ゴム週間見通し=春節で一段の調整安、7月限は270円接近の可能性

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS

【前週までのレビュー】目先、直近の上昇が急ピッチだった反動や、春節の大型連休を
控えて、7月限は調整安場面になるとみた。
【7月限は270円接近か】
 JPXゴムRSS3号の活発限月の7月限は、調整場面となっている。2月5日に一
代の高値となる290.7円まで上昇したが、その後は、軟化し7日には276.2円
まで下落した。今後、ウィンタリング(落葉期=減産期)が意識されることから再び地
合いを引き締める可能性はある。ただ、12日からの週は、春節のため、これまでの上
昇相場をけん引してきた産地から中国勢が不在となる。このため、産地相場も閑散にな
ることが予想され、直近の上昇に対する調整が一段と深まる可能性がある。7月限は、
節目の275.0円、さらには270.0円付近まで押し戻されることも想定したい。
【産地高は上げ一服】
 タイの現物価格は上げ一服となってきた。タイ南部の天然ゴム主要積出港のソンクラ
港渡しのオファー価格(FOB)をみると、年初1キロ=62.12バーツ(約25
7.18円、1バーツ=4.14円で計算)が2月2日には76.85バーツ(約31
9.70円)まで上昇している。ただ、その後は伸び悩んでおり、8日は75.84バ
ーツ(約315.54円)となった。12日からの一週間は春節のため中国勢が不在と
なる。上げ一服、もしくは調整色が強まりそうだ。
【上海ゴムは安値圏で春節前の取引終える】
 上海ゴム5月限の売り圧力が強まった。1月23日に9日に付けた直近の安値1万3
380元を下抜き、1万3345元まで下落した。25日には1万3790元まで戻し
たが、買いは続かず、2月8日に1万3120元まで軟化し、昨年12月6日の安値1
万3115元に接近した。終値は1万3220元となり、安値圏で終節前の取引を終え
た。春節後は、1万3100元付近が支持になっていることから、まずは買いが優勢と
なりそうだが、積極的に買い進む材料は見当たらない。戻りを叩かれ、安値更新となれ
ば、節目の1万3000元や昨年8月16日に付けた一代の安値1万2735元が視野
に入る。
【中国の根強いデフレ懸念】
 2月8日に中国国家統計局から発表された1月の消費者物価指数(CPI)は前年同
月比0.8%の下落となり、4カ月連続のマイナスとなった。また、下落率は、200
9年9月以来の大きさとなった。耐久財や食品の下落が目立った。同時に発表された1
月の生産者物価指数(PPI)は同2.5%下落となり、1年4カ月連続の低下となっ
た。
 2月のCPIは、春節の食品需要などから、下落率は縮小することが予想されるが、
依然として中国は強いデフレ圧力にさらされている。中国は世界第一位の天然ゴム消費
国であり、同国がデフレに陥れば、天然ゴム相場にとっては下押し圧力が強まる。
【東京ゴム活発限月の7月限のテクニカル要因】
 ゴムRSS3号の活発限月の7月限は、調整場面となった。年初からの値動きをみる
と、258.0円で大発会を迎えると、1月10日には252.3円まで下落した。た
だ、同水準で支持されると、産地相場の上昇を受けて、1月26日まで一方的な上昇と
なり、288.9円まで水準を引き上げた。その後、売りがやや優勢となったが、節目
の280円では押し目を拾われると、産地高を背景に5日には290.7円まで上昇
し、一代の高値を更新した。だが、同水準では上値が重くなり、産地相場の伸び悩んだ
ことから売りが先行、7日には276.2円まで下落し、2営業日で14.5円もの下
げを演じた。その後は、280円前後で推移している。
 一段安となれば、節目の275円前後が支持になる。同水準を割り込むと、今回の上
昇場面では270円台であまり時間を掛けていないことから、節目の270円付近まで
水準を引き下げる可能性があるとみる。
 一方、再度、地合いを引き締めれば、1月26日に付けた一代の高値288.9円が
最初の関門。高値更新となれば、節目の290.0円や300.0円を試すことにな
る。
【今週の注目ポイント】
 産地相場に注目したい。直近の上昇は、産地相場主導である。産地で生産障害などの
話はない。12日からの一週間は春節のため中国勢が不在となり、水準を引き下げる可
能性があり、注意したい。
【相場予想レンジ】
 2月12〜16日のゴムRSS3号6月限の中心レンジ予想は260〜295円。テ
クニカルの支持線は275.0円(節目)、抵抗線は290.7円(一代の高値)。
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