<金> NY金12月限は8月5日に急伸して抵抗線の4200ドルを上抜いた後は4400 ドルを支持線とするもちあいにシフトした。しばらくもちあった後に再度、騰勢を強め て19日に4580ドルまで値を伸ばした。その後、4600ドルが近くなると上値が 重くなっているものの4500ドル台後半を維持して堅調に推移してている。 8月5日以降の急伸は、一時は中東情勢不安が緩和されてホルムズ海峡の航行通常化 期待が高まり、原油が値位置を落とすなか、利上げ観測が後退したことが背景となっ た。 その後は米国とイランの交渉が難航するに伴い伸び悩みに転じていたものの、米財務 省が米長期債の買い入れ規模を倍増すると発表したことがサプライズとなって金利が低 下し、これが19日の急伸を促した。 米財務省による残存期間が10〜20年、20〜30年の固定利付債券の買い入れ規 模の倍増は、米財政赤字に対する警戒感から米30年債の金利が18日に2007年以 来の高水準となる5.337%台まで上昇するなか、この金利の上昇緩和を求めた動き と見られる。 金利の上昇は、企業にとって資金調達コストが上昇することを意味するため、今後の 設備投資の停滞などを招きかねない。また、個人消費者にとっても、車や住宅ローンの 高止まりが促されることとなるため、米国内総生産(GDP)の70%程度を占める 個人消費にマイナスの影響が出るリスクが高まる。 その影響を考慮したうえでの今回の長期債買い入れ規模の倍増発表で、これは米財務 省の金利上昇に対する警戒感の強さを示す動きと見られる。 米金利は今後も上昇圧力がかかってくる可能性が高い。米議会予算局(CBO)によ ると米国の2026会計年度(2025年10月〜2026年9月)の財政赤字額は2 月に発表された当初予想を2000億ドル超上回る2兆1000億ドルに達する見通し となっているからだ。 また、中東情勢不安を背景とする原油の高止まりやトランプ政権による関税政策、 世界的な人工知能(AI)需要増を映した電子機器類の価格上昇など、インフレ高進は 複数の要因が絡み合って促されている。そのため、原油価格が軟化してもインフレ率の 大幅な低下は見込み難い。 米財務省の金利の上昇に対する抵抗感は、NY金市場にとって買いを支援する要因に なると見られ、引き続きNY金12月限は4600ドル手前という現在の水準を維持 することが見込まれる。ただその一方ではインフレ高進が促されやすい環境、そして これが金利の押し上げ要因となる傾向が重石となり、4600ドルを大きく超えてくる 可能性は低いと見られる。 <銀> NY銀9月限はしばらく6500セントを挟んでの高下となっていたが、NY金の急 伸を映した買いを受けて20日に6904.5セントと6月18日以来の高値まで浮上 した。 とはいえ、9000セント台に達した5月半ばまでの動きで、工業用としての需要 増加観測には織り込み感が強く、ここから更に浮上するための独自の手掛かりには乏し い。 金の高止まりが見込まれることで、6500セントを支持線にしてのもちあいとなり そうだ。 <白金> NY白金10月限は、8月5日から18日にかけて1800ドルを抵抗線にしてもち あいとなっていたが、19日に1800ドルを突破。続く20日は続伸となり、今年6 月5日以来の高値となる1849.1ドルまで浮上している。 米財務省による長期債買い入れ規模の倍増発表を受けて急伸した金に連動する動きで あり、8月上旬から半ばにかけて伸び悩んでいた反動からの買い戻しも一因になってい ると見られる。 21日のアジア時間の時間外取引で大幅続伸となり、一時1880ドル台まで上値を 伸ばした。21日の日中取引で1850〜1880ドルのレンジを維持できるかに注目 したい。反落となった場合、1800ドルを支持線にしての下値堅く推移を見込む。米 金利の動向に注意が必要だ。 <パラジウム> NYパラジウム9月限は8月12日から19日にかけて軟化しながらも1300ドル 割れには抵抗を見せる底堅い動きとなっている。 一方で1350ドルが近づくと伸び悩みに転じるなど、上昇に対しても抵抗を窺わせ た。独自の材料に乏しいため、チャート面からもちあい継続が予想される。 MINKABU PRESS
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