【米国とイランの和平協議の見通し不透明感がNY金市場の重石】 NY金6月限は15日に4600ドルを割り込んだ後は、4600ドルが抵抗線とな り、反発力が弱く推移。27日に4398.5ドルまで下落し、約2カ月ぶりの安値を つけた。米国とイランの和平協議の行方が注目されるなか、下値を模索した。 米国とイランの和平協議については両国の間で停戦の60日延長、ホルムズ海峡の開 放、イランの核開発計画を巡る交渉などが含まれた相互の覚書について協議を進めてい ると伝えられているが、この和平協議が現時点でどの段階まで達しているかという点に おいて両国間に違いが生じている。 米国側はこの協議に関して双方が合意に至るのは間近との姿勢を見せる一方で、イラ ン側は協議中の内容について多くの点で合意に至ったことを認めながらも、全ての点で 合意に至り署名が行われるのはまだ先との見方を示している。早い段階で戦闘終結を望 む米国に対し、粘り強く交渉を続けようとするイランの姿勢を明らかにする動きと言え るだろう。 米国とイランの戦闘終結は4月7日にトランプ米大統領がイランとの間で2週間の軍 事攻撃の停止に合意したと発表して以降、両国間で協議が進められている。 当初、戦闘終結の条件として挙げられている内容についてイラン側はウラン濃縮活動 の容認を含めた10項目を提案したとされる。これに対し米国側は核施設の解体、ウラ ン濃縮の全面停止、などを含めた15項目を提案したと伝えられていた。 両国間の提示している条件に大きな隔たりがあったことから、これまで最終的な合意 に向けた調整が行われ続けている。今回、多くの点で合意に至ったとされる覚書に関し ては、一時停戦を60日延長して核開発に関する協議を進めることや双方が合意して約 30日後にホルムズ海峡を開放し、開放後はイランによる通行料の名目による料金の徴 収が発生することなく各国の船舶は自由に航行することが出来る、などの案が含まれて いるとされる。 これに対し、イラン国営放送は、戦闘終結に向けた覚書の草案には、ホルムズ海峡の 開放に関しては無条件の開放ではなく、船舶の航行管理及びその通過に関する決定はイ ランが行うと同時に、イランへのホルムズ海峡の航行管理費用の支払いが含まれている と報じている。 米国側はこの報道を事実ではない、として否定しているが、戦闘終結に向けた協議が 進められている段階でイラン側からこのような報道が行われることは、イランがかねて から主張してきたホルムズ海峡の自国による管理を改めて求める狙いがあると見られ、 ホルムズ海峡の開放に関する協議が最終段階に向かうにはまだ時間を要する可能性を想 定させる出来事と見られる。 なお、4月7日に停戦合意が発表された時点で停戦の条件としてホルムズ海峡の開放 が挙げられていたが、これまでのところホルムズ海峡の開放には至っていないばかり か、その開放の条件について現時点でも話し合いが続けられている点に両国間のっ主張 の隔たりが窺われる。 そのため、トランプ米政権は最終合意間近、との見解を示しつつも実際には最終合意 に至るまでに時間を要する可能性が意識される状況というのが実情と見られ、それまで の間、ホルムズ海峡が解放されるとは見込み難く、これが原油価格の高止まりを引き続 き促す要因になってきそうだ。 28日は4月米個人消費支出(PCE)が発表されるが、原油価格の高騰がインフレ 高進を促している可能性が見込まれる。インフレ高進が明らかとなれば、米利下げ観測 の後退や金利の上昇が再びNY金の重石になってくると見られるため、その内容が注目 される。 和平協議の最終合意を急ぎたい米国とその米国を相手に自らの思惑の主張を行うイラ ンとの交渉を睨みながらの一進一退の動きがNY金市場でも続くと予想されるが、交渉 長期化の見通しが強まりインフレ高進懸念が更に高まるようであればNY金市場は下方 への圧力がさらに強まる可能性がある。 MINKABU PRESS
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