貴金属4品週間見通し=米利下げ先延ばし観測強まり金は低迷継続か

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
<金>
 NY金8月限は5月28日に4395.6ドルと3月22日以来の安値まで値を落と
した。その後、反発に転じたものの、4500ドル前後でのこう着状態が続いている。
 4日にはレバノンとイスラエルの停戦合意が伝えられたうえ、イランの凍結資産を解
放する仕組みについての協議が前進し、米国とイランの合意が最終段階に入っていると
アル・アラビーヤが伝えていることを受けて中東不安が後退していることがNY金市場
の下支え要因になっている。
 中東情勢不安は原油価格の高騰を招き、これがインフレ高進を促すと同時に米連邦準
備理事会(FRB)による利下げ観測の後退と米債券の金利上昇を促してきた。
 米国内ではインフレ高進にもかかわらず賃金が伸び悩んでいることで、米経済の
70%程度を占める個人消費にネガティヴな効果が表れる可能性も懸念事項として浮上
している。
 ただ、この懸念も人工知能(AI)の需要増加観測を受けて設備投資が活発化するな
か、製造業の好調が伝えられているほか、この設備投資が雇用を生み出していることに
相殺されており、米雇用の深刻な悪化は現時点では見られていない。
 今後、米国とイランの停戦協議が進展し米国とイランとの間で停戦の最終合意が交わ
されればNY原油の軟化が見込まれる。インフレ高進懸念が後退するという点ではNY
金にとっては買い支援要因になってくると見られる。
 その一方で、米製造業が好調を維持するなかでNY原油が軟化し、インフレ高進懸念
が後退すれば個人消費が活発化する可能性が高まり、FRBにとっては利下げを実施す
る根拠が和らぐことになる。
 レバノンとイスラエルの停戦合意について懐疑的な見方も見られるうえ、米国とイラ
ンは依然として攻撃の応酬を続けており、両国の停戦協議が最終合意に至るかについて
は依然として不透明感が強い。
 中東情勢不安は安全資産としての金需要を高める要因になり得るものの、原油価格の
本格的な軟化の見通しがつかないうえ、AI需要の高まりが米製造業や雇用情勢の好調
を支える状況下ではFRBの利下げ見通しがつかない。
 米国とイランの停戦協議の行方次第で高下する可能性があるが、NY金は引き続き頭
重い動きを強いられそうだ。
<銀>
 NY銀7月限は5月18日以降は7500セントを支持線として高下していたが、6
月に入ってから軟化傾向を強めてこれを割り込み、7500セントを抵抗線として意識
しながらの動きに転じている。
 最終合意が期待されながらも、米国とイランの停戦協議に停滞感が強いことが重石と
なっているが、一方でレバノンとイスラエルが停戦で合意した、と伝えられていること
が買い支援要因になっている。
 人工知能(AI)の需要増加を受けた設備投資活発化の動きにより、銀の旺盛な需要
が見込まれることが下支え要因となるなか、5月28日に付けた7200セントが目先
の下値支持線として意識されるなかでの底堅い動きが見込まれる。
<白金>
 NY白金7月限は5月18日から6月2日まで1900ドルを支持線としてもちあっ
ていたが、6月3日に1900ドルを割り込んだ後は1900ドルが抵抗線に転じてい
る。
 米国を始め、世界的に人工知能(AI)の需要が増加するなかその設備投資が活発化
し産業用としての需要の増加による需給引き締まりが見込まれていることが下支え要因
だけにここから先の下落余地は限られていると見られる。
 今年3月下旬以降、NY白金の中心限月は1800〜2200ドルで推移。期近7月
限は緩やか下落基調にある25日移動平均線が(1992.9ドル)が抵抗線。材料を
織り込みながら1850〜1950ドルで推移となるのではないか。
<パラジウム>
 NYパラジウム9月限は白金に追随する動きが続いている。今月3日の取引では今年
3月以来の低水準まで値を落としているが、これで目先の売りが一巡した可能性もあ
る。
 中東情勢次第で高下する可能性はあるが、目先は1300ドルを下値支持線として意
識するなかでの安もみ継続が見込まれる。
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