コモディティレポート(金)

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【目先の買い一巡感強まるもNY金は高値圏維持か】
 NY金は4月に入ってからも過去最高値を更新する動きが続いた。12日に中心限月
の6月限は一時2448.80ドルに到達。11日の終値が2372.7ドルだったた
め、76ドル程度の上げ幅を1営業日で記録したことになる。12日は高値から値を落
として取引を終えたが、15日の週を迎えても上値を探る足取りが続き16日には23
99.50ドルで取引を終えた。
 続く17日には反落に転じたことで目先の上げ一巡の様相が強まっているが、4月序
盤の2200ドル前後からは200ドル程度、上昇している。
 注目されるのが、3月の米総合消費者物価指数(CPI)が前年同月比で2か月連続
で拡大し3.5%に達したことで米利下げ着手時期が現時点で予測されている6月では
なく9月以降にずれ込むとの見通しが強まっているにもかかわらず、NY金が上値を追
う足取りを演じた点だ。
 利下げ着手がずれ込むことは、米国では高金利環境が継続することとなり、ドルを買
う動きを刺激し得る。実際、ドル1ドル=154円台まで値を落としており、円安に対
する警戒感から為替市場への介入が警戒される状況にある。金は国際市場ではドル建て
で取引されているため、ドル買いの動きはドル建て金の価格を引き上げる要因となり、
割高感から金需要が後退するとの見方が一般的となる。
 それにもかかわらずNY金が上昇しているのは、この高金利環境の長期化とこれに伴
うドル買いの動き以上に意識される要因が背景にあると見られる。
 そのうちの一つが中国の需要だ。不動産不況に対する警戒感が2月の中国金需要を刺
激する要因となっていたが、同様の動きが3月も見られていたことが明らかとなった。
 中国人民銀行の発表によると3月末時点の金保有高は2月末時点の7258万オンス
から7274万オンスへと増加。一方、3月末時点の外貨準備高は2021年12月以
来の高水準となる3兆2457億ドルに達しているが、3月末時点での金保有高はドル
建てで1610億7000万ドルとなるため外貨準備高のうち4〜5%が金で占められ
ていることになる。
 中国では不動産不況に対する警戒感が強いなか米ドルの上昇が続いていることが金に
対する需要を高める要因になっていると見られる。また、中国政府は2024年の経済
成長を5%台を見込んでいるが、その実現は困難と見る向きが多い。
 同国の経済停滞、さらには不動産市場の低迷、個人消費の抑制などに対する警戒感
は、安全資産としての金需要を刺激する要因となっていると見られるが、金価格が過去
最高値を更新している局面においても需要が見られていることは、同国の金需要の旺盛
さを示唆していると言えるであろう。
 なお、ドル高傾向により外貨準備高が目減りするのは中国だけではない。そのため、
国内の景気不安を抱える中国の旺盛な需要が金価格を押し上げる主因になっているのと
同時に、それ以外の国の公的部門による金需要の増加も金価格を支える要因になってい
る。
 なお、米国のパウエル連邦準備理事会(FRB)議長は16日にカナダ銀行(中央銀
行)のマックレム総裁とのパネル討論会において、目標とする2%のインフレ率を達成
するには予想以上に時間を要する可能性が高い、と述べ、利下げ着手の時期を先延ばし
する可能性を示唆しているが、それにもかかわらず16日のNY金市場では上値を追う
足取りを演じるほど金には強い需要が見られた。
 17日に反落に転じたことで目先の上げ一巡感が強まっており、2400ドルが抵抗
線として意識される足取りに転じる可能性が高まっている。しかし、米国の利下げ着手
が先延ばしされればされるほど、ドル建ての外貨準備の価値を維持しようと試みる動き
が強まり、金への需要が強固なものとなる可能性も高く、目先の高値確認感が強まりな
がらも、金価格は依然、下値の堅い足取りを維持することになりそうだ。
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