【NY金は強弱材料に挟まれるも次第に値位置を切り上げる展開か】 NY金2月限は2650ドル前後での高下が続いた後、8日の取引で大きく値を切り 上げた。昨年12月30日に2608.4ドルまで下落し、その後は浮上に転じながら も2680ドルに近づくと値を落とす展開を繰り返し下落・上昇の両方に対する抵抗の 強さを窺わせていたが、これを上抜く形となった。 8日に金2月限が2687ドルまで値を切り上げたのは、この日発表されたADP雇 用統計が事前予想を下回り、労働市場の冷え込みを示唆したのがきっかけとなった。 これまでは1月20日に予定されているトランプ新政権の発足を控えて上値を抑制さ れる足取りが続いていた。トランプ氏は大統領選の時には中国を中心とする海外からの 輸入に対する関税の引き上げを公約として掲げていたが、米上院・下院では共和党が過 半数を占めるトリプルレッドが達成されたことで、この公約が実現に向かう可能性が高 まったとの見方が強い。 関税が引き上げられれば物価高を避けることはできないと見られる。12月の米公開 市場委員会(FOMC)で11月末時点までで米賃金の上昇継続に加え、インフレ加速 化傾向を強めていたことが考慮され、3回合連続となる追加利下げは実施されたもの の、2025年の追加利下げ回数の見通しについては前回時点での4回から2回へと引 き下げられた。 米インフレ率の加速化が確認され、なおかつこのインフレを吸収するだけの賃金の上 昇が見られている状況に輸入関税の引き上げが加わるようであれば、インフレ率が更に 加速化する可能性が高まる。同時に米連邦準備理事会(FRB)の追加利下げに向かう 姿勢もより慎重度を増すことが予想される。 8日の取引では雇用情勢の冷え込みが示唆され、市場は素早い反応を見せているもの の、FRBが追加利下げを実施するには更なる手掛かりが必要になると見られる。これ が2700ドル台に向かって伸びる勢いに乏しい状況を促す可能性がある。 ただ、その一方で追加利下げが後退することは金市場においての買い支援材料にもな っている。米金利が高止まりによってドル買いの動きを活発化しドル高傾向が保たれる ようであれば、ドル建てで資産を保有している中央銀行にとって資産が目減りすること を意味するため、資産防衛としての金需要が増加すると期待される。 また、トランプ政権により保護主義的な貿易政策が実施されるようであれば脱ドルの 動きがより活発化すると見られることも、金需要を支える要因になってくるであろう。 目先は米新大統領による政権運営の見通し不透明感から模様眺めの雰囲気が強まる可 能性があるが、2650ドルを前後する足取りが続いたことで、インフレ加速化懸念を 織り込んだ感が強い。 また、トランプ氏が大統領に就任後、公約通りに関税が引き上げられた場合による追 加利下げ観測の後退によるマイナスの影響から、ドル高環境によって生み出される中央 銀行による資産防衛のための金買いの影響が意識されることになりそうだ。 地政学不安に対する意識も同時に高まるようであれば2700ドルを目指す足取りが 強まると見られると予想される。 MINKABU PRESS
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