金の現物相場は、米政府機関の閉鎖回避で合意したことやトランプ米大統領が次期連 邦準備理事会(FRB)議長にタカ派のウォーシュ元FRB理事を指名したことをきっ かけに調整局面を迎えたが、ドル安見通しに変わりがないことやイラン情勢に対する懸 念を受けて押し目を買われた。また米最高裁がトランプ米大統領の導入した相互関税を 違憲と判断し、先行き不透明感が広がったことを受けて再び上値を試し、1月30日以 来の高値5247ドルを付けた。ロシアが1月に金準備9トンを売却したが、中国など 各国の中央銀行の購入が続いており、ドル安が再開すると、内外で再び史上最高値を更 新するとみられる。 米最高裁はトランプ米政権が相互関税の根拠とした1977年の国際緊急経済権限法 について違憲と判断した。相互関税は停止され、企業への返金が見込まれている。ただ 相互関税を負担したのが輸入業者か小売企業かという問題もあり、返金手続きは複雑に なるとみられている。米上院民主党は違法とされた関税の全額を180日以内に返還す ることを義務付ける法案を提出した。一方、米大統領は1974年の通商法122条に 基づいた新たな関税を課す大統領令に署名した。当初は関税10%としたが、その後に 15%に引き上げる可能性が示唆された。今回の関税は150日間の期限で延長するに は米議会の承認が必要になる。また米大統領は駆け引きをしようとする国は高関税を課 すと警告した。日本は相互関税の交渉で米国への5500億ドルの投資を決定している が、米最高裁の違憲判断でも、新たな関税が発表されたことから、引き続き進めるとみ られている。各国の反応も確認したい。関税が新たな形で継続されることはインフレ要 因である。1月の米消費者物価指数(CPI)は前年比2.4%上昇と前月の2.7% から伸びが鈍化し、事前予想の2.5%上昇を下回った。ただインフレは高止まりして おり、米連邦準備理事会(FRB)は当面、金利据え置きを続けるとみられている。 【米国とイランの核開発協議を確認】 米国とイランの3回目の核開発協議が26日に予定された。米国はイランにウラン濃 縮活動の停止を求めているが、イランは拒否し、次回の協議で詳細な提案を出す見通し である。イランは米国が平和目的のウラン濃縮を認めて経済制裁を解除するなら、新た な譲歩をする用意があるとしている。一方、米国は2つの空母打撃群を派遣し、米大統 領はイラン攻撃の可能性については、今後10〜15日を期限とする考えを示した。核 開発協議と軍事衝突が回避されるかどうかを確認したい。一方、米ロ、ウクライナの停 戦協議も行われたが、領土問題で難航した。ロシアのプーチン大統領は23日、ウクラ イナの停戦協議には触れず、軍の作戦を継続する姿勢を示した。またロシアの安全保障 のため、核戦力の発展が最優先事項だと述べた。米ロの核軍縮合意「新戦略兵器削減条 約(新START)」は5日に失効しており、米国はロシアだけでなく、中国も参加す る条約を要求している。ただ中国は参加しないとしており、核軍縮の協議の行方も確認 したい。 【ファンド筋の先物買いは1年ぶりの低水準】 世界最大の金ETF(上場投信)であるSPDRゴールドの現物保有高は、2月23 日に1086.47トン(1月末1087.10トン)となった。ドル高をきっかけに 調整局面を迎えるなか、1075.61トンまで減少したが、安値拾いの買いが入っ た。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、ニューヨーク 金先物市場でファンド筋の買い越しは2月17日時点で15万9915枚(前週16万 0012枚)となり、1年ぶりの低水準となった。調整局面を迎えるなか、手じまい売 り、新規売りが出た。 (MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行) *24日、Yahoo!ファイナンスに掲載された記事を再配信します。
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