プラチナの現物相場は、米国とイスラエルのイラン攻撃が支援要因となり、1月30 日以来の高値2427ドルを付けたが、有事のドル買いを受けて上げ一服となった。た だ主要7カ国(G7)財務相が石油備蓄の共同放出を協議したことや、トランプ米大統 領がイラン戦争について当初想定していた4〜5週間よりもかなり早く進んでいると述 べると、原油高が一服し、ドル安に振れ、押し目を買われた。イラン戦争が早期に集結 すると、リスク選好の動きが戻り、プラチナの支援要因になるとみられる。ただイラン の新たな最高指導者にハメネイ師の次男モジタバ師が選出されたことで先行き不透明感 が残っている。モジタバ師は対米強硬派とみられている。米大統領はイラン戦争につい て、イランの弾道ミサイル排除や海軍破壊、核兵器開発の放棄、テロ組織への武器・資 金の提供停止という4つの目標を示しており、モジタバ師がこれらの方針を受け入れな ければ暗殺の対象になるとみられる。 米経済指標でインフレ高止まりと労働市場悪化が示されたことは、米連邦準備理事会 (FRB)の舵取りを難しくする要因である。1月の米消費者物価指数(CPI)は前 年比2.4%上昇と前月の2.7%から伸びが鈍化したが、トランプ米大統領が関税政 策を継続することを発表したことやイラン戦争による原油高でインフレが続くとみられ ている。一方、2月の米雇用統計で非農業部門雇用者数は9万2000人減少し、前月 の12万6000人増から予想外のマイナスとなった。失業率は4.4%と前月の 4.3%から悪化した。人工知能(AI)スタートアップ企業のアンソロピックが、幅 広い業界の業務を自動化する新たなツール「クロード」を発表したことをきっかけにA I脅威論が広がった。これまでAIが職を奪うとされたが、業界のビジネスモデルが破 壊されるとの見方に変わり、米株式市場で多くの業界から資金が流出した。AI脅威論 の労働市場への影響も確認したい。 【プラチナは4年連続の供給不足見通し】 ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)の四半期報告によ ると、第4四半期の投資需要は予想以上に強く、2025年のプラチナの供給不足は 34トンと前年の29トンから増加した。2025年の総需要は旺盛な投資需要と宝飾 品需要の伸びに牽引され、前年比2トン増の258トンとなり、過去9年間で最高の水 準に達した。総供給量は同3トン減の224トン。2026年はおおむね均衡すると予 想されたが、今回の予想では7トンの供給不足となり、4年連続で不足見通しとなっ た。トレヴァー・レイモンドCEOは、「市場のひっ迫は継続する可能性が高く、投資 家は引き続きプラチナに関心を寄せ、年間を通じて地金・コイン、ETF(上場投信) の需要がさらに下支えされる」と述べた。中国の全国人民代表大会(全人代)で、 2026年の国内総生産(GDP)成長率目標は4.5〜5.0%に設定され、 2025年の5.0%から小幅に引き下げられた。中国のプラチナ需要が続くかどうか を確認したい。 【プラチナETFから投資資金が流出】 プラチナETF(上場投信)残高は3月9日の米国で43.46トン(1月末 45.06トン)、6日の英国で11.24トン(同11.34トン)、南アで 5.28トン(同6.50トン)となった。1月の史上最高値更新から調整局面を迎え たことで投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報 告によると、3月3日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万 3832枚(前週1万3240枚)に拡大した。ピークとなった昨年12月16日の 2万3293枚から大幅に買い越しを縮小したが、値を戻したことで新規買いが入っ た。 (MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行) *11日、Yahoo!ファイナンスに掲載された記事を再配信します。
みんなの株式をはじめ、株探、みんかぶFX、みんなの仮想通貨など金融系メディアの 記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコン テンツなど幅広く提供しています。