【年内利下げ着手観測や逃避買い需要を受け年初のNY金は引き続き底堅い】 NY金2月限は昨年12月28日に2098.2ドルまで浮上した後にやや値を落と しながらも2070ドル台を維持して年末の取引を終えた。2024年を迎えると地合 いは軟化傾向を強めており3日は2038.3ドルと昨年12月19日以来の水準まで 値を落とした。ただ、4日の夜間取引は2050ドル台を回復しており、地合いの底強 さを示唆する足取りを演じている。 今年は年の早い段階で利下げ着手が見込まれていることが金市場を支える要因となる なかで、強い足取りを演じることが予想される。米経済指標もディスインフレ傾向を示 唆しており、連邦準備理事会(FRB)のインフレ目標率である2%に近づく動きが見 られる可能性が高まっているからだ。 インフレの動向を端的に示す指標として消費者物価指数(CPI)が注目されるが、 米国の総合CPIの前年同月比は、昨年6月時点で+3%台まで低下した後は11月ま で+3%台での推移が続いている。昨年1月の総合CPIは+6.4%で、その後の5 カ月目で3%台まで低下しているが、6月から11月にかけての5カ月間は+3%台で の高下が続いており、ここからのインフレ率低下が難航している様子が浮き彫りとなっ ている。 一方、総合CPIから食料・エネルギーを除いたコアCPIの場合、更に下げ渋りの 様子が顕著となっている。というのも、総合CPIは昨年だけで3%超の低下を見せた ものの、1月時点で+5.6%だったコアCPIの前年同月比は10か月後の11月時 点で+4.0%となっており、1.6%の低下にとどまっているからだ。 また、コアCPIも6月〜11月間は4%台での推移が続いており、4%台に到達し てから下げ渋りの様相を強めている。 コアCPIにはほぼ賃金で構成されるサービス部門が含まれているが、その下げ渋り は米雇用情勢のひっ迫状況がインフレ率を下支えしてきていた様子を示しているといえ るだろう。 11月発表分から米雇用情勢には緩和傾向を示す内容が見受けられている。求人件数 の減少が続き、非農業部門雇用者数が伸び悩むようであれば米雇用情勢緩和感が強まり 利下げ期待が更に強まることが予想されるだけに、NY金市場には押し上げ圧力が強ま ることになるだろう。 ただ、市場は今年は0.25%ポイントずつ6回以上の利下げの可能性を織り込んで いるが、公開された12月公開市場委員会(FOMC)では高金利環境の長期据え置き が正当化されるケースも想定される、との声が聞かれていたことが明らかになってお り、市場が期待するほど早い段階での利下げ着手が行われるかどうかに関する見通しに は不透明感が強い。 新年早々のNY金の下落は利下げ着手を織り込んだ後の修正から迎えたと見られる が、今週は米国で雇用関連の経済指標の発表が見られることから、米雇用情勢が緩和傾 向を継続しているかどうかを確認したい。 なお、明らかな雇用情勢の緩和が確認出来なかったとしてもNY金が大きく崩れる可 能性は低いと見られる。今年末までの利下げ着手の可能性が高いことに加え、米財政悪 化や地政学不安は投資用としての金需要を喚起しているからだ。 昨年12月に過去最高値に達した後で上昇に対する抵抗が強まっていると見られるた め上げ余地は限られてきそうだが、金を巡る環境が金価格をサポートする要因となるな か、しばらくの間、NY金は2050ドル前後という値位置を維持する足取りを展開す ると見られる。 MINKABU PRESS
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