石油週間展望=戻り基調、米国のイラン制裁が世界の原油供給に影響

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
          [3月24日からの1週間の展望]
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         週間高低(カッコ内は日付)     3 月 17 日〜 3 月 21 日
         始  値    高  値        安  値       帳入値    前週末比
ガソリン  先限   88,000    88,000(17)    86,000(17)   88,000        ±0
灯  油  先限   88,000    88,000(17)    88,000(17)   88,000        ±0
原  油 8月限   62,880    65,120(21)    62,260(17)   65,030     +2,140
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                                        3 月 17 日〜 3 月 20 日
<海外原油> 週間4本値 始 値   高  値     安 値     終 値   前週末比
  NY原油  5 月限     67.10    68.65(21)   66.09(19)  68.28       +1.37
ブレント原油  5 月限     70.70    72.51(21)   69.90(19)  72.16       +1.58
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21日 東京時間の午後3時15分現在 ドル・円 149.50 前週末比 0.84円の円安
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【前週のレビュー】ニューヨーク原油5月限は64.85ドル、65.00ドルちょう
どの安値でダブルボトムの様相となっているが、まだ安値もみ合いの域を出ておらず、
底割れの可能性も残っているとした。

【NY原油5月限は戻り基調】
 ニューヨーク原油5月限は前述のダブルボトムを割り込むことなく戻す展開。ここま
での高値は18日の68.50ドル。20日も68.41ドルまで上昇したが、わずか
に高値には届かなかった。本稿執筆時の21日午後時点では68ドル台前半で推移して
いるが、ここまでの高値は68.65ドルとすでに18日り戻り高値を更新している。
 チャート上は、1月15日の高値76.57ドルから3月5日の安値64.85ドル
までの下げ幅の23.6%戻しの67.62ドルをすでに上回っていることで、次は
38.2%戻しの69.33ドル、69.33ドルを上回ると、70ドルの節目、そし
て半値戻しの70.71ドルが次の上値目標となる。

 材料的には、報復関税合戦による貿易摩擦、需要減退懸念は継続しているが、イスラ
エルのガザ攻撃の再開や、米国のイエメンのフーシ波に対する大規模な攻撃、さらには
米国のイランに対する新たな制裁の発表など、再び中東地域の地政学的リスクが支援材
料として浮上している。
 とくにイラン制裁は直接的に原油の供給に影響するため、原油市場に対するインパク
トが大きくなる。とくに今回は取引先も制裁の対象になるのが特徴で、イラン原油の最
大の輸入国である中国の石油産業もターゲットとなっている。
 事実、直近では山東省の山東寿光魯清石化という製油所が制裁対象になったことが報
じられている。中国の反発は必至の状況で、現在停止している中国の米国産液化天然ガ
ス(LNG)輸入にも影響しそうだ。

 産油国側のニュースとしては、石油輸出国機構(OPEC)プラスが20日、これま
での合意水準を超えて生産された超過分を相殺するため、7カ国が追加減産を行うとい
う計画を発表した。
 これは4月から実施される予定の増産幅の日量13万8000バレルを上回ってお
り、実質的にはさらなる減産を意味する。減産幅は同18万9000〜43万5000
バレルで、2026年6月まで継続される予定。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は高値から崩れてきたが、ひとまず4
万1000ドル台割れに下値抵抗を見せて、直近はやや戻す展開となっている。
 ドルインデックスは3月に入ってからの急落もダブルボトムを付ける形で、103ポ
イント台後半まで戻している。
【米国のカナダ産原油輸入、すでに減少=IEA週報】
 トランプ政権が仕掛けた報復関税合戦の影響が実際の数字に出て来た。
 米エネルギー情報局(EIA)の週報によると、14日までの週のカナダからの原油
輸入は日量54万1000バレル減の同310万バレルと、2023年3月以来の低水
準だった。
 原油は「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」対象の製品で、4月2日まで
25%関税を免除されているものの、すでに数値に影響が表れている。

【東京原油のテクニカル分析】
 東京原油の6番限である8月限は戻り基調を継続して、21日移動平均線でもあるボ
リンジャーバンドの中心線(6万4290万円辺り)を上回り、6万5000円の節目
を試す展開となってきた。

【NY原油、ブレント原油のテクニカル】
 ニューヨーク原油5月限はボリンジャーバンドのー1シグマ(66.13ドル辺り)
とボリンジャーバンドの中心線(67.20ドル辺り)間のもみ合いとなっていたが、
20日は中心線を上回って引けた。

 ブレント原油5月限も同様の展開。ボリンジャーバンドのー1シグマ(69.73ド
ル辺り)とボリンジャーバンドの中心線(71.51ドル辺り)間のもみ合いとなって
いたが、20日は中心線を上回って引けた。。

<当面の予定>
24日【経済】ユーロ圏製造業購買担当者景況指数 2025年3月速報(Markit)
   【経済】ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数 2025年3月速報(Markit)
   【経済】ユーロ圏購買担当者総合景況指数 2025年3月速報(Markit)
25日【経済】金融政策決定会合議事要旨公表 1月23-24日分(日本銀行)
   【納会】バージガソリン・灯油・軽油・中京ローリーガソリン・灯油
       2025年4月限(東京商品)
   【経済】独景況感指数 2025年3月(ifo)
   【経済】米住宅価格指数 2025年1月(連邦住宅金融局)
   【経済】米ケース・シラー住宅価格指数 2025年1月(S&P)
   【経済】米新築住宅販売 2025年2月(商務省)
   【経済】米消費者信頼感指数 2025年3月(カンファレンスボード)
   【工業】米週間石油統計(API)
26日【経済】景気動向指数 2025年1月改定状況(内閣府)
   【経済】チェーンストア販売統計 2025年2月(日本チェーンストア協会)
   【工業】原油・石油製品供給統計週報(石油連盟)
   【工業】石油製品給油所小売価格調査(資源エネルギー庁)
   【発会】バージガソリン・灯油・軽油・中京ローリーガソリン・灯油
             2025年10月限(東京商品)
   【経済】仏消費者信頼感指数 2025年3月(INSEE)
   【経済】英消費者物価指数 2025年2月(国立統計局)
   【経済】英小売物価指数 2025年2月(国立統計局)
   【経済】英生産者物価指数 2025年2月(国立統計局)
   【経済】米住宅ローン申請指数(MBA)
   【経済】米耐久財受注 2025年2月速報値(商務省)
   【工業】米週間石油統計(EIA)
27日【経済】中国工業利益 2025年2月(国家統計局)
   【経済】米国内総生産 2024年10-12月期確報値(商務省)
   【経済】米新規失業保険申請件数(労働省)
   【経済】米中古住宅販売仮契約指数 2025年2月(全米不動産協会)
28日【経済】対外及び対内証券売買契約等の状況 3月16日-3月22日(財務省)
   【経済】貿易収支 2025年2月確報(財務省)
   【経済】独雇用統計 2025年3月(連邦雇用庁)
   【経済】仏消費者物価指数 2025年3月速報(INSEE)
   【経済】仏生産者・輸入物価指数 2025年3月(INSEE)
   【経済】英国内総生産 確報値 2024年10-12月期(国立統計局)
   【経済】英貿易収支 2025年1月(国立統計局)
   【経済】英小売売上高 2025年2月(国立統計局)
   【経済】米個人所得・支出 2025年2月(商務省)
   【経済】米消費者信頼感指数 2025年3月確報値(ミシガン大)
   【商品】米建玉明細報告(CFTC)
     【工業】全米石油堀削稼動数(米ベーカーフューズ)

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