【金は米FRBのタカ派姿勢を受けて高まる利上げ観測が重石となり低迷か】 NY金8月限は6月11日に昨年11月上旬以来の安値となる4046.2ドルまで 下落した後、急反発に転じたが、22日の週を迎えて再び軟化に転じ、24日は一時、 3975.7ドルと昨年10月2日以来の水準まで値を落とした。終値で4000ドル 台を回復したが、下げ幅は3ケタに達している。 戦闘停止の暫定合意を交わした米国とイランは、その後も協議を続けているが24日 にはトランプ米大統領が、ホルムズ海峡を航行する船舶に対する通行料をイランは要求 していない、と米国に伝えてきた、と自身が運営するSNSトゥルース・ソーシャルに 投稿したことで、原油供給懸念が後退している。 24日のNY原油は中東からの原油供給懸念の緩和を受け、期近8月限は一時69. 69ドルまで下落している。 原油価格の下落により3月から5月にかけて進んだ物価の上昇に歯止めがかかること が期待されるが、その一方で物価の下落により消費意欲が高まる可能性も意識される。 特に、米国では原油価格が100ドルを突破する場面が見られるなどの高騰となってい た3月〜5月間に消費者物価指数(CPI)は5月には+4.2%に達するインフレ高 進となっていた。 それにもかかわらず米国の小売売上高の前月比は3月に+1.7%を記録して以降も 4月が+0.5%、5月が+0.9%と前月を上回る状態が続き、個人消費の底堅さが 示されていた。 また、時おり、弱気な米経済指標の発表が見られながらも、米雇用情勢も世界的な人 工知能(AI)需要の増加を受けたデータセンターの拡充や製造業の好調を受けて事前 予想を上回る伸びが見られている。 米国とイランの戦闘が開始された2月28日以降、中東情勢不安の高まりやインフレ 高進下にもかかわらず雇用情勢と個人消費の伸びが見られてきたことは、米経済に対す る安心感を強める要因となる。米経済成長への安心感が強い状況のなか、インフレ高進 の原因となっていた原油価格が軟化に転じたことにより、これまで抑制されていた個人 消費が更に刺激される可能性も高まっている。 このような中、米連邦準備理事会(FRB)は16日から17日にかけて開催した公 開市場委員会(FOMC)において、ウォーシュFRB議長は、物価は5年以上に渡っ て目標としている2%を大幅に上回る状態が続いていることを認識している、と語った うえ、物価の安定実現に向けた強い姿勢を示している。 ウォーシュ議長の物価対策に向けた強い姿勢やドットチャートでも2026年の政策 金利見通しが3月時点の年内利下げ1回から年内利上げ1回に変化していること受けて 米国では年内利上げ観測が強まっている。金は保有しても利息が発生することはないた め、利上げ局面では保有していることで利息を生み出す他の金融商品への投資意欲が高 まると予想される。 米国以外の国にとってドル買い傾向はドル建てで保有している外貨準備の資産価値の 変動のもととなるため、その価値安定のための資産として金を求める動きが見られる可 能性があり、これが引き続き下支え要因になってくると見られる。 とはいえ、米国の年内利上げ観測の高まりとドル買い傾向は引き続き金市場の重石と なり、NY金8月限は4000ドル前後での低迷が続くことになりそうだ。 MINKABU PRESS
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