【金は継続的な米利下げ観測とくすぶる米雇用不安受け高値圏を維持か】 NY金12月限は今月12日に抵抗線の2550ドルを上抜き、その後も続伸し16 日に2617.4ドルの史上最高値に達した。17日に反落に転じたが、25日間移動 平均線(2547ドル)は上昇基調を維持している。 NY金の強い足取りは米利下げ着手観測が背景となった。9月17〜18日に開催さ れた米公開市場委員会(FOMC)ではジャクソンホールでのパウエル議長の講演もあ って利下げ着手が確実視され、ドル売りの動きを誘発したこともあって買い優勢となっ た。 一方で米利下げ着手が既定路線となったことで、市場の関心は利下げ幅が0.25% と0.50%のどちらかになるのかに向けられた。利下げ幅を予想するうえで注目され たのが米雇用情勢だ。今年3月時点の米非農業部門雇用者数が大幅に引き下げられたこ とをきっかけに米雇用情勢はこれまで予想されてきたよりも弱気との見方が強まったか らだ。これに加え、米求人件数の縮小傾向も米雇用情勢は軟化、との見方の根拠となっ ている。 JOLTS求人件数は4月まで800万件台で推移していたが、5月に800万件を 割り込み、その後も短期的な増加は見られながらも7月は767万3000件と21年 2月以来の水準まで落ち込んでいる。 その一方で米雇用統計では賃金が依然として上昇傾向にあることが示されたうえ、8 月小売売上高も事前予想を上回ったことで消費意欲は依然として旺盛として米経済に対 する安心感を与える材料となった。 このように強弱入り混じる米経済指標を受けて米利下げ見通しは0.25%と0.5 0%に分かれた状態だったものの、今回の利下げ幅がどちらになるにしても利下げは単 発的なものではなく今後も継続的に行われていくとの観測が金市場にとっての買い支援 材料となってきた。 その注目の利下げ幅は0.50%で決定され、事前に多くの予想が見られた0.2 5%を上回る大幅利下げとなった。パウエル連邦準備理事会(FRB)議長はFOMC 後の会見において今後も0.50%の利下げ幅が基準になることはなく、時間をかけな がら中立的な水準へと回帰していく、との見解を示している。 雇用統計の一部に強さが見られることが時間をかけた金利の調整を目指すとのパウエ ル議長発言の根拠と見られるが、高金利環境が継続することにより製造業など経済面へ の影響が高まるようであれば雇用情勢が一段と悪化する可能性がある。 賃金は上昇するなど雇用情勢の一部には強さも見られるものの、非農業部門の雇用者 数は7月は11万4000人、8月は14万2000人で、前年同月の18万7000 人を大きく下回る状況にある。 失業率が4.2%程度で今後、上昇する余地を残していることや求人件数が縮小傾向 にあることも米雇用情勢における不安材料になっている。そのため、弱気な経済指標の 発表が続くようであれば雇用情勢不安が高まることになる可能性が残されているといえ る。 金市場にとっては今後の利下げ観測とこれを受けたドル安見通しが買い支援要因にな る一方、雇用情勢不安が高まるようであれば安全資産としての需要が刺激される可能性 が高まると予想される。 すでに史上最高値を更新しているNY金だが、継続的な利下げ観測やくすぶる米雇用 不安に支えられ再び史上最高値を更新する可能性を秘めている。指標の期近12月限は 18日の安値2572.5ドルが目先の支持線。に堅調に推移するとみる。2570ド ル割れとなった場合、最高値から60ドル超の調整安となり、押し目買いが喚起される とみる。 MINKABU PRESS
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