プラチナ週間展望=もみ合い、貿易戦争の行方を確認

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [3月24日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2026 年  2 月限  3 月 17 日〜 3 月 21 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          14,371    14,736 (20)   14,295 (18)     14,672        +304
  銀           162.0     165.3 (18)    159.5 (21)      159.5        -1.0
 プラチナ       4,647     4,736 (20)    4,588 (21)      4,603         -34
 パラジウム     4,600     4,600 (18)    4,600 (18)      4,600           0
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
        20  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       ( 4) 3,043.8     +42.7   | ドル・円    149.50      0.84 円安
  銀       ( 5) 3,399.1     -44.2   | 日経平均  37,677.06       +623.96
 プラチナ   ( 4)   992.0     -21.2   | NY原油 ( 4)  68.26         +1.08
 パラジウム ( 6)   949.70    -23.70  |* ドル・円は15時45分現在、原油は 20日
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【前週のレビュー】
 プラチナは金堅調も貿易戦争に対する懸念が上値を抑える、とした。
 プラチナは中国の景気刺激策や金堅調を受けて買い優勢となったが、株安に上値を抑
えられると、米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて手じまい売りが出た。現物相
場は昨年10月以来の高値1009.23ドルを付けた。プラチナ先限は2月18日の
高値4736円に顔合わせした。一方、パラジウムの現物相場は2月21日以来の高値
981.48ドルを付けたのち、上げ一服となった。
 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は、トランプ米政権の鉄鋼・アルミニ
ウム関税に対する第1段階の対抗措置発動を4月中旬まで延期すると発表した。米大統
領はEUが米国産ウイスキーへの課税措置を撤廃しなければ、EUから輸出される全て
のアルコール製品に200%の関税を課すと述べており、交渉の行方を確認したい。た
だ米大統領は4月2日に全ての貿易相手国に対する相互関税を発動する方針を示してい
る。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、米国との全面的な貿易戦争が起これば
ユーロ圏経済は大打撃を受け、インフレが急上昇する可能性があるとし、解決策は貿易
の統合を強化することだと提言した。イングランド銀行も、米国の関税政策が原因で貿
易を巡る緊張が高まり、国内外の経済に高度の不確実性があると指摘した。
 米上院は、共和党がまとめたつなぎ予算案を可決した。民主党のシューマー上院院内
総務をはじめ、一部の民主党議員が賛成に回ったことで、つなぎ予算案は最終採決にこ
ぎ着けた。年度末の9月30日までの期間について予算が確保された。米連邦公開市場
委員会(FOMC)で市場の予想通り、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を
4.25〜4.50%に据え置いた。ただ経済減速が見込まれるなか、年内2回の利下
げ見通しを維持した。米FOMC後は米国債の利回りが低下した。2月の米小売売上高
は前月比0.2%増と、前月の1.2%減(下方改定)からプラスに転じたが、事前予
想の0.6%増を下回った。米新規失業保険申請件数は前週比2000件増の22万
3000件だった。小幅な増加にとどまり、労働市場の安定を示唆した一方で、貿易摩
擦の激化や米連邦政府支出の大幅削減により、見通しには影が差している。事前予想は
22万4000件。
【ロンドンと南アのプラチナETF残高が減少】
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、19日のロンドンで19.32トン
(前週末20.20トン)に減少、20日のニューヨークで33.08トン(同
33.08トン)と変わらず、19日の南アで10.56トン(同10.59トン)に
減少した。またパラジウムETFの現物保有高はロンドンで4.19トン(同4.19
トン)、ニューヨークで10.68トン(同10.68トン)、南アで0.24トン
(同0.24トン)と変わらずとなった。上げ一服となるなか、ロンドンと南アのプラ
チナETF残高が減少した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告
によると、3月11日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万
5748枚(前週1万3852枚)に拡大、パラジウムの売り越しは8516枚(同
8519枚)に縮小した。
【中国の景気刺激策も米中関係の行方を確認】
 中国国務院は声明で、国民の所得押し上げによる消費回復に向けた措置を講じる、と
した。また株式・不動産市場の安定化に向けた政策も実施するほか、出生率引き上げを
目指した優遇措置を講じる。中国政府は、賃金の「妥当な伸び」を促進するほか、最低
賃金の調整に向けた健全なメカニズムを確立するとした。小売売上高の低迷が続いてい
る一方、2月の消費者物価指数(CPI)が約1年ぶりに下落に転じている。一方、米
政府は、イラン産原油取引に絡む新たな制裁を発表した。トランプ政権発足以降4回目
の措置で、「ティーポット」と呼ばれる中国の独立系石油精製会社が初めて制裁対象に
なった。米国務省の報道官は、山東寿光魯清石化公司がフーシ派に関係する船から原油
を買ったと説明した。米中関係の行方も確認したい。
当面の予定(イベント・経済統計)
24日 ユーロ圏製造業購買担当者景況指数 2025年3月速報(Markit)
    ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数 2025年3月速報(Markit)
25日 金融政策決定会合議事要旨公表 1月23-24日分(日本銀行)
    独景況感指数 2025年3月(ifo)
    米ケース・シラー住宅価格指数 2025年1月(S&P)
    米新築住宅販売 2025年2月(商務省)
    米消費者信頼感指数 2025年3月(カンファレンスボード)
26日 英消費者物価指数 2025年2月(国立統計局)
    米耐久財受注 2025年2月速報値(商務省)
27日 中国工業利益 2025年2月(国家統計局)
    米国内総生産 2024年10-12月期確報値(商務省)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
    米中古住宅販売仮契約指数 2025年2月(全米不動産協会)
28日 英国内総生産 確報値 2024年10-12月期(国立統計局)
    英貿易収支 2025年1月(国立統計局)
    英小売売上高 2025年2月(国立統計局)
    独雇用統計 2025年3月(連邦雇用庁)
    米個人所得・支出 2025年2月(商務省)
    米消費者信頼感指数 2025年3月確報値(ミシガン大)
    建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
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