【金は根強い年内の米利上げ観測が重石】 NY金8月限は6月24日に4000ドルを割り込んで一時3975.7ドルと昨年 10月2日以来の水準まで下落し、続く25日も4000ドル以下まで値を落とした。 その後、買い戻されて4100ドル台まで値を伸ばしたが、6月末にかけて再び売り直 されており、30日には3955.4ドルと昨年9月末以来の水準まで軟化している。 1日はADP米雇用者数が事前予想を下回ったことが買い支援要因となって反発に転 じて終値ベースで4080ドル台を回復した。これまで堅調だった雇用に軟化が窺われ る状況が浮上したことで、経済拡大見通しに不透明感が強まったうえ、雇用の軟化がイ ンフレ高進の重石になってくる可能性が意識されたことも一因となっている。 また、その一方で欧州中央銀行(ECB)が主催したECBフォーラムにおいて米連 邦準備理事会(FRB)のウォーシュ議長が、このところの原油価格の下落を受けて米 国でのインフレリスクは低下しているとの見方を示し、これが利上げ観測を後退させた ことも1日の金浮上の要因になっている。 6月のNY金は6月16〜17日に開催された米公開市場委員会(FOMC)では金 利の据え置きが決定されたながらも、FOMC後の記者会見でウォーシュFRB議長は 物価安定を求める姿勢を明らかにしたことで年内利上げ観測が高まったことが重石にな ってきた。 特に6月FOMCで示された26年末の政策金利の見通しは前回の+3.4%から+ 3.8%に大幅に引き上げられており、現在の政策金利である3.5−3.75%から 想定すると0.3%ほどの利上げが必要となるとの見方が年内利上げ観測を支える根拠 となっている。 CMEのFedWatchによると、ウォーシュ議長のECBフォーラムでの発言を 受けて、7月時点での利上げを予測する比率は6月30日時点の33.7%から28. 3%に、9月時点は66.9%から63.9%に低下した。ただ、12月時点の利上げ を予想する比率は6月30日時点の82.7%から7月1日時点では84.6%まで上 昇している。早期利上げ観測は後退しながらも、年内の利上げは高く予想されている状 態となっている。 金にとって利上げは、金利による差益を産まないだけに金利による差益を産む資産へ の投資意欲が高まるという点、そして国際市場ではドル建てで取引されるため、ドル建 て金の価格に割高感が強まり、結果として金への投資意欲が後退する点から上値を抑制 する要因になってくる。 米国とイランの間での戦闘の応酬が警戒されたながらもカタールらの仲介により協議 が進められていることで、ホルムズ海峡が解放されるとの期待感が強いことが原油の重 石になっている。原油安が米個人消費を活発化させる要因となりえ、金市場にとっては 弱材料だが、早期利上げ観測を後退させる要因にもなり、強弱双方の側面が意識される 状況となっている。 これまでは米国の雇用が順調に増加してきたうえ、世界的な人工知能(AI)需要の 増加を受けたAIのデータセンター拡充および設備投資の動きを受けて製造業も好調を 維持してきた。年内の利上げ観測が根強いため、NY金の上げ余地は限られた状況が続 くと見られるが、7月1日に続いて2日も米雇用統計や製造業関連の経済指標の発表が 続く。米利上げ観測を後退させる弱気な内容であれば、金市場にとっては押し上げ要因 となってくるだけにどのような内容の発表になるかが注目される。 MINKABU PRESS
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