ドル円、153円台に値を落とすも154円台に戻す=NY為替概況 きょうのNY為替市場、ドル円は朝方は売りが優勢となり153円台に値を落としたものの、まもなく154円台に戻している。153円台への下落については、ADPが週次の雇用統計を発表し、米民間雇用者数は10月25日週までの4週間平均で1万1250人減少したことから、ドル安の反応が見られた。ドル円も一時153.65円付近まで下落していた。根強い円安がドル円を下支えしている。 東京時間に米上院がつなぎ法案を本会議で可決し、米政府機関閉鎖が終結に向かっているとの楽観論が広がっている。今後、下院での修正案の再審議とトランプ大統領の署名へと進む。アナリストは「本日は、米政府閉鎖がまもなく終了する可能性が高まっていることがドルを僅かに押し上げている。ただ、閉鎖によるドル資金のひっ迫は政府が再開すれば解消する可能性があり、それがドルの上値を抑えるかもしれない」と指摘した。 経済指標も発表再開への期待が高まっているが、それについて米大手証券は、9月分の米雇用統計は閉鎖終了から約3営業日後に発表される可能性があるが、その他については1-2週間後になる可能性がある。しかし、10月分のデータは収集作業が中断されていたため、発表までに時間がかかり、12月FOMCまでに間に合わない可能性もあると述べている。 ドル円は155円台に向けて再び歩みを進めているが、11月に入って以降154円台半ばの水準で何度も上値を止められている。本日もその水準で上値を止められているが、目先はその水準を突破し、155円を試すか注目される。 ユーロドルは買い戻され、一時1.16ドル台まで回復。本日の21日線が1.1595ドル付近に来ており、その水準で推移した。明日以降21日線の水準を回復できるようであれば、9月中旬以降の下げトレンドの転換が期待できるが、その可能性はまだ高そうにはない。一方、ユーロ円は一時178.75円付近まで上昇し、ユーロ発足以来の高値に並ぶ動きも見られた。 ユーロは最近の対ドルでの下落から安定化する可能性があるとの指摘がアナリストから出ている。割安に見えるためだという。同アナリストの短期適正価値モデルによると、ユーロドルは約1%割安な水準に留まっており、これはドルの最近の上昇が金利や株式の格差といった市場要因で正当化できる水準を超えているという。 ただし、ユーロは有意な回復材料が不足しており、米政府機関閉鎖終了の可能性がドルに与える影響も不透明だと指摘。同アナリストは、ユーロドルが1.15ドルを上回って推移し、現在の1.16ドル近辺で安定化すると見ているという。 きょうのポンドドルはロンドン時間の朝方に1.31ドル台前半まで下落していたものの、NY時間に入って完全に取り戻した。一方、ポンド円も202.35円付近まで下落していたが、その下げを取り戻す展開。 ロンドン時間の下げはこの日の英雇用統計が予想以上に弱い内容で、7-9月のILO失業率が5.0%に上昇したほか、週平均賃金も予想ほどの伸びを示さなかったことで、市場は英中銀の12月利下げ期待をさらに高めている。先週の金融政策委員会(MPC)は据え置きとなったが、5対4の僅差での決定だったこともあり、本日の英雇用統計は利下げ期待を正当化するのには十分だったようだ。 短期金融市場では12月の利下げ期待を85%程度の確率まで高めている。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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