【NY金は高止まり状態に変化はなし、価格下落が中国の需要を刺激】 NY金8月限は7月17日に2488.4ドルをつけて最高値を更新した後は反落に 転じ22日に2385.2ドルを付けた。その後は値位置を切り上げて2400ドルを 下値支持線にしての高下が続いている。 6月の米消費者物価指数(CPI)の前月比がマイナス成長となったことを受けて9 月利下げ着手期待が高まるなかで浮上した後、活発な米国の経済活動を示す指標が発表 されたことやそれまでの上昇後の修正から下落に転じながらも利下げ着手期待に支えら れる足取りが続いている。 CMEのFedWatchで9月利下げ着手を見込む比率は100%に達しており、 2400ドル以上の価格帯は、これを織り込んだ上での価格水準となる。一方、米国商 品先物取引委員会(CFTC)の報告によると、7月16日時点のファンド筋を含む大 口投機家の買い玉数はこれまでの最大限度となっていた30万枚を一気に上回る34万 9827枚に達した。同時に売り玉数も増加しているが、買い越し数は前週の25万 4775枚から28万5024枚に増加している。 この大口投機家の買い玉の増加が17日にかけての価格上昇を促す主因になったと見 られるが、その後の下落に続いてNY金が膠着状態に陥っていることは、ポジション調 整が進んでいる可能性を示唆している。 同時に、トランプ氏が銃撃を受けたうえ、バイデン大統領が大統領選からの撤退を表 明するなど、米国の大統領選に大きな動きが見られ政治的な不安感が強まっていること が安全資産としての金を刺激していることも金が買い支えられる一因になっていると見 られる。米国ではハリス副大統領が民主党大会で指名されたが、ハリス氏、トランプ氏 のどちらが大統領選に勝利しても米中対立が激化するとの懸念が浮上している。この米 中対立に対する警戒感も逃避買いとしての金需要を刺激する要因として意識されるの が、現在の金市場のムードの強さだろう。 また、一方の中国でも米中対立激化に対する警戒感が強まると同時に人民元安を受け た中国からの資金流出が懸念されており、中国経済の先行きの見通しに不透明感が強ま っている。 特に7月15日発表の中国第2四半期国内総生産(GDP)が前期の+5.3%を下 回る+4.7%となったことで中国経済の減速懸念が強まっていることは、中国経済不 安を高める要因となっている。今月22日には中国人民銀行による予想外の利下げを実 施したことは人民元離れの動きを加速しかねない。このような状況のなか、金価格が上 昇したことによって後退していた同国の金需要が再び増加する可能性が高まっている点 も注目要因となる。 米国では7月25日に第2四半期GDP、26日には6月PCEデフレーターと米国 の経済成長およびインフレの動向を示す経済指標が発表される。既に9月利下げ着手が 織り込まれるなか、これらの経済指標がどのような内容になるのか注目されるところだ が、6月の米新築住宅販売件数が事前予想を下回るなど、高金利環境の長期化に対する 警戒感も強い。経済成長の鈍化が示されれば利下げ着手観測が維持され高止まり傾向が 強まると予想されると同時に、経済成長の伸びが示されたとしても高金利環境の長期化 懸念や中国経済不安を手掛かりにした買いや、価格下落が中国の需要を刺激する可能性 が見込まれるだけに、高止まり状態に変化はないと予想される。 MINKABU PRESS
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