ゴム週間見通し=売り優勢、ただし中東情勢には注意

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【前週までのレビュー】ロンドンで行われた閣僚レベルの米中通商協議が合意に達した
ことで、目先の強材料は出尽くしとなり、上値の重い展開になるとみた。
【戻り場面は終了か】
 JPXゴムRSS3号は、戻り一服となった。活発限月の11月限は、3日に一代の
安値280.0円を付けた後、戻り歩調となり19日に315.0円まで水準を引き上
げた。しかし、同水準では戻り売りを浴び、295円付近まで押し戻されている。ファ
ンダメンタルズ面では、天然ゴムを積極的に買い進む材料は乏しく、目先は売り優勢が
続くだろう。
 ただ、中東情勢には警戒が必要だ。レビット米ホワイトハウス報道官は19日、「ト
ランプ米大統領はイラン攻撃について2週間以内に決定する」と述べたことから、中東
情勢の緊張を背景としたドル買いは一時的に収まるなど、中東情勢の緊迫化を背景とし
て金融・商品市場の動きは一服している。ただ、あくまで時間的猶予が生じただけであ
り、イランが無条件降伏に応じるとは考えにくい。イランとの交渉の難航や米国の参戦
となれば、原油価格の急騰に連動し天然ゴム価格も急伸する可能性がある。
【上海ゴム9月限は1万4000元の攻防】
 上海ゴムの中心限月の9月限は、戻り場面となっている。6月4日に一代の安値1万
3295元を付けると、その後は、ジリジリと水準を引き上げ、18日に節目の1万4
000元を上抜くと、19日は1万4100元まで上昇した。ただ、1万4000元超
では売り物も多く、19日の引けは1万4010元となった。1万4000元台は維持
しているものの、同水準を回復したことで、目先の上値達成感もある。1万4000元
をしっかり上抜くことが出来なければ、12日の安値1万3565元付近まで押し戻さ
れる可能性がある。
【中国鉱工業生産は伸びが縮小】
 中国国家統計局が16日に発表した5月の鉱工業生産は、前年比+5.8%と市場予
想(+6.0%)を下回り、前月(+6.1%)からも減速。2カ月連続の伸び率鈍化
となった。米中貿易摩擦の影響で輸出の減少が見込まれ、生産抑制につながった格好
だ。5月には一時的に高関税の見直しで合意したとはいえ、先行き不透明感が根強く、
生産拡大には慎重姿勢がうかがえる。
 一方、同時に発表された小売売上高は前年比+6.4%と、市場予想(+5.0%)
および前月(+5.1%)をともに上回った。また、1〜5月期の固定資産投資は前年
比+3.7%で、1〜4月の+4.0%から減速。不動産開発投資も前年比−10.
7%と大幅に減少しており、不動産市場の停滞が続いている。
【東京ゴム活発限月の11月限のテクニカル要因】
 ゴムRSS3号の活発限月の11月限は、3日に一代の安値を付けてから戻り場面と
なり、18日には節目の300円をしっかり上抜いたが、その後、戻りを叩かれた。5
月下旬からの値動きをみると、上海高などを背景にジリジリと水準を引き上げると、5
月27日には330.2円の高値を付けた。だが、同水準では売り圧力が強く、上海ゴ
ムが下値を模索する展開になったこともり、売りが先行、6月3日には一代の安値とな
る280.0円まで下落した。その後、戻り歩調となり、19日に310.0円まで水
準を引き上げた。だが、同水準では戻り売りを浴び、295円台まで急落した。現在
は、300円付近での攻防となっている。
 売りが先行すれば、19日の安値がある295.1円付近が支持になる。同水準を割
り込むと、16日の安値288.6円や節目の285円が意識される。これらの同水準
を下抜くようなら、一代の安値280.0円が視野に入る。一方、買い優勢となれば、
一目均衡表の雲の下限がある306円付近が抵抗になりそうだ。雲に突入すれば、節目
の310.0円や19日の高値315.0円が視野に入る。
【今週の注目ポイント】
 中東情勢に注目したい。米国が参戦となれば、一時的に原油高に追随し、買いが先行
するとみる。ただ、戦時下における商品価格の高騰は短期的に終息するケースも多く、
急落リスクには十分な注意が必要だ。
【相場予想レンジ】
 6月23〜27日のJPXゴムRSS3号11月限の中心レンジ予想は280〜33
0円前後。テクニカルの支持線は290.0円(節目)、抵抗線は315.0円(6月
19日高値)。

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