石油週間展望=目先は陰の極が焦点か、米国の相互関税発表で崩落

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
          [4月7日からの1週間の展望]
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
         週間高低(カッコ内は日付)     3 月 31 日〜 4 月 4 日
         始  値    高  値        安  値       帳入値    前週末比
ガソリン  先限   88,000    90,000( 3)    86,000(31)   90,000     +2,000
灯  油  先限   88,000    90,000( 3)    88,000(31)   90,000     +2,000
原  油 9月限   65,150    67,670( 3)    60,370( 4)   60,580     -5,420
======================================
                                        3 月 31 日〜 4 月 3 日
<海外原油> 週間4本値 始 値   高  値     安 値     終 値   前週末比
  NY原油   5 月限    69.43    72.28( 2)   65.98( 3)  66.95      -2.41
ブレント原油   6 月限    72.94    75.47( 2)   69.48( 3)  70.14      -2.62
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
4日 東京時間の午後3時15分現在 ドル・円 146.04 前週末比 4.62円の円高
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【前週のレビュー】ニューヨーク原油5月限のここまでの高値は70.22ドル。半値
戻しの70.71ドルが次の上値目標となるが、さらに上値を目指すか否か注目される
とした。

【NY原油5月限は「往って来い」に近い崩落】
 ニューヨーク原油はトランプ政権の相互関税発表で崩落する展開となっている。5月
限は2日に72.28ドルまで上伸して、61.8%戻しの72.09ドルを達成した
が、その後は崩落した。3日の安値は65.98ドルとなっており、すでに3月5日の
安値64.85ドルから前述の高値までの上げ幅の78.6%押し(66.44ドル辺
り)を達成している。全値押しの「往って来い」となる65ドル台割れの可能性も高ま
っている。目先はセリング・クライマックス(陰の極)がどの水準でどのタイミングで
到来するのかが焦点となりそうだが、いずれにせよ、当面はレンジダウンした展開が続
くのは避けられない状況となってきた。

 材料的には、2日のトランプ政権の相互関税発表が最大の圧迫要因。これで世界的な
景気悪化懸念から世界的な株安、円高進展とリスクオフの動きが鮮明となり、最も景気
に敏感な商品と言える原油も崩落を余儀なくされた。
 加えて、4月から日量13万8000バレルの自主減産枠の縮小(つまり増産)を実
施している石油輸出国機構(OPEC)プラスが5月からそれを同41万1000バレ
ルの増産に引き上げることを発表したことも弱気された。ただ、相場が急落したことで
今後それを翻す可能性も十分にあるため注意したい。

 加えて注意したいのは、ロイター通信によると、石油、ガス、石油製品の輸入につい
て、2日に発表された新たな関税の対象から外されることが明らかになったこと。この
辺は米石油業界のロビー活動が奏功したと言えそうだ。

 中東の地政学的リスクに関しては、米ニューズウィーク誌が米国のイラン攻撃の可能
性を煽っている。3月上旬に送ったトランプ米大統領から同国最高指導者のハメネイ師
への書簡に対する返信がなければ、5月上旬に攻撃の可能性があるとしている。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は大きく崩れる展開。目先は4万ドル
の節目を維持できるか否かが焦点となってきた。
 ドルインデックスは大きく崩れる展開。104ポイント台から101ポイント台半ば
まで急落している。
【ゴールドマンサックス、原油の予想平均価格を引き下げ】
 米金融機関、ゴールドマンサックスは4日、今年のブレント原油の予想平均価格を
69ドル、ニューヨーク原油を66ドルとして、それぞれこれまでの予想より
5.5%、4.3%引き下げた。なお、来年はさらに引き下げて、ブレント原油が62
ドル、ニューヨーク原油を59ドルとして、長期的に弱気の見通しとなっている。

【東京原油のテクニカル分析】
 東京原油の6番限である9月限は高値から2本の長大陰線を引いて崩落した。すでに
ボリンジャーバンドの—1シグマ(6万1520円辺り)を下回っており、6万円の節
目やそれに近い—2シグマ(5万9550円辺り)が下値目標となっている。

【NY原油、ブレント原油のテクニカル】
 ニューヨーク原油5月限は、3月に積み上げてきたものを一気に崩落させる展開。現
状はボリンジャーバンドの—1シグマ(66.30ドル辺り)を試している。

 ブレント原油6月限も同様の崩落。70ドルの節目やその下にあるボリンジャーバン
ドの—1シグマ(69.48ドル辺り)を試す展開。

<当面の予定>
 7日【経済】景気動向指数 2025年2月速報(内閣府)
   【経済】ユーロ圏小売売上高 2025年2月(EUROSTAT)
   【経済】独貿易収支 2025年2月(連邦統計庁)
   【経済】独鉱工業生産指数 2025年2月(経済技術省)
   【経済】米消費者信用残高 2025年2月(FRB)

 8日【経済】国際収支(経常収支) 2025年2月(財務省)
   【経済】対外及び対内証券売買契約等の状況 2025年3月(財務省)
   【経済】景気ウォッチャー調査 2025年3月(内閣府)
   【経済】仏国際収支 2025年2月(フランス銀行)
   【経済】仏貿易収支 2025年2月(INSEE)
   【工業】米週間石油統計(API)
   【工業】短期エネルギー見通し・月報(EIA)

 9日【工業】原油・石油製品供給統計週報(石油連盟)
   【工業】石油製品給油所小売価格調査(資源エネルギー庁)
   【経済】米住宅ローン申請指数(MBA)
   【経済】米FOMC議事録公表 3月18-19日(FRB)
   【工業】米週間石油統計(EIA)

10日【経済】企業物価指数 2025年3月(日本銀行)
   【経済】対外及び対内証券売買契約等の状況 3月30日-4月5日(財務省)
   【工業】貴金属倉荷証券流通高 2024年3月(大阪取引所)
   【工業】ゴム指定倉庫在庫(大阪取引所)
   【工業】ゴム指定倉庫等級別在庫 2025年3月(大阪取引所)
   【経済】中国消費者物価指数 2025年3月(国家統計局)
   【経済】中国生産者物価指数 2025年3月(国家統計局)
   【経済】米新規失業保険申請件数(労働省)
   【経済】米消費者物価指数 2025年3月(労働省)
   【経済】米財政収支 2025年3月(財務省)

11日【経済】マネーストック 2025年3月(日本銀行)
   【経済】独消費者物価指数 2025年3月確報(連邦統計庁)
   【経済】英貿易収支 2025年2月(国立統計局)
   【経済】英鉱工業生産指数 2025年2月(国立統計局)
   【経済】英製造業生産指数 2025年2月(国立統計局)
   【経済】米生産者物価指数 2025年3月(労働省)
   【経済】米消費者信頼感指数 2025年4月速報値(ミシガン大)
   【商品】米建玉明細報告(CFTC)
     【工業】全米石油堀削稼動数(米ベーカーフューズ)

MINKABU PRESS

*投資や売買については御自身の判断でお願いします。

このニュースの著者

MINKABU PRESS

みんなの株式をはじめ、株探、みんかぶFX、みんなの仮想通貨など金融系メディアの 記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコン テンツなど幅広く提供しています。