【NY金は先の見えない米政策や地政学不安から高値圏での高下が続く】 NY金2月限は昨年12月29日に大きく値を落とした。今年に入ってから4500 ドル台に達すると伸び悩む頭重い動きが続いていたが、今月13日に一気に値を伸ばし て4644ドルに達して中心限月として史上最高値を更新。翌14日も4650.5ド ルに達して高値を再度、更新するなど地合いを引き締めている。 昨年末に付けた高値を離れた後は、上昇に対する抵抗の強さを窺わせる動きが続いて いたが、一気に4600ドルまで値を伸ばしたうえ、連日の史上最高値更新となった背 景は地政学不安の高まりが背景となっている。 今月3日に米トランプ政権はベネズエラの首都を攻撃し、マドゥロ大統領を拘束し た。他国の大統領を武力によって拘束する事態となっており、ロシア、中国への飛び火 が懸念される。また、昨年9月以降、激しさを増した米国によるベネズエラ攻撃は、米 国への麻薬流入の阻止が目的とされたものの、世界最大の石油埋蔵量を誇るベネズエラ にロシアと中国も石油利権を持つだけに、この両国と米国との関係悪化も警戒される。 さらに、この米国によるベネズエラへの軍事攻撃を受け、中南米諸国では米国による 更なる攻撃に対する警戒感が高まっている。トランプ大統領はベネズエラへの軍事攻撃 が行われた翌日にはコロンビアのペトロ大統領を名指しして警告しており、新たに軍事 攻撃が行われる可能性も浮上している。 また、イランでは抗議デモが拡大を見せているが、トランプ大統領は自身のSNSに おいて抗議者を支持する発言を行ったうえ、支援が届くとも言及している。これを受け て米国によるイランへの介入に対する警戒感も強まっている。 地政学不安に加え、11日に米連邦準備理事会(FEB)のパウエル議長が自身が刑 事捜査の対象となったことを発表したことでFRBの独立性が保たれない可能性が浮 上。また、パウエル議長が退いた場合、ハセット国家経済会議(NEC)委員長が後任 との観測が強いが、同氏が議長に就任した後は、トランプ大統領の意向を受け、追加利 下げを実施する傾向が強まるとの見方も買い支援要因になっている。 米国では昨年、トランプ氏が2期目となる大統領に就任して以降、輸入関税の引き上 げ、相互関税の導入、大型減税、移民対策の強化など、様々な政策が実施されてきた。 ここに他国への軍事攻撃が加わった。これまでのトランプ政権の政策も想定外のものが 多く、先の読めない同政権の動きが警戒されてきたが、警戒感はさらに強まりを見せ、 米国およびドル離れの動きに拍車がかかると見られる。 米国離れ、ドル離れの動きはドルの代替資産としての金需要を刺激する要因になり得 る。1月13日時点のSPDRの金ETF残高は金価格が史上最高値を更新しているな かにもかかわらず1074.23トンと22年6月17日以来の高水準まで増加してお り、金への投資意欲が高まっている様子を見せている。 米国離れの動きが広がるなか、公的機関による金購入の動きも継続的に見られると予 想され、安全な投資先としての金需要はますます根強いものになると予想される。 一方の米経済、米雇用情勢に関しては、昨年12月の失業率は市場予測を下回ったう え、平均時給の伸びは事前予想を上回るなど、米雇用情勢の底堅さを示唆するものとな っている。米株式市場ではこれを好感してダウ平均が史上最高値を更新するなどの動き が見られており、米経済に対する不安感も和らいでいる。 とはいえ、米国内の製造業に関しては雇用は低迷し見通しに不透明感が強い米政権運 営や関税の引き上げなどが影響し長期的な設備投資計画を立てるのが困難な状態にある など、不安要因も散見される。 米経済に対する不安感がくすぶるなか急速に高まった地政学不安、トランプ大統領下 での見通しに不透明感の強い政策などが警戒感を高めるなか、逃避先を求める動きが高 まり、NY金は再度、高値を更新する可能性を含みながら、高値圏での高下が続きそう だ。 MINKABU PRESS
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