ドル安が優勢 空爆に市場は落ち着いた反応を示す=NY為替概況 きょうのNY為替市場、NY時間に入ってドル安が優勢となり、ドル円は146円台前半に下げ幅を拡大。本日は一時148円台上昇する場面も見られていた。米軍がイランの核施設を空爆したことで中東情勢への緊張が一気に高まった。為替市場は有事のドル高の動きが強まっていたが、市場は意外にも落ち着いた反応を見せていた。 NY時間にイランがカタールの米空軍基地にミサイルを発射とのニュースが流れ、市場に緊張感が走ったものの、カタールが迎撃に成功したと伝わり、ミサイル発射については事前にイランからカタールへ通告があったとの報道もあって安心感に繋がった模様。トランプ大統領が中東でのさらなる軍事関与を望んでいないとの報道も雰囲気をサポートしていた。 ドル円は一気に戻り売りを強め、一時146円ちょうど付近まで下落する場面も見られた。地政学的リスクによる動きは歴史的に見て短命か軽微に留まることが多いとの声も出ていたが、その通りの展開を市場は期待している模様。本日の原油相場は急落した。 ユーロドルは1.15ドル台に買い戻されている。本日は一時1.14ドル台半ばまで下落し、21日線に接近したものの、その水準は堅持し上向きの流れを維持している。ただ、上値を抑えられた1.16ドル台にはなお慎重といった雰囲気ではある。 本日はラガルドECB総裁の議会証言が伝わり、景気の下振れリスクを指摘。もう1回の利下げの可能性に道を開いている一方、ホルムズ海峡を通る石油や天然ガスの流れが減少すれば、物価に上昇圧力がかかる可能性があり、注意深く監視していると述べていた。 ECBは今月初めに、昨年からの利下げサイクルにおける8回目の利下げを実施した上で、利下げサイクルの終了が近いことも示唆した。ただし、インフレ再加速の兆しが見られれば、追加利下げの可能性は低くなると見られる。 ポンドドルは1.35ドル台に買い戻された。本日は一時1.33ドル台まで下落し、21日線を下放れる展開になるかとも思われたが、本日1.35ドル台前半に来ている21日線付近に再び戻している。1.33ドル台に入ると買いオーダーも観測されているようだ。 一部からは、英中銀が一段の利下げを実施することで、英10年債利回りは年内に4.0%まで低下する可能性があるとの指摘が出ている。最近の英雇用統計とGDPデータは経済の脆弱さを示しており、これが英中銀のより速い利下げを後押しする可能性があるという。 ただし、地政学的リスクが高まる中、その不確実性を理由に英中銀が利下げを先送りする可能性もあるとも述べている。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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