【前週のレビュー】NY原油は12月限は92.28ドルを高値に修正波入りした可能 性が高まっており、80.61ドルの安値を割り込むような下落で底入れするのか、あ るいはそれを下回らずに80ドル台で広めのもみ合いでペナントを形成するのかを見極 めることが目先のチャート上の焦点となるとした。 【NY原油は80ドルを巡る攻防か】 まず最初に前回の当欄について修正したい。ニューヨーク原油12月限の直近の安値 は10月5日の80.61ドルではなく、6日の80.20ドルだった。同限月は11 月1日には80.30ドルの安値を付けており、ほぼ全値押しを達成した。 ここでV字型の切り返しとなれば、前回の当欄で記した80ドル台でのペナント形成 の可能性はまだ残るが、仮に底割れして80ドル台を維持できないようであれば、直近 の80.20ドルから89.85ドルの上げ幅に対する下落の拡大波に発展する可能性 があり、1.618倍押しの74.24ドル辺りまで下値余地が拡大することになる。 その前に1.236倍押しの77.92ドル、1.382倍押しの76.51ドルも重 要な下値メドとなる。 世界銀行の150ドル説はともあれ目先の80ドルの節目を巡る攻防が、今冬の相場 の山の高さに大きく影響することになりそうだ。 材料的には、イスラエルとハマスの交戦はさらに悪化の一途をたどりパレスチナ民間 人に大量の犠牲者を出しているが、原油相場の材料としての強気のインパクトは低下し ている。イランの最高指導者ハネメイ師が中東産油国に対してイスラエルへの石油・食 品を禁輸するように呼び掛けたことで一時的に上昇する場面もあったが、現時点では他 の中東産油国が足並みを揃える気配はない。やはり大きく買われるためには何らかの供 給障害懸念が浮上する必要がありそうだ。 また注目の1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では金利据え置かれたが、利上 げの可能性も温存してタカ派的色彩を残すものとなった。ただ米10年債利回り低下な どで、米株高、ドル安が進展したこともあり、原油も直近は安値から切り返している。 独自要因としては、世界銀行が30日のリポートで中東情勢の緊迫化が続けば最大で 157ドルまで急伸する恐れを指摘したり、国際エネルギー機関(IEA)のビロル事 務局長が31日のインタビューで100ドルを超える可能性を指摘するなど、原油高を 煽るような記事が出ているが、現在のところ相場は「冷静」である。 ただ、世界銀行の予測は、1973年のアラブ石油禁輸に匹敵する「大規模な混乱」 を前提としたもので、世界の石油供給が日量600万〜800万バレル縮小し、原油価 格は140〜157ドルとしているが、直近の今年第4・四半期は90ドルの予想とな っている。 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は安値から切り返す展開で、再び3万 3000ドル台を回復している。 ドルインデックスはFOMCの発表前は107ポイント台に迫っていたが、その後は ドル安なり106ポイント台前半まで軟化している。 【10月のOPEC原油生産量、3カ月連続の増加】 ロイター通信によると、10月の石油輸出国機構(OPEC)加盟国の原油生産量は 前月比18万バレル増の日量2790万バレルとなった。これで3カ月連続の増加とな る。サウジアラビアは協調減産と自主減産を続けているが、ナイジェリアとアンゴラの 生産量が増加したという。 【東京原油、ガソリンのテクニカル分析】 東京原油先限はこれで維持していた21日移動平均線でもあるボリンジャーバンドの 中心線(7万0310円辺り)や7万円台を割り込んだ。 ガソリン先限は名目値で7万7000円に反発して、21日移動平均線でもあるボリ ンジャーバンドの中心線(7万6480円辺り)を上回った。 【NY原油のテクニカル分析】 ニューヨーク原油12月限は1日、一時戻す場面もあったが、結局安値を更新して日 足は上ひげ陰線引け。80ドルの節目、ボリンジャーバンドの−2シグマ(79.36 ドル辺り)が次の下値もメドとなる。 MINKABU PRESS *投資や売買については御自身の判断でお願いします。
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