金・銀週間展望=堅調、欧米の利下げ見通しが支援

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [4月1日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2025 年  2 月限  3 月 25 日〜 3 月 29 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          10,551    10,976 (29)   10,504 (25)     10,959         +367
  銀           121.0     123.5 (29)    118.5 (27)      123.5         +4.0
 プラチナ       4,376     4,420 (26)    4,351 (28)      4,418          +42
 パラジウム     5,000     5,000 (25)    4,800 (28)      4,800         -200
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
        28  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       ( 6) 2,238.4     +56.8   | ドル・円    151.42      0.02 円高
  銀       ( 5) 2,491.6      +7.3   | 日経平均  40,369.44       -518.99
 プラチナ   ( 7)   921.1     +13.5   | NY原油 ( 5)  83.17         +2.54
 パラジウム ( 6) 1,021.50    +23.20  |* ドル・円は15時15分現在、原油は 28日
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【前回のレビュー】
 金は米連邦公開市場委員会(FOMC)で年3回の利下げ予想が維持されたことが支
援要因、とした。
 金は欧米の利下げ見通しや米国債の利回り低下を受けて買い優勢となった。現物相場
は史上最高値2233.48ドルを付けた。金先限は上場来高値1万0888円を付け
た。
 米連邦準備理事会(FRB)の6月の利下げ開始見通しに変わりはなく、金の押し目
は買われた。430億ドルの7年債入札が好調となるなか、米国債の利回りが低下した
ことも支援要因になった。ただ堅調な米経済指標が続いており、今後の金融政策の見通
しを確認したい。第4四半期の米国内総生産(GDP)確報値は前期比3.4%増と改
定値の3.2%増から上方改定された。個人消費や工場など非住宅への設備投資、州・
地方政府の支出の上方改定が背景にある。米新規失業保険申請件数は前週比2000件
減の21万件となった。事前予想は21万2000件。3月の米ミシガン大消費者信頼
感指数確報値は79.4と速報値の76.5から上方改定され、2021年7月以来の
高水準となった。2月は76.9だった。ウォラー米FRB理事は、最近の経済データ
では年内に予想される利下げを遅らせるか、利下げの回数を減らすことが裏付けられる
と強調し、金利引き下げを急ぐことはないとの認識を示した。
 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁は、イ
ンフレが予想通りに推移すれば6月に利下げを行うとのコンセンサスがECB内で形成
されつつあると述べた。ECB理事会メンバーのビルロワドガロー仏中銀総裁は、EC
Bは今春に「緩やかな」利下げに着手する可能性が高いと述べた。利下げのタイミング
は米連邦準備理事会(FRB)とは異なるという。ECBの利下げも見込まれており、
欧米の中銀が利下げサイクルに転じる見通しが金価格を押し上げている。
【金ETF残高は減少】
 世界12カ国に上場している金ETF(上場投信)の現物保有高は28日時点で
1021.44トンとなり、前週末比5.27トン減少した。米国で5.18トン、英
GBSで0.09トン減少した。上値を試すなか、利食い売りが出た。一方、米商品先
物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月19日時点のニューヨーク金
の大口投機家の買い越しは20万1602枚となり、前週から横ばいとなった。今回は
手じまい売り、買い戻しともに4330枚となった。
 金の独自材料として、中国の需要堅調が指摘された。1月の香港経由の中国の金輸入
は76.248トンとなった。2月は春節休暇の影響で39.826トンと昨年11月
以来の低水準となったが、不動産市場の先行き懸念で金の投資意欲が強い。2020年
の価格上昇時に香港から金が輸出されたが、今回の価格上昇でも中国の需要が続いてお
り、金価格を押し上げる要因になっている。ニューヨークの指定倉庫在庫が減少傾向に
あり、実需筋が踏まされており、現物が出てこなければ金価格は堅調に推移することに
なりそうだ。ただ金ETF(上場投信)に利食い売りが出ており、投資資金の動向も確
認したい。
【銀は金堅調につれ高】
 銀の現物相場は、ドル高に上値を抑えられたが、米国債の利回り低下や金堅調を受け
て押し目を買われ、24.98ドルまで上昇した。欧米の中銀が利下げサイクルに転じ
るとの見通しから金価格が急伸し、銀の支援要因になった。ただ今年のドイツの経済成
長率見通しが下方修正されたことや、英経済が昨年後半に浅い景気後退(リセッショ
ン)に入ったことが確認されたことで、銀の工業用需要が伸び悩むようなら、上値を抑
える要因になるとみられる。ニューヨークの指定倉庫在庫は戻り場面で増加しており、
実需筋の動きも確認したい。
 28日のニーヨークの銀ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比95.29トン
増の1万3190.55トンとなった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建
玉明細報告によると、3月19日時点のニューヨーク銀の大口投機家の買い越しは5万
2435枚となり、前週の4万0978枚から拡大した。新規買い、買い戻しが入っ
た。
当面の予定(イベント・経済統計)
1日 ●豪州、香港、欧州(イースター・マンデー)、南ア(家族の日)
   短観 概要及び要旨 3月調査(日本銀行)
   米製造業景況指数 2024年3月(ISM)
2日 ユーロ圏製造業購買担当者景況指数 2024年3月確報(Markit)
   独消費者物価指数 2024年3月速報(連邦統計庁)
   米製造業新規受注 2024年2月(商務省)
3日 中国サービス業購買担当者景況指数 2024年3月(財新)
   ユーロ消費者物価指数 2024年3月速報(EUROSTAT)
   ユーロ圏雇用統計 2024年2月(EUROSTAT)
   全米雇用報告 2024年3月(ADP)
   米非製造業景況指数 2024年3月(ISM)
4日 ●中国、香港(清明節)
   ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数 2024年3月確報(Markit)
   ユーロ圏購買担当者総合景況指数 2024年3月確報(Markit)
   ユーロ圏生産者物価指数 2024年2月(EUROSTAT)
   米貿易収支 2024年2月(商務省)
   米新規失業保険申請件数(労働省)
5日 ●中国(清明節)
   全世帯家計調査・消費支出 2024年2月(総務省)
   独製造業受注 2024年2月(経済技術省)
   ユーロ圏小売売上高 2024年2月(EUROSTAT)
   米雇用統計 2024年3月(労働省)
   建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
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