コモディティレポート(金)

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【米財政悪化への警戒感がNY金の買い支援要因で4600ドル台が視野に】
 NY金12月限は今月5日から10日にかけて急伸し4400ドルを上抜いた後は4
400ドルが支持線になる一方で4500ドルに近づくと上値が重くなるもちあいとな
っていたが19日に4500ドルを大きく突破。4582.8ドルと今年6月4日以来
の高水準を記録し、終値ベースで4580ドル台を維持した。
 急伸の背景となったのは、米財務省による米長期債の買い入れ規模を倍増するとの発
表だった。米財務省の発表によると、買い入れ期間は9月9日〜11月4日間で、対象
となるのは残存期間が10〜20年、20〜30年の固定利付債券で、1回あたりの上
限額がこれまでの20億ドルから40億ドルに引き上げられる。
 米国では米国とイランの最終的な戦闘終結に向けた協議も難航し中東情勢の見通し不
透明感が強まるなか原油価格が上昇しているうえ、トランプ米政権による関税拡大、世
界的な人工知能(AI)需要の大幅な高まりの影響が電子機器の価格にも及んでいるこ
とを受け、インフレ高進への警戒感が強まっており、米金利に押し上げ圧力を与えてい
る。
 また、インフレ懸念に加え、米国の7月財政収支では赤字額は過去最大となる432
0億ドルに達していたことで、米30年債の利回りは18日に2007年以来の高水準
となる5.337%台まで上昇した。
 金利が上昇することは、企業にとっては資金調達コストの増加、新規の設備投資控え
の動きを誘発する可能性がある。また、消費者にとっては住宅や自動車などのローン金
利には押し上げ圧力が強まることとなる。実際、米国では高金利の影響で住宅販売戸数
は伸び悩んでいる。
 今回、米財務省が不意打ちに債券買い入れ増額の発表を行ったのは、米金利上昇に対
する警戒感が強まっている可能性を示唆すると考え得ることができるだけに、これが米
利上げ観測の後退を促すものとなる。
 とはいえ、米金利には引き続き上昇圧力がかかってくる可能性がある。不安定な中東
情勢が続くなかで国防関連支出の増加が見込まれるうえ、トランプ関税に対し米連邦最
高裁が今年2月に違法の判断を下していることで、輸入企業に対する還付の必要が発生
しているからだ。
 また、不安定な中東情勢は原油高を招き米国のインフレ高進を促す一因であり、引き
続き金利に押し上げ圧力を与えると予想される。
 なお、米国の26年赤字見通しを米議会予算局(CBO)は2月の当初予想を200
0億ドル上回る2兆1000億ドルと試算されていることで、米国債が増発される可能
性も残っている点にも注意が必要となっている。
 米財務省によるサプライズ的な長期債の買い入れ規模増額発表は、米財政に対する不
安を高める要因となる。NY金にとって買い支援要因になってくると見られ、12月限
は4600ドル台が視野に入ってきそうだ。
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