金・銀週間展望=堅調、米利下げ期待も経済指標の発表予定を確認

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [11月17日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2026 年 10 月限  11 月 10 日〜 11 月 14 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          20,104    21,580 (14)   19,946 (10)     21,220       +1,133
  銀           232.0     265.0 (13)    232.0 (10)      255.0        +23.0
 プラチナ       7,190     7,660 (14)    7,075 (10)      7,403         +234
 パラジウム     7,000     7,100 (11)    7,000 (10)      7,100         +100
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
        13  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       (12) 4,194.5    +184.7   | ドル・円    154.55      1.06 円安
  銀       (12) 5,317.0    +502.7   | 日経平均  50,376.53       +100.16
 プラチナ   ( 1) 1,613.9     +64.8   | NY原油 (12)  58.69         -1.06
 パラジウム (12) 1,477.20    +74.00  |* ドル・円は15時45分現在、原油は 13日
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【前回のレビュー】
 金は米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測後退と安値拾いの買いでもみ合い、と
した。
 金は米政府機関の再開期待から米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が高まった
ことを受けて買い優勢となったが、経済指標発表に対する不透明感や米金融当局者の利
下げに対する慎重な発言を受けて上げ一服となった。現物相場は10月21日以来の高
値4243.38ドルを付けた。金先限は10月21日以来の高値2万1580円を付
けた。
 11月の米ミシガン大消費者信頼感指数速報値は50.3と10月確報値の53.6
から低下し、約3年半ぶりの低水準となった。政府機関閉鎖が過去最長を更新するな
か、経済的影響が懸念された。事前予想は53.2。1年先の期待インフレは4.7%
と前月の4.6%から上昇した。米民間雇用サービスのADPは、民間企業が10月
25日までの4週間に週平均1万1250人の雇用を削減したとの推計を発表した。
10月の米企業の人員削減数は前月比183%増の15万3074人と10月として
22年ぶりの高水準となっており、米政府機関が再開され、経済指標で労働市場の減速
が示されると、米連邦準備理事会(FRB)の利下げにつながるとの見方が強まった。
米上院で9日、政府機関の再開に向けた法案が前進し、10日の採決で可決した。米下
院で13日につなぎ予算案が可決、トランプ米大統領が署名し、過去最長の政府機関閉
鎖は終了した。
 米ホワイトハウス国家経済会議(NEC)のハセット委員長は、政府閉鎖の影響で第
4四半期の国内総生産(GDP)が1.5%低下するとの予想を示した。また1カ月分
の失業率データは得られないとも述べ、10月分が発表されないとすると、経済指標発
表に対する不透明感から利下げ観測が後退した。米金融当局者の利下げに慎重な発言も
目立ち、CMEのフェドウォッチで、12月利下げの確率は50.7%(前週69.6
%)となった。12月9〜10日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、経済指
標の発表予定を確認したい。
【金ETF残高は増加】
 世界12カ国に上場している金ETF(上場投信)の現物保有高は13日時点で
1233.25トンとなり、前週末比7.23トン増加した。米国で6.87トン、英
ETFSで0.38トン増加、英GBSで0.01トン、オーストラリアで0.01ト
ン減少した。米政府機関の再開期待から米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が高
まり、投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告
は米政府機関閉鎖を受けて発表が延期された。9月23日時点のニューヨーク金の大口
投機家の買い越しは26万6749枚(前週26万6410枚)となっている。
 ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の四半期報告書「ゴールド・ディマン
ド・トレンズ」によると、第3四半期の金需要は前年同期比3%増の1313.1トン
となり、四半期として過去最高を記録した。投資需要で金ETF(上場投信)が同
134%増の221.7トン、地金と金貨が同17%増の315.5トンとなった。中
央銀行の買いは前四半期比28%増の219.9トンとなったが、3四半期では
634トンと前年の724トンを下回った。一方、宝飾需要は前年同期比19%減の
371.3トンとなった。工業用需要は同2%減の81.7トン。人工知能(AI)向
けの需要が増加したが、米国の関税や価格高騰に相殺された。
【銀は米利下げ観測が支援も上げ一服】
 銀の現物相場は米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測を受けて10月17日以来
の高値54.36ドルを付けたのち、上げ一服となった。米国のつなぎ予算案が成立
し、政府機関が再開されることになったが、米金融当局者の利下げに慎重な発言に加
え、経済指標発表に対する不透明感から、利食い売りが出た。当面は経済指標の発表予
定と各市場の反応を確認したい。
 13日のニューヨークの銀ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比84.65ト
ン増の1万5173.28トンとなった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の
建玉明細報告は米政府機関閉鎖を受けて発表が延期された。9月23日時点のニューヨ
ーク銀の大口投機家の買い越しは5万2276枚(前週5万1538枚)となってい
る。
当面の予定(イベント・経済統計)
17日 国内総生産 2025年7-9月期1次速報 (内閣府)
    米製造業景況指数 2025年11月(ニューヨーク連銀)
18日 米輸出入物価指数 2025年10月(労働省)
    米鉱工業生産・設備稼働率 2025年10月(FRB)
    対米証券投資 2025年9月(財務省)
19日 機械受注 2025年9月(内閣府)
    貿易収支 2025年10月速報(財務省)
    英貿易収支 2025年10月速報(財務省)
    ユーロ圏国際収支 2025年9月(ECB)
    ユーロ圏消費者物価指数 2025年10月確報(EUROSTAT)
    米住宅着工・許可件数 2025年10月(商務省)
    米FOMC議事録公表 10月28-29日(FRB)
20日 独生産者物価指数 2025年10月(連邦統計庁)
    政策金利公表(南アフリカ準備銀行)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
    米製造業景況指数 2025年11月(フィラデルフィア連銀)
    米中古住宅販売統計 2025年10月(全米不動産協会)
21日 消費者物価指数 2025年10月(総務省)
    英小売売上高 2025年10月(国立統計局)
    ユーロ圏製造業購買担当者景況指数 2025年11月速報(Markit)
    ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数 2025年11月速報(Markit)
    米消費者信頼感指数 2025年11月確報値(ミシガン大)
    建玉明細報告(CFTC)
※米経済指標の発表が延期になる可能性があります。
MINKABU PRESS 東海林勇行
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