コモディティレポート(金)

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【米雇用情勢懸念や銀の高騰が引き続きNY金を下支え】
 NY金2月限は12月10日まで4290ドルを上値抵抗線として意識する動きが続
いていたが、11日に地合いを引き締めた後は12日に4387.3ドルまで浮上。そ
の後も4380ドル台の高値を記録した。17日は4370ドル台を維持して堅調に終
えた。
 米国で9日から10日にかけ開催された米公開市場委員会(FOMC)で追加利下げ
が決定されたことは事前予想通りとはいえ、改めて強気材料となったうえ、16日に発
表された11月雇用統計は非農業部門の雇用者数は事前予想を上回る伸びを見せた。一
方の失業率は9月時点の4.4%から4.6%に上昇していたことが明らかとなった。
 失業率の上昇に加えて懸念されるのが平均時給の前年比は事前予想の+3.6%を下
回る+3.5%にとどまっている点だ。
 今回の雇用統計の1週間前となる今月9日に発表された米労働省の10月雇用動態調
査(JOLTS)では、求人件数は事前予想の715万件を上回る767万件だった
が、採用件数は21万8000件減少した514万9000件にとどまるなど、米労働
市場の軟化傾向を示唆する内容となった。
 同時に離職率が9月時点の2.0%から1.8%に低下したうえ、自発的な離職数も
23年6月以来、最大の減少となる18万7000人の減少を記録していたことが明ら
かとされたうえ、採用件数が減少するなかより良い条件を求めて転職する動きが抑制さ
れている様子も示されていた。
 米国では8月1日の相互関税上乗せ分の発動以来、関税引き上げ分の価格への転嫁が
進んでいることが、物価を押し上げる要因になると見られている。この環境下、賃金の
伸び悩みは実質賃金の低下を促し、結果としての個人消費の停滞を招きかねない。
 11月の米消費者物価指数(CPI)は18日に発表されるが、インフレ加速化が示
されるようであれば米国内総生産(GDP)の約70%を占める個人消費の停滞を招き
かねず、米経済に対する警戒感をより強まることになり、金への安全資産を求める動き
を刺激する要因となり得るため、注目要因となる。
 この安全資産としての需要に加え、高騰が続く銀市場もNY金市場にとっての買い支
援要因となりそうだ。NY銀3月限は12日に6508.50セントと一代の高値を更
新した。2025年の年初にはNY銀3月限は3156セントで推移していため、現在
の価格水準はその倍以上に達したことになる。
 価格高騰の主因は太陽光パネル用としての需要の急増で、この急増を受けてシルバー
インスティテュートは2025年も銀は供給不足となるとの見方を示している。
 また、ハイテク関連株の好調な業績は次年度以降の設備投資拡大を促すことが銀需要
の更なる拡大の可能性を窺わせていることが銀価格を押し上げる要因になっている。
 NY金市場にとってこの銀の高騰は比価という面においても、価格の高騰による反動
が見られた場合の安全資産としての面においても買い支援要因になると見られる。
 雇用統計を受けて深まる米雇用情勢懸念が米経済不安を強める一方で、産業用として
の銀需要の増加とその高騰、高騰後の反動への備えが安全資産としての金需要を刺激す
る要因となりNY金2月限は4300ドル台で値を固めている。引き続きNY金2月限
は10月に記録した史上最高値を意識しながらの高止まりとなりそうだ。
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