【2023年から見る2024年度の金市場の展望】 NY金2月限は12月21日まで2040ドル台半ばを抵抗線としてもちあっていた が、その後、一段高となり、2050ドルを突破。その後も値位置を切り上げ、27日 時点では終値べ—スで2060ドル台に達している。 今年のNY金相場の大きな特徴は過去最高値を更新したことが挙げられる。今年の取 引を1836ドル台で開始したNY金は、5月にかけて浮上して2041.4ドルまで 上昇しながらもその後、再び軟化。10月上旬には1809.4ドルまで値を落としな がらもその後は大きく値位置を切り上げて12月4日には過去最高値となる2130. 2ドルを記録。その後は修正を入れながらも再び地合いを引き締め、過去最高値に値位 置を近づけている。 この金の足取りに大きな影響を与えたのが米国の金融政策だ。今年1月の公開市場委 員会(FOMC)で決定されたフェデラルファンドレートは4.25〜4.50%だっ たが、その後は引き上げが続き5月に5.00〜5.25%に引き上げられた後にいっ たん据え置かれた。7月のFOMCで再び引き上げられて5.25〜5.50%に達し た後は据え置きが続き、22年3月からの利上げサイクルがここでピークに達した可能 性が示されている。 実際パウエルFRB議長も現在の金利がピークかそれに近い水準にあるとの見解を示 しているほか、FOMC議事録でも今後の利上げについては「もしあれば」という表現 が付け加えられており、今後の利上げの可能性はほぼない、との見方が強い。 来年3月の利下げ着手を大方が見込むなど利下げが織り込まれていることがNY金を 押し上げる主因となっている。ちなみにFedwatchによると、3月FOMCでの 利下げを見込む比率は87.6%に達している。 実際には米消費者物価指数(CPI)のコアは11月時点では4.0%とFRBが目 標とする2%を大きく上回っているうえ、スーパーコアも前月を上回るなど、インフレ がFRBの目標に向かって完全に沈静化しているとは見られない。しかしながら、求人 件数が減少傾向を維持していることで、雇用情勢は次第に軟化に向かう可能性が高い。 短期的には引き締まりと緩和を繰り返しながらも、次第に緩和に向かうと想定されるこ とが、利下げ着手見通しの根拠になっていると見られる。 また、利上げによる米財政悪化に対する警戒感も利下げ着手見通しの根拠の一つとな っている。米財務省によると2023年会計年度の財政収支における赤字額の国内総生 産(GDP)に対する比は前年度の5.4%から6.3%に増加したが、これは利払い 拡大が影響したとされている。 金利を引き上げることによって米債券に対する利払いが増加しこれが米財政悪化を促 す結果、米国では債務上限問題がたびたび浮上し、デフォルト回避に向けた動きが見ら れている。 米債務上限問題とこれにより発生するデフォルトの可能性はドルに対する信認の低下 を招き、これが中央銀行による金購入の動きを促す要因になっている。 さらに、ウクライナとロシア、パレスチナ問題など地政学不安も安全資産を求める要 因になり得るなど、金市場を巡る環境は強気が意識される要因が目立つ。 NY金が年末にかけて再び地合いを引き締めて過去最高値に迫る動きを見せているの は、2024年の米金融政策の転換とこれを受けたドル安、そして安全資産としての金 需要の高まりを背景にしたものであり、2024年の金の堅調さを示唆するものとなり そうだ。 MINKABU PRESS
みんなの株式をはじめ、株探、みんかぶFX、みんなの仮想通貨など金融系メディアの 記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコン テンツなど幅広く提供しています。