金・銀週間展望=調整局面、利食い売りも米利下げ見通しが下支え

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [10月27日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2026 年  8 月限  10 月 20 日〜 10 月 24 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          22,030    22,288 (20)   19,707 (22)     20,522       -1,508
  銀           249.0     249.0 (20)    208.7 (22)      230.3        -21.2
 プラチナ       8,140     8,155 (20)    6,666 (22)      7,277         -973
 パラジウム     7,200     7,200 (20)    6,900 (22)      7,100         -500
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
        24  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       (12) 4,137.8     -75.5   | ドル・円    152.95      3.15 円安
  銀       (12) 4,858.6    -151.8   | 日経平均  49,299.65      +1717.50
 プラチナ   ( 1) 1,601.6     -17.9   | NY原油 (12)  61.50         +4.35
 パラジウム (12) 1,481.20    -41.10  |* ドル・円は15時45分現在、原油は 24日
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【前回のレビュー】
 金は米中の貿易摩擦などが支援要因、とした。
 金は史上最高値を更新したのち、ドル安一服をきっかけに利食い売り主導で調整局面
を迎えた。米中の貿易摩擦に対する懸念や米政府機関の一部閉鎖が続いていること、米
連邦準備理事会(FRB)の利下げ見通しなどが下支え要因である。現物相場は史上最
高値4379.82ドルを付けたのち、調整局面を迎え、4006.40ドルまで下落
した。金先限は上場来高値2万2288円を付けた。
 トランプ米大統領は、オーストラリアのアルバニージー首相とホワイトハウスで会談
し、レアアース(希土類)および重要鉱物に関する協定の合意文書に署名した。また米
大統領は、中国の習近平国家主席と多くの課題について協議すると述べ、交渉はうまく
いくと自信を示すと同時に、習氏との会談は実現しない可能性もあると述べた。米政権
は、ノートパソコンからジェットエンジンまで、米国製ソフトウェアを使用した多岐に
わたる製品の中国への輸出制限を検討している。米大統領は30日、習主席と韓国で会
談する見通しである。
 トランプ米大統領の上級経済顧問であるハセット国家経済会議(NEC)委員長は、
米政府機関の一部閉鎖が週内に終わらなければ「より強力な措置」を講じる可能性があ
ることを示唆した。一方、米政府機関の一部閉鎖の影響で、約6万人の航空管制官と運
輸保安局(TSA)職員が給与なしで勤務を続けている。議員や議会関係者は政府閉鎖
が11月まで続き、トランプ米大統領の1期目に発生した35日間の閉鎖を超える可能
性が現実的にあるとの見方を示している。一方、米セントルイス地区連銀のムサレム総
裁は、労働市場にリスクが存在し、インフレリスクが抑制されている場合、今月の連邦
公開市場委員会(FOMC) で利下げを支持する考えを示した。
【金ETF残高は安全資産の買いで増加】
 世界12カ国に上場している金ETF(上場投信)の現物保有高は23日時点で
1240.82トンとなり、前週末比4.74トン増加した。米国で5.16トン、オ
ーストラリアで0.13トン増加、英GBSで0.29トン、英ETFSで0.27ト
ン減少した。米地銀不安などを受けて安全資産として買われた。一方、米商品先物取引
委員会(CFTC)の建玉明細報告は米政府機関閉鎖を受けて発表が延期された。9月
23日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは26万6749枚(前週26万
6410枚)となっている。
 イスラエルのネタニヤフ首相は、トランプ米大統領と共に中東地域の和平を進めてい
く考えを示し、バンス米副大統領と中東地域の課題と機会について協議すると述べた。
米大統領は、米国の多くの同盟国が必要に応じ、パレスチナ自治区ガザ入りし「強力な
武力」でイスラム組織ハマスを攻撃する機会を歓迎すると表明しているとしつつも、
「まだ」必要ではないという認識を示した。一方、米大統領は17日行ったウクライナ
のゼレンスキー大統領との会談で、ロシアへの領土割譲を促した。また長距離巡航ミサ
イル「トマホーク」の供与を断った。ゼレンスキー大統領が自発的に領土を割譲するこ
とはないと述べると、米大統領は前線での即時停戦を提案した。米政府は、ロシアの石
油大手ロスネフチとルクオイルに制裁を科すと発表した。米大統領は予定されていたロ
シアのプーチン大統領との首脳会談をキャンセルした。プーチン大統領は米国が発表し
た新たな制裁措置について「非友好的な行為」と非難した。
【銀も史上最高値更新後に調整局面】
 銀の現物相場は史上最高値54.45ドルを付けたのち、ドル安一服や金軟調を受け
て調整局面を迎え、47.50ドルまで下落した。買われ過ぎ感が強まるなか、ドル安
一服を受けて利食い売りが出た。ただ米政府機関の一部閉鎖が続いていることや米連邦
準備理事会(FRB)の利下げ見通しが下支え要因である。一方、トランプ米大統領は
30日、中国の習国家主席と韓国で会談する見通しである。貿易協議がまとまるかどう
かを確認したい。
 23日のニューヨークの銀ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比28.20ト
ン減の1万5469.20トンとなった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の
建玉明細報告は米政府機関閉鎖を受けて発表が延期された。9月23日時点のニューヨ
ーク銀の大口投機家の買い越しは5万2276枚(前週5万1538枚)となってい
る。
当面の予定(イベント・経済統計)
27日 ●ニュージーランド(勤労感謝の日)
    中国工業利益 2025年9月(国家統計局)
    独景況感指数 2025年10月(ifo)
    米耐久財受注 2025年9月速報値(商務省)
28日 貴金属 2025年10月限納会(大阪取引所)
    米ケース・シラー住宅価格指数 2025年8月(S&P)
    米消費者信頼感指数 2025年10月(カンファレンスボード)
    米連邦公開市場委員会(FRB、29日まで)
29日 ●香港(重陽節)、トルコ(共和国宣言記念日)
    貴金属 2026年10月限発会(大阪取引所)
    金融政策決定会合(日本銀行、30日まで)
    米卸売在庫 2025年9月速報値(商務省)
    米中古住宅販売仮契約指数 2025年9月(全米不動産協会)
    米FOMC声明文公表(FRB)
    政策金利発表(カナダ銀行)
30日 金融市場調節方針公表(日本銀行)
    ユーロ圏域内総生産 2025年7-9月期速報(EUROSTAT)
    ユーロ圏雇用統計 2025年9月(EUROSTAT)
    理事会結果公表(ECB)
    米国内総生産 2025年7-9月期速報値(商務省)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
31日 労働力調査(失業率) 2025年9月(総務省)
    鉱工業生産指数 2025年9月速報(経済産業省)
    小売業販売額 2025年9月速報(経済産業省)
    中国製造業購買担当者景況指数 2025年10月(中国物流購買連合会)
    中国非製造業購買担当者景況指数 2025年10月(中国物流購買連合会)
    ユーロ圏消費者物価指数 2025年10月速報(EUROSTAT)
    米個人所得・支出 2025年9月(商務省)
    米雇用コスト指数 2025年7-9月期(労働省)
    シカゴ購買部協会景気指数 2025年10月(シカゴ購買部協会)
    建玉明細報告(CFTC)
※米政府機関閉鎖の影響で米経済指標の発表が延期になる可能性があります。
MINKABU PRESS 東海林勇行
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