ドル円、148円台に値を戻す トランプ大統領の関税発言=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
ドル円、148円台に値を戻す トランプ大統領の関税発言=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、ドル円はNY時間に入って戻り売りが強まり、148円台に値を戻している。トランプ大統領の関税に関する発言が伝わり、リスク回避の円高がドル円を押し下げた。大統領は「EUの自動車、その他に関税を25%」と述べた。また、カナダ、メキシコへの関税も4月2日に実施する意向を示した。この発言で米株式市場も売りが強まり、米国債利回りも下げたことから、ドル円も148円台に下落した格好。

 前日発表の米経済指標が予想外の弱さとなったことから、米経済の先行き不安が台頭し、FRBの年内2回の利下げ期待も復活している。ドル円はここ数日の下げで下値警戒感はさらに高まっており、オプション市場ではドル円の下落を想定した取引が活発化している。向こう1カ月間に146円台に下落するリスクを織り込む動きまで出ている状況。

 トランプ大統領の発言でユーロの売りが強まった。ユーロドルは序盤に1.05ドル台を回復していたが、1.04ドル台に再び急速に伸び悩も展開。ECBの追加利下げへの期待も根強く、ユーロ圏の景気の先行きへの不安もある中、上値での売り推奨の声も多い。1.05ドル台に入ると戻り待ちの売りも活発に出るようだ。

 本日はドイツの消費者信頼感指数が発表になっていたが、予想を下回る弱い内容となっていた。ドイツの総選挙前のデータではあるが、今後は改善の可能性はあるものの、回復の兆しはほとんど見られていないとの見方も出ている。ドイツの消費者はインフレ、経済的・政治的な不確実性の高さ、そして政治への不満をセンチメント悪化の理由に挙げている。
 労働市場も今後さらに弱まることが予想されるが、第1四半期の個人消費の回復を妨げることはないとの指摘も出ている。大連立政権が年後半に家計への追加的な財政支援を行う可能性が高まれば、さらなる改善も見込めるという。

 ポンドドルは一時1.27ドル台を回復する場面が見られた。1月中旬からのリバウンド相場の流れをきっちり維持しており、目先は200日線が控える1.27ドル台後半の水準を試しに行くか注目される。

 一部では今週予定されているスターマー英首相とトランプ大統領の会談に注目する向きもいる。英米会談が好意的に受け止められれば、ポンドは対ユーロで上昇する可能性があるという。スターマー首相は国防費の増額をコミットしたことで、この会談は「暖かいヘッドライン」を生み出す可能性があるという。貿易戦争に関しては、英国は数少ない対米赤字国でもあることから、相対的にアウトパフォーマーと見られている。しかし、対ドルでは、ポンドは一段安となりそうだという。英米両首脳は明日ワシントンで会談する予定。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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