金の現物相場は6月、米国とイランが戦闘終結に向けた覚書で合意したことが下支え になったが、米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ見通しが示されると、戻りを 売られ、昨年11月以来の安値3949ドルを付けた。米国とイランが覚書に署名し、 最終合意に向けて60日間協議する見通しとなった。必要なら交渉期間を延長するとい う。当面はホルムズ海峡が開放され、60日間無料で通航することになった。ただイラ ンは海峡の通航料を主張し、通航ルートの再設定に向け、オマーンと協議するとしてい る。米国と湾岸諸国は通航料の徴収を拒否するとしており、今後の米国とイランの協議 の行方を確認したい。またイランの核開発問題や制裁緩和、復興基金も協議される見通 しだが、米共和党強硬派が復興基金について、譲歩しすぎと反対している。一方、レバ ノン停戦も含まれているが、イスラエルはレバノン南部からの撤退を拒否しており、親 イラン武装組織ヒズボラに対する対応を確認したい。イランは覚書の条件が満たされな ければ交渉に応じないとの姿勢を示している。 【BofAは米FRBのタカ派化で年内3回の利上げを予想】 米連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を 3.50〜3.75%に据え置くことを決定した。ただ政策担当者の半数近くが今後の 利上げを予想した。ウォーシュ新連邦準備理事会(FRB)議長は見通しを示さなかっ たが、バンク・オブ・アメリカ(BofA)が米FRBのタカ派化で年内3回の利上げ を予想するとドル高に振れ、金の圧迫要因になった。5月の米個人消費支出(PCE) 価格指数が予想通りとなったことでドル高は一服したが、前年比4.1%上昇と 2023年4月以来の大きな伸びとなり、インフレ高止まりに対する懸念が残ってい る。米国とイランの協議が進むとともにホルムズ海峡の原油輸送量が回復し、原油安や ガソリン価格の下落につながればインフレが落ち着くとみられるが、正常化には時間が かかるとの見方も強い。CMEのフェドウォッチで、12月のFF金利の誘導目標水準 は3.75〜4.00%と年内1回利上げの確率が39.6%(前月36.4%)とな っており、年内2回利上げの確率も31.5%(同8.1%)に上昇した。今週は7月 2日に6月の米雇用統計の発表がある。 【米FRBの利上げ見通しで金ETFから投資資金が流出】 世界最大の金ETF(上場投信)であるSPDRゴールドの現物保有高は、6月29 日に1005.08トン(5月末1029.14トン)となった。米国とイランの覚書 署名を受けて買われる場面も見られたが、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見通し を受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報 告によると、ニューヨーク金先物市場でファンド筋の買い越しは6月23日時点で 18万1339枚(前週18万0220枚)となった。ニューヨーク金が4000ドル の節目を試し、安値拾いの買いが入るなか、買い越しは1月27日以来の高水準となっ た。ただ米FRBの利上げ見通しが圧迫要因であり、4000ドルの水準で下げ止まる かどうかを確認したい。 (MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行) *1日、Yahoo!ファイナンスに掲載された記事を再配信します。
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