【米中景気不安が上値抑制要因ながらNY金は底堅く推移か】 NY金12月限は8月末までは2520ドル前後を支持線にしての高下となっていた が、9月3日に2504.4ドルまで軟化する場面が見られ、4日に2502.7ドル まで下落した。下値を切り上げ、終値ベースで2520ドル台を維持しているが、次第 に値位置を落とす頭重い足取りが続いている。値位置を落とした背景は、中国、米国の 景気不安が一因となっている。 中国の今年4〜6月間の実質国内総生産(GDP)の成長率が前期の+5.3%を下 回る+4.7%にとどまったうえ、製造業PMIは4ヵ月連続で拡大と縮小の境目とな る50を下回る状態が続いている。7月小売売上高は前年比+2.7%と低い伸びにと どまるなど個人消費も勢いに乏しいうえ、住宅価格の下落にも歯止めがかからない状態 にあり、景気の先行き不透明感が強い。 一方の中国の7月の輸出は前年比+7%を記録して4カ月連続しての増加となり、中 国経済を支える要因になっている。しかし電気自動車(EV)の過剰生産を指摘された うえ、欧米諸国がEVの中国からの輸入関税引き上げ措置をとっている影響から今後は 輸出が落ち込む可能性がある。 これらを受けて中国の景気後退に対する警戒感が強まっており、リスク回避の動きを 刺激する場面も見られている。 米国では雇用情勢がこれまで想定されていたよりも弱い可能性が浮上すると同時に9 月の公開市場委員会(FOMC)で利下げ着手が既定路線化するなか、米景気後退に対 する懸念も高まっている。 ただ米国に関しては4〜6月の国内総生産(GDP)成長率の改定値が8期連続での プラス成長となる3%を記録しているうえ、7月実質個人消費は前月比で+0.4%を 記録するなど、個人消費は底堅い動きが続いている。 目先は6日に発表される8月の米雇用統計が注目要因。厳しい内容となった7月の雇 用統計の後だけに8月雇用統計に対する警戒感が高まっている。7月の米失業率は4. 3%を記録しているが、消費が底堅いだけに米経済の軟着陸(ソフトランディング)を 見込む声も多い。 米雇用情勢の軟化がより進むのであればソフトランディングの可能性が後退し、米経 済に対する懸念はより強まることが想定される。それだけに8月雇用統計の内容が注目 要因となるが、中国や米国の景気悪化に対する警戒感がリスク回避の動きを刺激しNY 金価格を下押したとしても2500ドルを大きく割り込む可能性は低いのではないだろ うか。 8月22日、9月3日と2500ドルに接近するまで値を落とした後に大きく値を戻 していることが金価格の下落に対する警戒感の強さを示唆していると見られるからだ。 金には安全資産としての役割があり、リスクが警戒される時には逃避買い需要が膨ら む可能性が高まる。そのため、米中の景気不安から値を落としたとしても安全資産とし ての役割に対する意識が強まれば下げ渋ると見られる。 特に2500ドルに近づくと買い戻す動きが膨らむのは2500ドル前後に達すると 金の値ごろ感の高まりを示唆しているうえ、米中景気不安が高まるなか安全資産として の金需要が意識されている様子も窺わせている。また、金ETF残高も増加傾向を維持 しており860トン台を回復している。 米利下げ着手見通しが強まるなかで史上最高値まで値を伸ばした後は、強気材料織り 込みから高もみとなっていた。NY金12月限は高値でも2550ドルを下回る程度ま で値を落としてきているものの、安全資産としての役割から今後もじり安で運ばれたと しても2500ドルを下値支持線にすることが想定される。 MINKABU PRESS
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