金・銀週間展望=もみ合い、米利下げ観測後退と安値拾いの買いで

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [11月10日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2026 年 10 月限  11 月 4 日〜 11 月 7 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          20,297    20,380 ( 4)   19,632 ( 5)     20,087        -163
  銀           230.0     232.0 ( 7)    229.4 ( 5)      232.0        +2.0
 プラチナ       7,520     7,521 ( 4)    6,979 ( 7)      7,169        -360
 パラジウム     7,000     7,000 ( 4)    7,000 ( 4)      7,000           0
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
         6  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       (12)  3,991.0     -5.5   | ドル・円    153.49      0.67 円高
  銀       (12)  4,795.0    -21.0   | 日経平均  50,276.37     -2134.97
 プラチナ   ( 1)  1,537.6    -37.8   | NY原油 (12)  59.43        -1.55
 パラジウム (12)  1,394.90   -60.20  |* ドル・円は15時45分現在、原油は  6日
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【前回のレビュー】
 金は米中の通商合意で買い戻され、下げ一服、とした。
 金は米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測後退に上値を抑えられたが、安値拾い
の買いが下支えになった。現物相場は4041.19ドルで戻りを売られた。金先限は
10月27日以来の高値2万0380円を付けたのち、上げ一服となった。
 米金融当局者の利下げ否定発言が目立ち、利下げ観測が後退した。米カンザスシティ
ー地区連銀のシュミッド総裁は、高インフレが継続し、物価圧力が経済に広がりつつあ
る兆しが見られる中で利下げを実施すれば、物価安定に対する米連邦準備理事会(FR
B)の信認が損なわれる恐れがあると考え、今回の決定会合で利下げに反対票を投じた
と述べた。米シカゴ地区連銀のグールズビー総裁は、米国のインフレ率はFRBが目標
とする2%をなお大きく上回っていると指摘し、追加利下げを急がない考えを示した。
一方、米金融大手モルガン・スタンレーとゴールドマン・サックスの最高経営責任者
(CEO)は、人工知能(AI)ブームを背景にハイテク企業がけん引する現行の株高
トレンド について、調整局面に向かう可能性があると警告した。
 10月の米ISM製造業購買担当者景気指数は48.7となった。前月の49.1か
ら低下し、8カ月連続で分岐点である50を下回った。新規受注の低迷に加え、関税の
影響でサプライヤーの納入に時間がかかっている。米ISM非製造業総合指数は
52.4と8カ月ぶりの高水準を付けた。新規受注の堅調な増加を背景に前月の
50.0から上昇した。事前予想は50.8。一方、10月の全米雇用報告によると、
民間雇用者数は大幅に回復し、4万2000人増となった。事前予想は2万8000人
増だった。前月は3万2000人減から2万9000人減に上方修正された。ただ再就
職あっせん会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスによると、米国で10月
に発表された人員削減数は前月比183%増の15万3074人となり、10月として
22年ぶりの高水準を記録した。コスト削減と人工知能(AI)導入を進める企業の動
きを背景に急増した。CMEのフェドウォッチで、12月利下げの確率は70.6%
(前週72.8%)となった。
【金ETF残高は小幅増加】
 世界12カ国に上場している金ETF(上場投信)の現物保有高は6日時点で
1224.48トンとなり、前週末比0.88トン増加した。米国で1.15トン、英
ETFSで0.17トン増加、英GBSで0.14トン、オーストラリアで0.16ト
ン、南アで0.14トン減少した。安値拾いの買いが入った。一方、米商品先物取引委
員会(CFTC)の建玉明細報告は米政府機関閉鎖を受けて発表が延期された。9月
23日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは26万6749枚(前週26万
6410枚)となっている。
 ロシアのプーチン大統領は、核兵器実験の可能性に関する提案を起草するよう政府高
官に指示した。トランプ米大統領が国防総省に対し、核兵器実験を直ちに開始するよう
指示したことが背景にある。米国は4日、カリフォルニア州のバンデンバーグ宇宙軍基
地で、核弾頭を搭載できる大陸間弾道ミサイル(ICBM)「ミニットマン3」の発射
実験を実施した。ただライト米エネルギー長官は2日、米大統領が指示した核兵器実験
について、現時点では核弾頭そのものの爆発実験にまでは踏み込まない見通しを示して
おり、米ロの核実験の行方を確認したい。
【銀は米利下げ観測後退も金の下げ一服が下支え】
 銀の現物相場は10月23日以来の高値49.31ドルを付けたのち、上げ一服とな
った。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測後退が圧迫要因になったが、金に安値
拾いの買いが入ったことが下支えになった。米政府機関の一部閉鎖が過去最長となって
おり、米議会での協議の行方も確認したい。
 6日のニューヨークの銀ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比75.79トン
減の1万5114.03トンとなった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建
玉明細報告は米政府機関閉鎖を受けて発表が延期された。9月23日時点のニューヨー
ク銀の大口投機家の買い越しは5万2276枚(前週5万1538枚)となっている。
当面の予定(イベント・経済統計)
10日 景気動向指数 2025年9月速報(内閣府)
11日 ●フランス(第一次大戦休戦記念日)
    国際収支(経常収支) 2025年9月(財務省)
    英雇用統計 2025年10月(国立統計局)
    独景況感指数 2025年11月(ZEW)
12日 独消費者物価指数 2025年10月確報(連邦統計庁)
13日 企業物価指数 2025年10月(日本銀行)
    英国内総生産 速報値 2025年7-9月期(国立統計局)
    英貿易収支 2025年9月(国立統計局)
    英鉱工業生産指数 2025年9月(国立統計局)
    ユーロ圏鉱工業生産 2025年9月(EUROSTAT)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
    米消費者物価指数 2025年10月(労働省)
    米財政収支 2025年10月(財務省)
14日 中国住宅価格指数 2025年10月(国家統計局)
    中国小売売上高 2025年10月(国家統計局)
    中国鉱工業生産 2025年10月(国家統計局)
    ユーロ圏域内総生産 2025年7-9月期改定(EUROSTAT)
    ユーロ圏貿易収支 2025年9月(EUROSTAT)
    米小売売上高 2025年10月(商務省)
    米生産者物価指数 2025年10月(労働省)
    米企業在庫 2025年9月(商務省)
    建玉明細報告(CFTC)
※米政府機関閉鎖の影響で米経済指標の発表が延期になる可能性があります。
MINKABU PRESS 東海林勇行
※投資や売買については御自身の判断でお願いします。

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