石油週間見通し=NY原油は61ドルが抵抗、ロシアの石油施設被害にも注目

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【前週のレビュー】ニューヨーク原油12月限はもみ合いレンジ下限を割り込み6日に
58.83ドルの安値を付けた。さらに一段安となれば、9月26日の高値65.77
ドルから10月20日の安値55.96ドルまでの下げ幅に対する23.6%戻しの
58.28ドルが下値目標となる。このまま二番底を試しに行くか否かに注目したいと
した。

【NY原油1月限は二番底から反発、61ドル水準が上値抵抗】
 ニューヨーク原油12月限は20日に納会するため1月限が指標限月となるが、ほぼ
同水準で推移している。1月限も前回の当欄で可能性を指摘したように二番底を試しに
行った。13日には58.11ドルまで下落して、一代高値71.38ドル〜一代安値
54.72ドルのレンジの高値から78.6%押しとなる58.29ドルを達成したあ
と戻している。本稿執筆時点の14日のアジアの時間帯には急伸して一時60ドル台に
乗せた。チャート的には、10月下旬以降強い上値抵抗となっている61.8%押し水
準の61.08ドル、10月24日の高値61.84ドルが目先の上値目標となりそう
だ。

 材料的には、後述するように前回の当欄で指摘した3機関の月報が弱材料視されて直
近の安値を更新したが、下げ止まりも案外早く、14日にはロシアの黒海沿岸の石油積
み出し港(穀物積み出し港でもある)ノボロシースク港の石油備蓄基地をウクライナが
無人機(ドローン)攻撃したとの報道で、アジアの時間帯に急伸している。
 ノボロシースク港が攻撃されて供給障害が出たら、相場は噴き上げる可能性があるこ
とを数年前に当欄で指摘した記憶があるが、それがやっと実現した形。ただ、これまで
のウクラインの断続的なロシアの石油施設攻撃にも相対的に反応薄だったことを考える
と今更感も強い。どこまで買い材料となるのか見極めたい。
 値動き的には、供給過剰見通しで下げた分を取り戻す急伸となったが、大局的には、
60ドルの節目を巡る買い方と売り方の攻防が続いているとの見方も可能だ。

 また、ロシア関連では、同国産原油の海上輸出分の3分の1近くとなる日量約140
万バレルが、タンカーに積まれたまま海上に滞留していることが明らかになった。これ
は米国がロシア石油大手のロスネフチとルクオイルに制裁を実施したことによるもの。
 インドは12月積みでサウジアラビア、イラク、クエートなどからの原油供給を増加
させる意向と示しているとの報道もあり、今後はロシア産からの代替需要増加が買い口
実視される可能性もある。ともあれ旧ソ連内の諸国を除くと、ロシア産原油の目立った
買い方は中国ぐらいしかなくなってきた。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は過去最高値をさらに更新した後に反
落して、4万7000ドル台半ばで推移。
 ドルインデックスはおおむね高値からの反落傾向が続いているが、99ポイント台き
引き続き維持している。

【2026年世界需給、一転して小幅供給過剰見通し=OPEC月報】
 12日に石油輸出国機構(OPEC)、米エネルギー情報局(EIA)、13日に国
際エネルギー機関(IEA)の月報が発表された。最もインパクトが大きかったのは、
いつも強気バイアスのかかった発表となるOPECが、2026年の世界需給で日量2
万バレルの供給過剰となることを示したことだった。これまでの供給不足見通しから一
転した。ちなみにEIAは同190万バレルの過剰、IEAは同の409万バレルの過
剰と、これまでの供給過剰見通しを維持した。

【東京原油のテクニカル分析】
 東京原油の6番限である4月限はいったんはボリンジャーバンド1シグマ(6万
1320円辺り)を上抜けたが、13日の大陰線でその上げ幅を失って、直近は安値で
は21日移動平均線でもあるボリンジャーバンドの中心線(5万9870円辺り)を試
す展開となっている。

【NY原油、ブレント原油のテクニカル分析】
 ニューヨーク原油1月限も10月下旬以降ここまでボリンジャーバンドの中心線
(59.41ドル辺り)と1シグマ(60.81ドル辺り)の間のもみ合いが続いてい
たが、12日の大陰線で底割れして、13日には安値で−1シグマ(58.01ドル辺
り)をほぼ試した。

 ブレント原油1月限もほぼ同様の展開。10月下旬から続いたボリンジャーバンドの
中心線(63.50ドル辺り)と1シグマ(64.98ドル辺り)の間を下抜けて、1
3日には逆に中心線が上値抵抗となった。


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