【これからの見通し】ドル安方向に傾くか、中東情勢や米30年債入札にらんで 米指標はPPIと失業保険申請

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
【これからの見通し】ドル安方向に傾くか、中東情勢や米30年債入札にらんで 米指標はPPIと失業保険申請

 マーケットはややドル安方向に傾く兆しをみせている。昨日は米CPIの伸びが予想を下回ったことで米債利回り低下とともにドルが急落した。また、米大統領はイランとの核交渉が難航していることを吐露しており、中東情勢が一段と緊迫化することが警戒されている。これを受けて原油相場が急騰した。米中貿易協議について、米国側からは取引(ディール)が成立したと前向きの発言があった。しかし、結局は中国の習主席が容認しなければ実のある協議だったとは言えない状況。中国政府の反応を外務省会見や国営メディア報道などで確認したいところだ。

 本日は米生産者物価指数(PPI)(5月)、米新規失業保険申請件数(06/01 - 06/07)などが発表される。昨日の米消費者物価指数が予想から下振れしたあとで、PPIも予想を下回るようだと再びドル売りが加速することが想定される。市場予想は前年比が+2.4%(前回+2.6%)、コア前年比が+3.1%(前回+3.1%)前月比は+0.2%(前回-0.4%)と、いずれも前回4月からは上昇する見込みとなっている。予想と結果の乖離を確認したい。また、新規失業保険申請件数は24.2万件の予想で、前回の24.7万件からわずかに減少する見込み。ただ、前回値は予想外の増加幅となったことで大きな改善がみられなければ、ポジティブな反応は期待できないだろう。

 また、本日はNY午後に米30年債入札(220億ドル)が実施される。いわゆる米国売りの局面では利回りが5.15%まで急上昇した。6月に入ってからは5%を下回る水準へと落ち着いてきている。ただ、入札が不調に終わった場合の反応を確認する必要がありそうだ。現時点では4.91%付近で推移している。

 目を欧州通貨に転じると、ポンド売り・ユーロ売りの流れが定着しつつあるようだ。先週のECB理事会で当面の利下げ打ち止め感が出る一方、英中銀は一連の経済指標の弱含みを受けて年後半に2回程度の利下げが市場に織り込まれてきている。先ほど発表された最新の月次GDPデータも-0.3%と予想以上の落ち込みを示していた。また、昨日は英予算計画の詳細が発表されているが、市場の財政赤字拡大懸念を払しょくする内容ではなかったことも付け加えておきたい。

 発言イベント関連では、ECB当局者関連の予定が目白押し。シムカス・リトアニア中銀総裁、ミュラー・エストニア中銀総裁、エスクリバ・スペイン中銀総裁、クノット・オランダ中銀総裁、パネッタ伊中銀総裁、シュナーベルECB理事、パツァリデス・キプロス中銀総裁、デギンドスECB副総裁、シュナーベルECB理事などの経済予測公表や会議出席、講演などの予定が組まれている。
 
minkabu PRESS編集部 松木秀明

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