【強弱材料に挟まれNY金は身動き取れず】 NY金4月限は2月1日にかけて地合いを引き締め、2083.2ドルと2080ド ル台を回復したが、その後は反落。ただ、2030ドル割れには抵抗を見せ2050ド ルを前後する値位置を維持するなど、上下の抵抗を窺わせる足取りとなっている。 2月2日から軟化に転じたのは、米雇用統計が強気な内容となったことで米利下げ観 測が後退したことが背景となった。2日に発表された1月の米雇用統計は非農業部門の 雇用者数の前月比が事前予想の18万人増を大幅に上回る35万3000人増となり、 米雇用情勢には依然としてタイト感が残る状態であることが示された。 非農業部門の雇用者数の大幅増を受けて改めて注目されるのが米労働省発表のJOL TS求人件数だ。昨年10、11月と870万件台にとどまった求人件数は12月には 11月時点の879万人から871万人に減少するとの事前予想に反し902.6万人 の増加となった。 雇用情勢の緩和が続いていた中での求人件数の増加は、米国の人手不足の解消に向け た道のりが遠いことを示唆しているが、雇用情勢にタイト感が残る限り、上昇ペースは 鈍化したとしても賃金には上昇圧力がかかり続けることが想定される。 1月下旬から2月上旬にかけて発表された米雇用統計は、米国のインフレ率はこれま で緩和傾向を見せて3%台での推移が続いているにもかかわらず、タイトな雇用情勢が 賃金押し上げの動きを下支えすることによりここから先のインフレ率低下が妨げられる 可能性が高いことを示唆している。 強気な雇用統計により早期利下げ観測が後退しているとはいえ、FRBの金融政策の 方向性が利下げから変化したわけではないが、パウエルFRB議長は、米国のインフレ について過去1年間で大幅に低下した、としディスインフレの流れについて言及しなが らも経済が堅調な中、当局者にはインフレ率が低下し続けるという確信を強めるための 時間がある、として早期利下げに対しては慎重な姿勢を見せている。 CMEFEDウォッチによると2月6日時点で3月の利下げ着手を見込んでいる比率 は20.5%となる一方、6月の利下げ着手を見込む比率は64%に達している。 実際の利下げ着手の時期は今後の米国の経済指標次第という側面は強く、今後も強気 な雇用情勢が示されるようであれば、米利下げの時期はさらにずれ込む可能性があり、 その可能性に対する危惧がNY金の上値を重くしている。 その一方で、高金利環境の長期化によりもたらされる米財政悪化に対する懸念が引き 続きNY金の下値をサポートする要因になってくると見られる。 特に、米商業用不動産の価格下落による米地方銀の不良債権拡大に対する懸念は、安 全な投資先としての金需要を刺激する要因になりかねない。 米国ではテレワークの拡大に伴いオフィス用としての商業用不動産の需要が減少。さ らに高金利が需要を圧迫する要因になったこともあって、商業不動産の値下がりが引き 起こされており、銀行の不良債権の拡大に対する警戒感が強まっている。 また、パレスチナ情勢に続き、米英によるイエメンのフーシ派攻撃など、中東近辺地 域での地政学不安の高まりも金に対する安全資産としての需要を高める要因になると見 られる。 米利下げ観測が後退するなか、NY金の上値が抑制される足取りが続いているが、一 方では逃避買いを始め、金に対する安全資産としての需要も根強く見られている。その ため、NY金4月限は引き続き2050ドルを前後するボックス圏での往来が続くこと になりそうだ。 MINKABU PRESS
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