コモディティレポート(金)

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【NY金は高止まりもジャクソンホールでのFRB議長の講演に注目】
 NY金12月限は16日に2500ドルを上抜き、20日に2570.4ドルとな
り、一代高値、指標限月として史上最高値をつけた。21日は反落したが2547.5
ドルでこの日の取引を終えており、2550ドル前後の値位置は維持している。
 7月の米消費者物価指数(CPI)でディスインフレ傾向を確認することができたう
え、米雇用情勢の緩和傾向も継続していることで9月の米連邦公開市場委員会(FOM
C)での利下げ着手は既に織り込まれた形となっている。CMEのFed Watch
では利下げ着手を見込む比率は100%に達しており、現在はその利下げ幅がどの程度
になるかに焦点が当てられた状態にある。
 また、12月のFOMC時点でフェデラル・ファンド(FF)レート見通しについて
は、4.25〜4.50%を見込む比率が43.2%で最大となっている。現在の利率
が5.25〜5,50%であるため、0.50%の大幅利下げや3回以上の利下げの実
施がすでに見込まれている状態となっている。
 この年内の大幅利下げ見通しは、労働市場が緩和傾向にあることを受けてこれまでイ
ンフレ率の下げ渋りを招いていた賃金の上昇やこれを受けたCPIにおけるサービス部
門、シェルター部門などの低下が促されるとの見方に加え、米個人消費が旺盛なことで
利下げが実施されても景気後退(リセッション)に陥るリスクが後退した、との見方が
根拠となっている。
 2400ドルを下値支持線にして高下していた7月上旬から8月上旬にかけての時期
にすでに9月利下げ着手に関してはある程度、織り込んだ感が強かったが、年内の大幅
利下げの可能性が高まっていることで金市場の投資環境がより一層強気に傾いている様
子をここ最近の金市場は示している。
 21日は米労働省が公表した雇用統計の算出基準改定で、3月時点の非農業部門の就
業者数が81万8000人下方改定された。大幅に引き下げられたことは米雇用情勢が
これまで想定されていたよりも緩和された状態にあることが示され、リスク回避の動き
が広がった。金市場でも同様にリスク回避の動きは見られたが、雇用情勢の緩和は利下
げを後押しする要因となりうるうえ、安全資産としての役割を持つことが金への投資意
欲を刺激する要因になったこともあってこの日のNY金は下げ渋っている。
 懸念されるのは米雇用環境に対する意識の変化で、大幅利下げに耐えうるほど強気で
はないとの見方が広がるようであれば、年内の利下げ幅の見通しに修正が余儀なくされ
ることとなり、既に大幅利下げを見込んで史上最高値に達している金市場でもリスク回
避の動きが活発化する可能性がある。
 既に7月雇用統計が米雇用情勢の軟化を示すなかで3月時点の非農業部門の就業者数
の大幅下方修正が行われたことは米雇用情勢に対する意識を高めることにになり、今後
の発表内容次第ではリスク回避委の動きを高める可能性がある。リスク回避の動きが誘
発されると史上最高値近辺からの大きく崩れる可能性がある一方、逃避買いとしての需
要が高まることも想定される。
 21日の下落で米雇用情勢に関する弱材料を織り込んだ可能性があり、NY金は大幅
利下げの可能性を意識した買いに支えられ、下値は堅く推移すると想定される。23日
に行われるパウエルFRB議長によるジャクソンホールでの講演の内容がより注目され
る。FRBの2つの責務のうち雇用サイドに向けて重点がシフトするとの見解がFRB
当局者から示されているだけに、同議長が今回の雇用者数の基準値大幅改定を受けてど
のような内容の講演を行うか、また今後の利下げの可能性について何らかの言及がある
のかに注目したい。
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