貴金属4品週間見通し=NY金は根強い安全資産需要を受けて底堅い

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
<金>
 NY金8月限は7月に入ってから3300ドル台での高下が続いている。
 今週発表された米消費者物価指数(CPI)は前月に記録した伸び率+2.4% を
上回る+2.7%となる一方、生産者物価指数(PPI)は事前予想の+0.2%を下
回る横ばいと伸び悩んだことでディスインフレ傾向にあると見る向きもあるが、その内
訳はモノの価格の+0.3%に対しサービス価格は−0.1%で、モノの上昇をサービ
スの低下で相殺した結果、総合的には伸び悩んだ様子が窺われる。
 依然として関税引き上げに伴う価格の上昇をサービスを引き下げることによって相殺
する動きが続いている様子が窺われるが、米政権による関税引き上げの影響は相互関税
引き上げ前の駆け込み輸入によって蓄えられた在庫を消化した後に現れると予想され
る。
 また、米トランプ政権は4月に発表した相互関税の上乗せ分の交渉期限が到来すると
同時に日本、韓国、カナダ、欧州連合(EU)などを含めた貿易相手国に改めて相互関
税を通達しつつ、その発動を8月1日として、それまでの間を交渉期間としたものの、
7月上旬に可決された一つの大きな政策(OBBBA))による大型減税分は関税引き
上げによって相殺されるとみられる。
 そのため8月1日まで交渉期限が設けられているとはいえ、交渉によって相互関税が
大幅に引き下げられる可能性は低く、関税引き上げの影響によるインフレの加速が進む
とみられる。
 米小売売上高は事前予想を上回る強気な内容で、米連邦準備理事会(FRB)による
利下げ観測が後退していることは金市場にとっての弱材料ながら、米国での将来的なイ
ンフレ加速化観測、物価相殺のためのサービス価格引き下げが米賃金に与える影響、米
政権による関税政策の不確実性などが引き続き安全資産を求める動きを支えると見ら
れ、NY金8月限は引き続き3300ドル台での高下になると予想される。
<銀>
 NY銀9月限は今月14日に3957セントの高値まで浮上した後は値位置を落とし
ながらも3800セントを下値支持線とする高もみとなっている。
 米関税政策の不確実性を受けて設備投資を控える動きが広まるなど、米関税政策が製
造業に与えている影響が懸念される一方、安全資産需要が金を下支えしていることが
銀市場でも買い支援要因になっており、高もみあい継続が予想される。
<白金>
 NY白金10月限は1400ドル台を維持するなかで1495ドル台を付ける場面が
見られている。
 世界的な供給不足が見込まれているうえ、金との価格差は1800ドル前後と、金価
格が上昇し始めた時の1200ドルからは依然として拡大している。
 独自の需給面が強気なうえ、金価格との値上げの調整からも開圧力が熱い状態が続く
と見られる。1500ドル台達成の可能性を含めながら堅調に推移が見込まれる。
<パラジウム>
 NYパラジウムは7月11日に急伸してそれまでの上値抵抗性だった1200ドルを
上抜いた。その後は1200ドルを下値指示線にしての高下が続いている。
 独自の需給要因には乏しいながら、白金との連動性に支えられると見られ、引き続き
1200ドル台を維持することになるか。
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