石油週間展望=戦争長期化ならNY原油は80ドル台定着の可能性も

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
            [3月9日からの1週間の展望]
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         週間高低(カッコ内は日付)    3 月 2 日〜 3 月 6 日
                始  値    高  値        安  値       帳入値    前週末比
ガソリン  先限   90,000   105,000( 6)    90,000( 2)  105,000     +17,000
灯  油  先限   87,000   105,000( 6)    87,000( 2)  105,000     +18,000
原  油 8月限   65,740    73,000( 4)    65,740( 2)   71,650      +5,920
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                                       3 月 2 日〜 3 月 5 日
<海外原油> 週間4本値 始 値   高  値     安 値     終 値   前週末比
  NY原油  4 月限    75.00    82.16( 5)   69.20( 2)  81.01     +13.99
ブレント原油  5 月限    81.57    86.28( 5)   75.75( 2)  85.41     +12.54
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6日 東京時間の午後3時15分現在 ドル・円 157.87 前週末比 1.97円の円安
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【前週のレビュー】ニューヨーク原油4月限は23日に67.28ドルまで上伸して年
初来高値をさらに更新したものの、その後は頭打ち傾向。米国のイラン攻撃の可能性残
り、今後数週間は、越週玉(とくに売り玉)は保有リスクが高いだろう。週末中に米国
のイラン攻撃が実施された場合、週明けのアジアの時間帯にギャップを開いて急騰する
可能性が高くなるとした。

【NY原油はイラン攻撃で80ドル台乗せ】
 前回の当欄でその可能性を指摘した週末中の米国のイラン攻撃が現実のものとなり、
週明けのニューヨーク原油4月限は2日のアジアの時間帯の朝方からギャップを開いて
急騰して、期近つなぎ足ベースとして昨年7月以来の70ドル台に乗せとなった。その
あと5日には82.16ドルまで急騰して、昨年1月以来の80ドル台乗せとなった。
 目先は14日の相対力指数(RSI)が80を超えて、極めて買われ過ぎとなってい
るが、米国とイスラエルのイランとの交戦は長期化することが予想されるうえ、最も注
目されているホルムズ海峡経由の石油輸出が事実上停止しており、現状では原油相場が
急落する要素に乏しい。今後80ドル台に定着してさらに上値を伸ばす展開も十分に予
想される。

 今後の上値の目安としては、週足ベースで見ると、2024年4月の高値87.67
ドル、2023年9月の高値95.03ドルなどが挙げられるが、期近つなぎ足ベース
のうえ、時期も古いためあまり意味はない。いずれにせよ、投機的な動きが加速しやす
くなることを含めて考えると、ロシアのウクライナ侵攻による2022年以来の100
ドル台乗せもあながち不可能ではなくなってきた。゜

 材料的には、米国とイスラエルのイランとの交戦状況、とくにホルムズ海峡の封鎖が
いつまで続くのかが焦点となる。ホルムズ海峡は世界の石油と液化天然ガス(LNG)
の約20%が通過するエネルギー輸送にとって最も重要な海峡だが、現在同海峡の船舶
航行はほぼ停止している。
 それに伴って、ペルシャ湾内の各国の石油貯蔵施設が数週間以内に満杯になるいわゆ
る「タンク・トップ」の危機が迫っていることで、産油国は減産方針を打ち出してい
る。イラクは日量150万バレル減産を近日中に同300万バレルの減産に引き上げる
ことを明らかにした。またアラブ首長国連邦(UAE)、クウェートなども減産の方針
を打ち出した。3月2日に合意した石油輸出国機構(OPEC)プラスの4月からの増
産もほとんど意味のないことになってしまった。

 2月28日の米国とイスラエルのイラン攻撃以降、この紛争に巻き込まれた国は12
カ国に達しており、イランはサウジアラビア、クウェート、バーレーンなど湾岸諸国に
ミサイルやドローを発射し、イスラエルはこれまで12回もテヘランを空爆した。米国
はクウェート大使館業務を閉鎖。
 イランではこれまでの死者が1230人に達して、米兵の死者も6人と発表されてい
る。
 また攻撃初日に死亡したイランの最高指導者、ハメネイ師の息子モジタバ師を後継者
にする動きをトランプ米大統領は拒否して、他国の指導者を自分で選定するつもりだ。
 注目される原油価格の高騰についても、トランプ米大統領は「原油への圧力を減らす
ための措置を間もなく実施する」と述べており、どのようなことが発表されるのか注目
したい。トランプ米大統領は一期目にもたびたび「口先介入」して原油価格を急落させ
た「前科」がある。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は米国のイラン攻撃以降大きく崩れる
展開となり、4万8000ドル台を割り込んだ。
 ドルインデックスはイラン攻撃以降、ドル高が進展して99ポイント台に乗せてき
た。

【米国、ホルムズ海峡護衛検討もイランのミサイル標的になる懸念】
 トランプ米大統領がホルムズ海峡を航行する石油タンカーやその他の船舶の安全確保
のため、保険と海軍による護衛を提供する考えを示したことが報じられているが、これ
は射程の短いイランの対艦ミサイルの絶好の標的になる可能性が懸念されている。イラ
ンの保有する対艦ミサイル6種は中国製の射程最大120kmと短いが、ホルムズ海峡
は40kmしかないないため完全にカバーできるという。

【東京原油のテクニカル分析】
 東京原油の6番限である8月限は上昇中のボリンジャーバントの1シグマ(6万
8580円辺り)と2シグマ(7万1810円辺り)で急騰。7万円の節目を大幅に上
回り、ここまでの高値は4日に付けた7万3000円。

【NY原油、ブレント原油のテクニカル分析】
 ニューヨーク原油4月限は典型的なランナウェイ相場。上昇中のボリンジャーバンド
の2シグマ(76.02ドル辺り)を大幅に上にはみ出して急騰。5日には80ドル台
に乗せた。

 ブレント原油4月限もほぼ同様の展開。ランナウェイ相場となり、上昇中のボリンジ
ャーバンドの2シグマ(82.04ドル辺り)を大幅に上にはみ出して急騰。5日には
85ドル台に乗せた。
<当面の予定>
 8日【他 】北米夏時間入り

 9日【経済】国際収支(経常収支) 2026年1月(財務省)
   【経済】対外及び対内証券売買契約等の状況 2026年2月(財務省)
   【経済】景気動向指数 2026年1月速報(内閣府)
   【経済】景気ウォッチャー調査 2026年2月(内閣府)
   【経済】中国消費者物価指数 2026年2月(国家統計局)
   【経済】中国生産者物価指数 2026年2月(国家統計局)
   【経済】独鉱工業生産指数 2026年1月(経済技術省)

10日【経済】全世帯家計調査・消費支出 2026年1月(総務省)
   【経済】マネーストック 2026年2月(日本銀行)
   【経済】国内総生産 2025年10-12月期2次速報(内閣府)
   【経済】中国貿易収支 2026年2月(税関総署)
   【経済】独貿易収支 2026年1月(連邦統計庁)
   【経済】仏国際収支 2026年1月(フランス銀行)
   【経済】仏貿易収支 2026年1月(INSEE)
   【経済】米中古住宅販売統計 2026年2月(全米不動産協会)
   【工業】米週間石油統計(API)
   【工業】米短期エネルギー見通し・月報(EIA)

11日【経済】企業物価指数 2026年2月(日本銀行)
   【工業】原油・石油製品供給統計週報(石油連盟)
   【工業】石油製品給油所小売価格調査(資源エネルギー庁)
   【経済】独消費者物価指数 2026年2月確報(連邦統計庁)
   【経済】米住宅ローン申請指数(MBA)
   【経済】米消費者物価指数 2026年2月(労働省)
   【経済】米財政収支 2026年2月(財務省)
   【工業】米週間石油統計(EIA)
   【工業】石油輸出国機構(OPEC)月報

12日【経済】対外及び対内証券売買契約等の状況 3月1日-3月7日(財務省)
   【経済】米新規失業保険申請件数(労働省)
   【経済】米生産者物価指数 2026年2月(労働省)
   【工業】国際エネルギー機関(IEA)月報

13日【経済】ユーロ圏鉱工業生産 2026年1月(EUROSTAT)
   【経済】仏消費者物価指数 2026年2月確報(INSEE)
   【経済】英貿易収支 2026年1月(国立統計局)
   【経済】英鉱工業生産指数 2026年1月(国立統計局)
   【経済】英製造業生産指数 2026年1月(国立統計局)
   【経済】米国内総生産 2025年10-12月期改定値(商務省)
   【経済】米個人所得・支出 2026年1月(商務省)
   【経済】米消費者信頼感指数 2026年3月速報値(ミシガン大)
   【商品】米建玉明細報告(CFTC)
    【工業】全米石油堀削稼動数(米ベーカーフューズ)

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