【こう着状態を脱するも上値の重さが残るNY金市場】 NY金4月限は1月16日から17日にかけて値を崩し、17日に2024.2ドル と昨年12月13日以来の水準まで値を落とした。その後は持ち直したが2050ドル を上値抵抗線とするこう着状態が続いた。30日の取引で終値ベースでの2050ドル 台を回復し、31日も値位置を切り上げて2050ドル台後半に達した。 2050ドル以下でのこう着状態が続いたのは、17日に発表された12月の米小売 売上高が前月比0.6%増で市場予想の0.4%増を上回ったことを受け、物価高傾向 が維持されながらも個人消費が旺盛だったことが明らかになったことが利下げ期待を後 退させたことがきっかけとなった。 その一方で米連邦準備理事会(FRB)による早期利下げ観測は後退しながらも、利 下げに向けた方向性に変化はない、との見方が強まっていることが下値を支えた。同時 に金需要が増加していることも、金価格の下値を支える要因になったと見られる。 ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)発表の2023年の世界の金総需要量は 前年度の4751.9トンを3.1%上回る4898.8トンに達していたことが明ら かとなった。公的部門の需要が前年比を下回りながらも2年連続で1000トン台を記 録したことなどが背景となった。 公的部門の金需要が増加した原因は、FRBによる急激な利上げを受けて自国通貨防 衛のために外貨準備高が縮小したことに加え、米財政悪化やこれに伴うドルへの信認が 低下したことで安全資産を求める動きが活発化したことにある。 FRBによる利下げの方向性が見込まれることは、公的機関が安全資産として金を求 める動きを後退させる可能性はあるが、早期利下げ観測が和らいでいることはドルの高 止まりを招いているだけに、引き続き公的機関は金に対して根強い需要を見せる可能性 が高い。 これに加え、依然としてパレスチナ情勢が懸念されるなどの地政学不安も安全資産を 求める動きを支えている。 これらの逃避買い需要を受けてNY金4月限は底堅く推移し、2020ドルを割り込 むことなく30日の浮上に向かい、目先の下値を固めた感が強まった。 米経済指標は、1月25日発表の米23年第3四半期国内総生産(GDP)の前期比 は事前予想の+2.0%を上回る+3.3%を記録しており、前述の小売売上高と同様 に個人消費を中心とした米景気の堅調さを示唆していることが重石になるが、一方でF RBがインフレ指標として注目する12月コアデフレータ−の前年同月比は+3%を割 り込んで+2.9%を記録しており、米国のインフレ率が低下傾向にあることを示すな ど、強弱入り混じる内容となっている。 これらの経済指標を受け、30〜31日にかけて開催された公開市場委員会(FOM C)では金利の据え置きが決定され、その後の声明でも確信に至るまで利下げを決定す ることは無い、とのパウエルFRB議長の発言があったが、その一方で良好なデータが 確認出来れば迅速に対応する、との見解も示したことで3月FOMCでの利下げ着手が 見送られても、5月FOMCでの利下げ着手の可能性が高まったとみられる。 CMEのFedウォッチは3月利下げを見込む比率は34.5%であるのに対し、5 月利下げ着手を見込む比率は100%に達した。5月利下げ着手を完全に織り込んだ形 であり、今後も利下げ着手の可能性が金市場を下支えする要因になるとみる。 2日に1月米雇用統計の発表を控えているほか、消費者物価指数(CPI)など様々 なデータが発表されるなかで米雇用情勢やインフレの状況を確認していく必要がある。 また、昨年末の上昇ですでに利下げ期待を織り込んだことも上値抑制要因となろう。 5月利下げ着手の見通しが強まるなかでNY金4月限は2050ドル以下でのこう着 状態を上抜いたものの、利下げ着手自体は目新しい材料ではないうえ、米経済指標の内 容を確認していく必要があることが上値抑制要因となってくると見られ、2050ドル を下値支持線とする底堅さを見せる一方、大幅な上昇には得同時に抵抗もある状態が続 くことになりそうだ。 MINKABU PRESS
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