたことをきっかけに、海外投資家からの日本株への視線が熱くなっているもよう。ドル円相場にとっては、日米金利差縮小観測が後退したことが押し上げ圧力になった面もあった植田日銀総裁は週末の講演で、緩和継続姿勢を堅持した。米債務上限引き上げ問題については、デフォルト回避の見方が一時優勢となり、警戒ムードが後退した。これについては週末21日のバイデン米大統領の会見が注目されている。日経平均がバブル後の高値を更新するとともに、ドル円は138円台後半へと買われている。しかし米債務上限問題についての政府と共和党の担当者レベル協議が決裂したことで、週末の市場で一気にドル売りが入り137円台半ば割れを付けるなど、不安定要素が続く形となった。 (15日) 東京市場は、円売りが優勢。ドル円は先週末の流れを受けて上昇。朝方に135.59近辺まで小反落も、仲値にかけて再び買われて136円をつけた。調整は135.70台までにとどまり午後には日経平均の上昇とともにリスク選好の円売りが加わって136.20台に高値を伸ばした。クロス円も軒並みの上昇。ユーロ円は朝方の147.20台から午後には148円台乗せ。豪ドル円は90.10台を安値に91円台に乗せた。午前中はドル円の上昇に合わせてドル買いが出る場面が見られたユーロドルは、1.0850割れを付けた後、一転して買いが優勢となった。対円でのユーロ買いなどが支えとなった。 ロンドン市場では、リスク選好の動きが優勢。ドル円は東京市場の流れを受けて136.26近辺に買われたあと、いったん利益確定売りに135.80台まで反落。その後再び買われて136.30台を直近高値を更新した。アジア株が午後に貼って買われるなど、リスク選好の動きが優勢。ユーロ円もしっかり。ドル円の上昇もあって朝方に148円台を付けた後、いったん147.60台に反落。その後ドル円が上昇する中で148円台にしっかり乗せ、148.10台を付けた。ポンド円は朝方の調整で169.50近辺で下げ止まると170.30台へと買われた。ドル相場は方向感に欠けた。ユーロドルは1.08台後半での振幅、ポンドドルは1.25台乗せへとやや買われた。週末のトルコ大統領選を受けて、トルコ株安などが見られたが、現政権のトルコリラ安防衛姿勢もあり、為替市場への影響は限定的なものにとどまっている。 NY市場では、ドル買いが一服。ドル円は136円付近での推移。朝方発表になったNY連銀景気指数が予想を大幅に下回ったことでドル売りが強まり、ドル円は一時135円台に値を落としたものの、売り一巡後は直ぐに戻している。ユーロドルは1.08台後半へと上昇、ポンドドルは1.25台を回復した。焦点となっている米債務上限問題で、バイデン大統領と共和党が妥協点を見い出せるのではとの楽観的な雰囲気が市場に広がっているようだ。大統領は先週末に、「デフォルト(債務不履行)を回避するための交渉は進んでおり、交渉担当者は数日のうちに理解をより深めるだろう」と語っていた。大統領とマッカーシー下院議長(共和)らの議会指導者が16日にも再度会談する予定。ただ、バイデン大統領が共和党が要求している歳出削減をどこまで呑むのかを警戒している向きも少なくない。歳出削減が大きいようであれば、景気に影響しかねないと考えているようだ。 (16日) 東京市場は、方向感に欠ける値動き。ドル円は136円を挟む推移で、動意をみせず。前日NY株式市場が債務上限問題などの様子見ムードで動意薄だったことが背景。ユーロドルは1.0868-1.0885の狭いレンジ取引にとどまった。アジア株は比較的堅調で始まったが、中国鉱工業生産、小売売上高、不動産投資などの指標が市場予想を下回ったことで、中国売りの動き。対中輸出の大きい豪ドルなどでも売りが出ており、豪ドルドルは0.6700を挟む推移から0.6670台へと軟化。豪ドル円は91.26近辺を高値にから90.70台へと下押しされた。ドル人民元は6.96台乗せ、上海総合が小幅マイナス圏と、中国売りの動きがやや優勢。 ロンドン市場は、ドル売り先行も続かず。米債利回り低下とともに、ドル円は135.70付近に軟化、ユーロドルは2営業日ぶりの1.09台乗せとなる場面があった。その後は、ドル円は135.90台まで上昇、ユーロドルは1.0880付近へと買い一服。ポンドドルは振幅。英雇用統計は失業保険申請が予想を大きく上回ったことに加え、失業率が悪化するなど弱めの結果となった。英中銀による追加利上げ期待は継続しているものの、慎重な見通しがやや強まる形でポンド売りとなった。対ドルでは1.25台割れから1.2460台まで下落。しかし、その後はショートカバーが入ると1.2550手前まで反発した。豪ドル/ドルは朝方に0.6660台まで一段安となった。しかし、その後は下げ一服となり、0.66台後半で揉み合った。 NY市場ではドル買いが優勢。朝方発表の4月の米小売売上高はガソリンと自動車を除いた指数が予想を上回り、堅調な個人消費を示した。それを受けて為替市場は米債利回り上昇とともにドル買いで反応した。また、本日じゃ米債務上限問題でバイデン大統領とマッカーシー下院議長(共和)ら議会指導者らが再度会談するが、市場では妥協点を見い出せるとの楽観的な雰囲気が広がっている。マッカーシー議長は何も進展がないと強硬姿勢を堅持しているものの、バイデン大統領からは楽観的な発言も聞かれている。ドル円は136円台半ばに再浮上した。ユーロドルは1.08台半ばまで一時下落。ポンドドルは1.24台へと再び軟化。この日発表の5月のZEW景気指数がマイナス10.7に低下し、12月以来のマイナス圏に転じた。英国1-3月の平均失業率は3.9%に上昇し、雇用者数は2021年初頭以来の前月比での減少となった。給与の伸びは加速したが、賞与を除く週平均賃金の伸びは予想を下回っていた。欧州通貨売り圧力が側面からドルを下支えした面も。 (17日) 東京市場は、ドル買いとともに円売りが進んだ。昨日の米小売売上高の結果を受けて、30日物FF金利先物市場での6月の利上げ期待が22%程度まで戻ってきており、ドルを支えた。このところの警戒材料であった債務上限問題について、楽観姿勢が見られていること、バイデン大統領がG7に向けて移動中で新規の材料が出にくいことなどが、リスク警戒後退につながっている面がある。また日本国債の利回り低下による円売りも見られた。10年国債は直近370回債で0.352%台と中心限月としては4月初め以来の低水準まで低下。370回債としては最も低い水準となっている。ドル円は136.80台へと上昇。ユーロドルは1.0850付近まで下落。ユーロ円は朝の148.00台から148.50台に上昇。ポンド円は朝の170.10台から170.60前後に上昇、円が全面安となっている。 ロンドン市場は、ドル買いが優勢。前日NY市場で米小売売上高が発表されたあとの流れが継続している。ドル円にとっては新発長期債利回りが低下したことが円売りにつながった面も指摘される。ロンドン時間に入るとユーロやポンドがドル買いを主導。ユーロドルは1.08台後半から1.0820付近へ、ポンドドルは1.24台後半から1.2420付近へと安値を広げた。ドル円は137.00付近の売り注文で売買が交錯したあと、137円台乗せから高値を137.17近辺まで伸ばした。ただ、137円台では売りに押されており137円挟みで売買が交錯している。クロス円はまちまち。ユーロ円は148.60台に高値を伸ばしたあとは148.10台まで一時反落。一方、ポンド円は170円台前半での揉み合いから170.70付近へと底堅い値動き。ユーロポンドは買い先行も、その後は売りに押されており、足元ではポンド買いに分がある。ハント英財務相やベイリー英中銀総裁などがインフレ抑制に強い決意を示したのに対して、デコス・スペイン中銀総裁は「ECBの引き締めサイクルの終わりに近づきつつある」との認識を示していた。 NY市場では、米債務上限問題の行方に楽観的ムード広がった。ドル円は一段と上昇。前日のNY市場の流れを引き継いでドル買いが優勢となる中、ドル円は137.50台へと上昇。市場は米債務上限問題の協議の行方を見守っているが、議会指導者とバイデン大統領が合意に達し、デフォルト(債務不履行)を回避できるとの楽観的ムードが広がっており、円安の動きもドル円をサポートしたようだ。バイデン大統領、共和党のマッカーシー下院議長が会見を行っており、「デフォルトにはならないと確信。21日に会見を開く予定だ」と述べた。一方、マッカーシー下院議長は昨夜、スタッフレベルの債務上限交渉に少し参加したことを明らかにしたうえで、「今週中の合意は可能だ」と述べていた。ユーロ円は149円台乗せ、ポンド円は172円付近まで買われた。ユーロドルは1.08台前半まで一時下落。その後、1.08台半ばに向けて下げ渋った。ポンドドルはロンドン時間に1.24台前半まで下落したが、NY時間に入ると1.25台まで買い戻され、下げを解消した。 (18日) 東京市場は、ドルが底堅く推移。ドル円は序盤に137.29近辺まで下押しされたあとは、日経平均の大幅高とともに上昇。午後には137.74近辺まで高値を伸ばした。ユーロ円は149円を挟んだ振幅。ドル円と同様に下に往って来いとなった。ユーロドルは午後に入ってジリ安となり、1.0827近辺まで弱含んだ。豪ドルは軟調。午前に発表された4月豪雇用統計が弱かったことで、豪中銀による追加利上げ観測が後退したことが背景。豪ドル/ドルは0.6632近辺まで、豪ドル円は91.10近辺まで下落する場面があった。 ロンドン市場は、ドル買いが優勢。ドル円は序盤に米債利回り上昇とともに137.94近辺まで高値を伸ばし、年初来高値を更新した。ただ、138円台乗せの勢いには欠けて137.70-80レベルに高止まりしている。ユーロドルは東京午後からの下落の流れを受けてロンドン午前に1.0806近辺まで安値を広げている。ポンドドルも売られ続けており、安値を1.2426近辺に更新した。ドル全般に買われており、ドル指数は3月27日以来の高水準となっている。5月に入ってからはドル買いが優勢だが、米雇用統計、米物価統計、そして今週の米小売売上高と米景気動向の強さが示されたことが市場での追加利上げ観測につながっていることがその背景として指摘される。また、植田日銀体制が緩和継続を表明していることや、米債務上限問題についての楽観的な見方が広がっていることがドル円相場を押し上げている面もある。昨日の米株上昇に続いて、きょうも各国株式市場が堅調に推移している。 NY市場では、ドルが一段高。この日発表のフィラデルフィア連銀指数などの米経済指標が予想を上回ったほか、ローガン・ダラス連銀総裁の発言を受けて短期金融市場で6月の米利上げ確率が上昇し、ドル円は上げ幅を伸ばした。総裁は「まだ利上げ停止の論拠が見当たらない」と述べていた。米債務上限問題に関しては何も具体的な進展は伝わっていない。しかし、市場は楽観的なムードが広がっている。その点はリスク選好の円安材料。ドル買い・円安の二重の追い風の中で、ドル円はしばらく上値を試すのではとの期待につながっていた。引けにかけて138.70付近まで高値を伸ばした。ユーロドルは重要なサポート水準である1.08をブレイク。一時1.0765付近まで下落した。ポンドドルは一時1.23台に下落した。 (19日) 東京市場では、ドル円が上値重く推移。前日海外市場ではドルが買われたが、東京朝方には利益確定とみられる売りで一時138.28付近まで軟化した。4月の日本消費者物価指数で生鮮食品とエネルギーを除くコアコアが1981年9月以来およそ42年ぶりに4%台を突破し、日銀の緩和修正観測から円買いが優勢となったことも、ドル円の下押し要因となった。東京終盤には再び138.15付近とこの日の安値を小幅に更新。ユーロ円も午後に149円割れに沈み、一時148.91付近まで下落した。ユーロドルは、午前に前日安値を下回る1.0760付近まで弱含んだが、値幅自体は限定的。 ロンドン市場は、ドル安と円安の動きが再燃している。ドル円は137.97レベルと一時138円台割れとなるも、すぐに138円台前半に下げ渋った。クロス円は東京市場での下落から反発。ユーロ円は148.75レベルまで下落したあとは、足元で149.30付近まで反発。ポンド円も171.25近辺まで下落したあとは172円手前水準まで買い戻されている。さらに堅調なのがオセアニア通貨で、NZドル円は東京朝方につけた高値を上抜けて、足元では86.80付近に高値を更新している。豪ドル円も91円台後半で底堅く推移するなかで、一時91.98レベルに本日の高値を更新した。ユーロドルは一時1.08台乗せ、ポンドドルは1.24台前半に高値を伸ばすなど、前日海外市場での下げから反発している。欧州株が堅調に推移しており、独DAX指数は最高値を試す展開となっている。また、東京市場では全国CPIの上昇が日銀金融政策修正観測につながって円が買われたが、東京夕方の植田日銀総裁講演では緩和継続姿勢が微動だにしなかったことで円が売り戻された面もあったようだ。 NY市場序盤でドル高が優勢となり、ドル円は18日NY市場夕方からきょうの東京朝にかけての138円70銭台に迫る138円65銭を付けた。米債務上限問題に対する楽観的な見方が広がり、リスク選好の動きとなった。しかし、米債務上限問題について米政府と議会共和党の非公式協議が決裂し、同問題への懸念が一気に再燃する形でドル売り円買いとなった。ドル円は138円60銭前後から137円43銭まで急落した。下げ一服後は買い戻しが入り、138円台を回復するなど、ドル高円安基調が継続しているものの、債務上限問題が強まる中でのドル円ロングポジションの維持への警戒もあり、上値が抑えられた。ユーロ円などクロス円でもリスク警戒の円買いが広がった。ユーロ円はドル円の上昇などに支えられて朝方149円80銭前後を付けた。その後少し下げて債務上限問題での急落となり、148円70銭台と高値から1円超の下げとなっている。 MINKABU PRESS
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