石油週間見通し=全値戻しなるか否か、米国のイラン経済制裁強化案に注目

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【前週のレビュー】ニューヨーク原油9月限は7月23日の高値93.50ドルから8
月5日の安値74.24ドルまでの下げ幅の半値戻し(83.87ドル辺り)達成後に
反落基調となっているが、このまま下落するのか、押し目底を付けた後に再び反転する
のか注目したい。反転する場面の下値メドは80ドルの節目、下げ幅の23.6%戻し
の78.79ドル辺りとなるとした。

【NY原油10月限はほぼ全値戻し、目先は88ドル突破が焦点】
 ニューヨーク原油9月限は20日に納会したため、10月限が指標限月となるが、そ
の10月限で見ると、直近の戻り高値は87.69ドルと、前回の戻り高値である7月
23日の高値88.07ドルに迫った。目先の上値目標は全値戻しの88.07ドル、
90ドルの節目、一代高値の91.27ドルなどになるが、材料次第では十分に到達可
能だろう。買い囃された場合、前述の88.07ドルから8月5日の安値73.10ド
ルまでの下げ幅の1.618倍戻しに当たる97.32ドル辺りまであり得る水準とな
る。まずは88ドル水準を突破できるか否かがチャート上の焦点。

 材料的には、米国とイランが再び緊迫化してきたことが支援材料となっている。米国
とイランが6月に交わした覚書が16日に60日間の期限を迎えたが、その後も履行を
求めるイランとそれを無視する米国の対立が激化している。
 注目材料のひとつであるホルムズ海峡の通過船舶数も調査会社、ケプラーによると、
20日は7隻にとどまった。このところひとケタ隻、あるいは10隻台前半と少なく、
この調子が続くと、8月の1日平均通過数が10隻程度となる可能性が高い。米国とイ
スラエルのイラン攻撃以前の水準は140隻であるから引き続き供給懸念は続いてい
る。

 目先の最大の焦点となっているのは、24日に米国が予定するイランへの経済制裁の
強化案の発表。これまで主要なイベントを週末に行って週明けの原油相場をアジアの時
間帯から大きく振幅させてきた米国政府だが、今回の発表は週明けとなる。
 各国に対して「米国に付くか、イランに付くかを求める」と相変わらず恫喝的な物言
いだが、イランとの結びつきが強い中国の制裁参加については言及していない。当然イ
ラン側は「経済テロ」と反発している。
 ともあれ、24日の発表の内容とそれに対する原油の反応に注目したい。

 なお、原油相場にはあまり関係ないが、9カ月間、中東に展開した米空母「エイブラ
ハム・リンカーン(母港はサンディエゴ)に替わって、20日からジョージ・ワシント
ン(母港は横須賀)が中東展開となったことで、太平洋地域での米空母打撃群がゼロと
なっており、日本の安全保障上の問題が浮上している。
 ゼロになったのは、2020年に空母「セオドア・ルーズベルト」の艦内で新型コロ
ナウイルスの集団感染が発生して以来のこと。
 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は8月に入って過去最高値後に高値か
らの反落基調が鮮明になってきたが、まだ5万2000ドル台は維持している。
 ドルインデックスは反落基調が鮮明。直近は99ポイント台を割り込み、98ポイン
ト台後半で推移。

【7月の中国の原油輸入、全体としては急減もロシア産は増加】
 統計物では、世界最大の原油輸入国である中国の7月の原油輸入は3537万トン
と、前年同月比24.3%の大幅減少となった。ただ、ロシア産原油は915万トン
と、同5%増となった。一方、中東緊迫化を映して、サウジアラビア産は533万トン
と、同28.7%の急減。また、イラン産の積み替え地と見られるマレーシアからの輸
入は151万トンと、同64.3%も急減した。

【東京原油のテクニカル分析】
 東京原油の6番限である1月限は直近、7万5000円の節目やそれに近い21日移
動平均線でもあるボリンジャーバンドの中心線(7万4310円辺り)を下値支持、1
シグマ(6万8090円辺り)を上値抵抗としたもみ合いとなっている。

【NY原油、ブレント原油のテクニカル分析】
 ニューヨーク原油10月限は20日の大陽線で、7月23日の高値88.07ドル
や、ボリンジャーバンドの2シグマ(88.17ドル辺り)が視野に入って来た。
 ブレント原油10月限も似たような値動きで、20日の大陽線で、7月23日の高値
95.30ドル、ボリンジャーバンドの2シグマ(95.69ドル辺り)が視野に入っ
てきた。

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