【米1月CPIは弱気のサプライズながらインフレ緩和傾向の継続に注意】 NY金4月限は2月13日までこう着状態にあった2050ドル前後の値位置から急 落して2002.8ドルに達した。売り警戒から買い戻されながらも2006ドルで取 引を終え、地合いの弱さを窺わせる足取りとなっている。 NY金の急落をもたらしたのは米国の1月消費者物価指数(CPI)だった。今回の 発表で1月総合CPIの前年同月比は事前予想の+2.9%を上回る+3.1%となっ たうえ、エネルギーと食料を除いたコアCPIの前年同月比も+3.9%と事前予想の +3.7%を上回った。 雇用情勢により近い指標として注目される住居費を除いたサービス業であるスーパー コアの前月比は+0.8%の上昇を記録しており、タイト感が残る米雇用情勢が賃金の 上昇を支え、これがインフレ率の下げ渋りに繋がっている様子が示されている。インフ レ率が下げ渋るなかで個人が旺盛な消費意欲を見せている様子が小売売上高などから浮 かび上がっていた。 大勢的に見ると総合CPI、コアCPIの前年同月比は共に前月に記録した伸び率を 下回っているため、米国のインフレ率が緩和傾向を維持していることに変わりはない。 とはいえ、今月2日発表の1月米雇用統計では非農業部門の 雇用者数の前月比が事前 予想の18万人増を大幅に上回る35万3000人増だったことが明らかになるなど、 今年に入ってからも米雇用情勢は底堅さを示す状況にある。 今回のCPIでもサービス部門の強さが全体を支える要因になっていることが明らか となった。サービス部門に大きく影響を与えるのは賃金だけに、雇用情勢の緩和が無け れば連邦準備理事会(FRB)が目標とする2%のインフレ率を達成するのは難しいこ とが改めて示された。直近の雇用情勢の底堅さから、インフレ率の速やかな低下は想定 されず、利下げ着手に至るまでには依然として遠い道のりが残されていることが強く意 識されることとなった。 FRBが同様に注視している米個人消費支出(PCE)の23年12月時点での伸び 率は前年同月比で+2.6%の伸びにとどまり、3か月連続で3%を割り込み、コアC PIに比べて家賃の比重が軽減されたPCEではインフレが緩和傾向にあることがより 鮮明に浮き上がっている。 今回のCPIを受けて米連邦準備理事会(FRB)の金融引き下げ観測は5月以降に なるとの見方が強まり、14日時点のCME Fedウォッチでは3月米公開市場委員 会(FOMC)で利下げを予測する比率は10.5%であるのに対し、6月FOMCで は着手を見込む比率は79.1%を記録している。 2月1日にかけてNY金が浮上したのは、3月早期利下げを市場が早期に織り込んだ ことが背景で、事前予想を上回ったことで、今回のCPIは利下げ観測後退との見方を 強め金市場の大幅下落を促している。しかし、全体的にインフレ緩和傾向を維持してい ることから、FRBは引き続き米経済指標の内容を吟味しながらも、利下げ着手に向け て動いていくと見られる。CPIを受けての金の急落も、利下げ着手の時期を巡るタイ ミングのずれの修正と見られ、2000ドルが強い下値支持線となってきそうだ。 MINKABU PRESS
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