きょうのNY為替市場、ドルは戻り売りに押され、ドル円は一時139円台前半まで急速に下落した。この日発表になったISM非製造業景気指数を受けて、為替市場ではドル売りが強まっている。ISM指数は50.3と判断基準の50寸前まで低下し、これまで力強さを維持していた米サービス業の景況感にも黄色信号が点灯し始めていることが示された。仕入れ価格も2020年5月以来の低水準。 市場は先週末の米雇用統計を受けて、来週のFOMCは据え置きを有力視しているものの、7月は追加利上げを見込んでいる。本日の数字はFRBが一旦様子を見る必要があることを促す内容。短期金融市場では6月FOMCでの据え置きの確率が80%まで上昇している一方、7月までの利上げ確率は65%に低下している。このところの上昇でドルの上値が重くなっていただけに、一気に見切り売りが出た格好。 ドル円は上値追いの動きを強めているものの、昨年のように150円を目指す展開になると見ている向きは少ない。もう1、2回の利上げはあるかもしれないが、米利上げサイクルの終焉が見えている中で、金融政策面から積極的に上値を追う材料には乏しいという。株高などリスク選好が強まれば、円安がドル円を押し上げるシナリオも考えられるが、現状からはそこまでの雰囲気はない。142円辺りをひとまず上値メドと見ているようだ。 ユーロドルは1.07ドル台に買い戻されている。ここ数日、ユーロドルは1.06ドル台に下落するものの、下押しできずに下値も固くなっていた中、この日のISM指数は都合の良い買戻しの材料となったようだ。 きょうはラガルドECB総裁が欧州議会で証言を行っていたが、インフレ圧力はなお根強く、金利を一段と引き上げる必要があるとの認識を示していた。基調インフレがピークに達したことを示す明確な証拠は見られないとの考えを改めて示し、食品インフレも高止まりしていると述べている。 ECBは来週6月15日に理事会を開催し、利上げを実施すると見られている。ラガルド総裁の発言はその期待を追認するものであるが、市場は十分に織り込んでおり、それ以降の追加利上げに関心が移っている。市場からは、ECBの政策がユーロに一段の上昇余地を与える見込みは薄いとの声も聞かれる。ECB理事の一部が、今後の利上げは小幅に留まる可能性に言及していたことを理由に挙げ、追加利上げに対する抵抗が今後強まることが予想されるという。 そのうえで、ユーロドルが再び上昇軌道を回復するためには、FRBの金利見通しがより一層慎重になる必要があるとも指摘した。 ポンドドルも1.24ドル台半ばまで買い戻されている。本日の21日線が1.2460ドル付近に来ているが、その水準には慎重なようだ。市場からは、英賃金の伸びを抑制するには労働者の増加だけでなく、利上げが必要になるとの指摘が出ている。英求人件数が最近減少していることは、労働力不足による賃金上昇圧力がピークを過ぎたことを示唆しているという。 しかし、賃金上昇率が現在の前年比5.8%から英中銀のインフレ目標2%と合致する3.0-3.5%に減速するには、さらに求人件数が減少する必要がある。その引き金となるのは、労働供給が大幅に増加することかもしれないが、労働に対する需要が弱まることがより必要だという。そのために英中銀はさらに金利を引き上げ、現在の4.50%から5.25%にする必要があるとの考えを示した。 ISM非製造業景気指数(5月)23:00 結果 50.3 予想 52.5 前回 51.9 事業活動 51.5(52.0) 新規受注 52.9(56.1) 雇用 49.2(50.8) 入荷水準 47.7(48.6) 仕入価格 56.2(59.6) 輸出 59.0(60.9) 輸入 50.0(51.3) ()は前回 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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