【市場は利下げ織り込みも上値の重さが予想されるNY金市場】 NY金2月限は12月13日に大きく値を伸ばした後は2050ドルを前後する足取 りが続いている。12月4日に過去最高値となる2152.3ドルに達したことで目先 の上げ一巡感強く上値は重いながらも、織り込まれている米連邦準備理事会(FRB) による来年早々の利下げ着手観測が下値を支え、高値圏を維持している。 CME Fedwatchによると来年1月の公開市場委員会(FOMC)における 利下げ着手を見込む比率は14.5%と低い水準にとどまっている。3月の利下げ着手 を見込む比率は86.3%にまで上昇している。12月FOMCが予想以上のハト派と なったことで、大半が利下げ着手を見込むまでに強まっていることが示されている。 実際、12月FOMC後にはごく初期段階とされながらも利下げ着手に関する話し合 いが行われたことが明らかになったうえ、今後の利上げについては「any」という言葉 が用いられ、もしあったとしてもというスタンスが示された。また、パウエルFRB議 長も現在の金利はピークまたはその近くに達している、との見解を明らかにしている。 これらが組み合わさってFOMCは予想以上のハト派との見方が広がった。 とはいえ、現在の金利がピークもしくはその近辺にある、パウエル議長の見解は、こ れ以上の利上げには否定的ながらも、利下げ着手を示唆しているわけではない点には注 意が必要だろう。特に米経済指標からはインフレ鈍化傾向が継続している様子が示唆さ れながらも、インフレの底堅さが示されている点には注意が必要だろう。 11月消費者物価指数(CPI)は、そのほとんどが賃金から構成されるスーパーコ ア部門の前月比が10月に記録した+0.2%から0.4%に上昇しておりコア部分で は依然としてインフレ圧力が底堅い様子が示されている。また、変動が激しいエネルギ ーと食品を除いたコアCPIの前年同月比は事前予想に一致したことでサプライズには ならなかったものの、前月と変わらない+4.0%となっておりインフレ鈍化の傾向が 見られないばかりか、FRBが目標とする2.0%の2倍となっている。 11月の総合CPIの前年同月比も10月時点の+3.2%から+3.1%へと僅か に鈍化したに過ぎない。総合CPIの前年同月比は今年1月には6.4%を記録してい たが、その後、急速に低下して6月には3.0%と3%台に達した。ただ、それ以降は 3%台での推移が続いている。 1月から6月にかけては毎月1%の低下が見られていただけに、3%台に達した後の 鈍化ペースの鈍さが際立っており、2%というFRBの目標到達までにはかなりの時間 を要する可能性を窺わせている。 インフレ鈍化の鍵となるのは賃金の上昇を招いている米雇用情勢だが、米雇用統計も 強弱入り混じる内容の発表が続いている。求人件数が減少傾向を保っていることから、 雇用情勢も緩和傾向を継続すると予想されるがFRBの利下げ着手を正当化するだけの 緩和が見られる必要がある。雇用者数の増減と同時に賃金の動向がその要因となりそう で、今後もこれらの要因への注意が必要になっている。 利下げ期待により過去最高値まで値位置を切り上げたことで利下げを織り込んだ感が 強く、現在も利下げ着手期待に支えられるNY金だが、その着手の時期は現在市場が想 定しているよりも先となる可能性もある。FRBの姿勢がハト派に転換したことは金価 格の支援要因ながら、ここから先の上げ幅はしばらくの間は抑制されそうだ。 MINKABU PRESS
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