金・銀週間展望=堅調、米国債の利回り低下やドル安が支援

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [1月1日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2024 年 10 月限  12 月 25 日〜 12 月 29 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金           9,374     9,528 (28)    9,370 (25)      9,419          +41
  銀           114.3     114.3 (27)    113.2 (27)      113.2         -1.1
 プラチナ       4,370     4,519 (29)    4,359 (25)      4,515         +145
 パラジウム     5,500     5,500 (27)    5,300 (29)      5,300        -200
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
        28  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       ( 2) 2,083.5     +14.4   | ドル・円    141.29      1.07 円高
  銀       ( 3) 2,437.2     -19.3   | 日経平均  33,464.17      +295.12
 プラチナ   ( 4) 1,023.2     +29.5   | NY原油 ( 2)  71.77        -1.79
 パラジウム ( 3) 1,140.20    -83.50  |* ドル・円は15時15分現在、原油は 28日
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【前回のレビュー】
 金は米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待が支援要因、とした。
 金は米個人消費支出(PCE)デフレータでインフレの伸びが鈍化したことや米国債
の利回り低下、ドル安を受けて堅調となった。現物相場は4日以来の高値
2088.21ドルを付けた。金先限は7日以来の高値9530円を付けた。
 11月の米個人消費支出(PCE)デフレータは前年比2.6%上昇し、伸びは前月
の2.9%から鈍化した。伸びが3%を下回るのは2カ月連続。12月のリッチモンド
連銀製造業指数はマイナス11となり、前月のマイナス5から予想外に悪化し、4月以
来の低水準となった。事前予想はマイナス3。米新規失業保険申請件数は1万2000
件増の21万8000件となった。2週連続で増加し、労働市場が減速している可能性
を示したが、歴史的な低水準付近にとどまっていることから労働需要は堅調とみられ
た。米連邦準備理事会(FRB)の3月利下げの見方が強いなか、米国債の入札がおお
むね好調な結果となった。米5年債入札の最高落札利回りは3.801%と、5月以来
の低水準となった。ただ米7年債入札は最高落札利回りが発行日前利回り(WI)を上
回った。米10年債利回りは3.79%と7月19日以来の低水準を付けた。一方、米
資産運用会社ブラックロックのグローバル債券担当チーフインベストメントオフィサ
ー、リック・リーダー氏は、債券市場は来年の米FRBの利下げに過度な期待を寄せて
いるとの認識を示した。同氏はインタビューで、市場は米FRBが早ければ3月から計
150ベーシスポイント(BP)の利下げを開始するとみているが、これは行き過ぎだ
と指摘した。
 フランスの海運会社「CMA CGM」は26日、スエズ運河を運航する貨物船を増
やしていると明らかにした。デンマークの海運大手APモラー・マースクは27日、今
後数日から数週間の間にスエズ運河と紅海を経由してコンテナ船を数十隻運航すること
を計画しているとした。イエメンの親イラン武装組織フーシ派による攻撃を受け、海運
各社は紅海での運航を一時停止したが、米国主導の多国籍部隊による商船保護を受けて
運航再開を明らかにした。ただイランの最高指導者ハメネイ師が、イスラエルによるイ
ラン革命防衛隊のムサビ上級軍事顧問の殺害を受けて、革命防衛隊やイラン軍に報復許
可を与えた。イスラエルの「主要な動脈を狙う計画が準備されている」とされ、中東情
勢の行方を引き続き確認したい。
【金ETF残高は増加】
 世界12カ国に上場している金ETF(上場投信)の現物保有高は28日時点で
1076.97トンとなり、前週末比2.11トン増加した。米国で2.30トン増
加、英GBSで0.01トン、英ETFSで0.18トン減少した。米連邦準備理事会
(FRB)の利下げ期待を受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会
(CFTC)の建玉明細報告によると、12月19日時点のニューヨーク金の大口投機
家の買い越しは20万1339枚となり、前週の18万8233枚から拡大した。今回
は新規買いが7436枚、買い戻しが5670枚入り、1万3106枚買い越し幅を拡
大した。
 日銀が公表した金融政策決定会合の「主な意見」で、2%物価目標の実現の確度がさ
らに高まってきているとして「金融正常化のタイミングは近づいている」とする意見が
出る半面で、早期の政策修正に慎重な意見が複数出るなど、政策修正のタイミングを巡
ってメンバー間で意見の隔たりがあることが明らかになった。一方、植田日銀総裁は政
策転換のタイミングについて、中小企業の賃金データが完全に出ていなくても「ある程
度前もっての判断」は可能だとの考えを示した。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ
期待も強く、円が買い戻されやすくなった。円高が続くようなら、金先限の上値を抑え
る要因になるとみられる。
【銀はドル安も戻りを売られる】
 銀の現物相場は、米国債の利回り低下やドル安が支援要因になる場面も見られたが、
米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げ織り込みに対する警戒感から戻りを売られて
上げ一服となった。28日に米国債の利回りが上昇すると、戻りを売られた。今後発表
される経済指標と金融政策の見通しを確認したい。
 28日のニーヨークの銀ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比42.72トン
減の1万3631.58トンとなった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建
玉明細報告によると、12月19日時点のニューヨーク銀の大口投機家の買い越しは
2万9751枚となり、前週の2万8458枚から拡大した。買い戻しが手じまい売り
を上回った。
当面の予定(イベント・経済統計)
1日 ●新年
2日 ●ニュージーランド
   中国製造業購買担当者景況指数 2023年12月(財新)
   中国製造業購買担当者景況指数 2023年12月確報(Markit)
   米建設支出 2023年11月(商務省)
3日 独雇用統計 2023年12月(連邦雇用庁)
   米製造業景況指数 2023年12月(ISM)
   米FOMC議事録公表 12月12-13日(FRB)
   米新車販売台数 2023年12月(Autodata)
4日 中国サービス業購買担当者景況指数 2023年12月(財新)
   ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数 2023年12月確報(Markit)
   独消費者物価指数 2023年12月速報(連邦統計庁)
   全米雇用報告 2023年12月(ADP)
   米新規失業保険申請件数(労働省)
5日 独小売売上高 2023年11月(連邦統計庁)
   ユーロ圏消費者物価指数 2023年12月速報(EUROSTAT)
   ユーロ圏生産者物価指数 2023年11月(EUROSTAT)
   米雇用統計 2023年12月(労働省)
   米耐久財受注 2023年11月確報値(商務省)
   米製造業新規受注 2023年11月(商務省)
   米非製造業景況指数 2023年12月(ISM)
   建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
※投資や売買については御自身の判断でお願いします。

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