中東情勢が依然不安定でドル高 ドル円は介入後の戻り高値更新=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
中東情勢が依然不安定でドル高 ドル円は介入後の戻り高値更新=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、ドル高が優勢となり、ドル円は160円台前半での推移となった。160.25円付近まで上昇し、本日は介入後の戻り高値を更新。それでも介入前の水準からはまだ距離があり、介入のハードルは高いとも見られている。

 中東情勢が依然不安定で原油価格が上昇。本日の取引時間中にも米軍がイランの革命防衛隊の施設への攻撃を開始したと伝わり、イラン側も報復すると伝わっていた。インフレへの懸念からFRBの利上げ観測が強まり、世界的な債券売りに繋がっている。主要国の長期金利が約20年ぶりの高水準まで上昇する中、為替市場ではドル高が優勢となり、ドル円を下支えしている。

 日本でも長期金利の上昇が続き、10年債利回りは1996年以来の3%台に上昇。米国で開催されているG20では、ベッセント財務長官から日銀の利上げを促す発言も出ており、短期金融市場では9月利上げを94%程度の確率で織り込んでいる。ただ、いずれも円高には繋がっていない。

 日本国債の利回り上昇は年初と比べれば緩やかで、現時点で金融市場に大きな混乱をもたらす可能性は低いとも見られているようだ。国債利回りが急上昇(債券価格下落)すれば国債を保有している保険会社や年金基金へのストレスが強まる可能性はあるものの、日銀が国債購入の増額に動くには、さらに急激な市場の不安定化が必要だという。

 海外のエコノミストからは、日銀が国債買い入れを増額して長期金利を直接抑えるよりも、利上げペースを速めることでインフレに対応する可能性が高いとの見方が出ている。足元の日本国債売りは世界的な債券売りの一環であり、国内の国債買い入れだけで金利上昇を抑える効果は限られるという。

 ユーロドルは戻り売りが優勢となり、再び1.15ドル台に値を落とした。前日サポートされた100日線の1.1570ドル付近が目先の下値サポートとして意識されるが、そこにはフィボナッチ38.2%戻しの水準も来ており、割り込むようであれば、50%戻しの1.1530ドル付近への下落の可能性が高まる。一方、ユーロ円は186円手前で上値を抑えられているが、下押す動きもなく、さらなる上値を試しそうな気配も出ている。

 ECBとFRBの金融政策決定を控えているものの、ユーロドルのオプション市場ではヘッジ需要が盛り上がっておらず、予想変動率は低水準に留まっている。1週間物のインプライド・ボラティリティは年初来の平均を下回っており、2週間物も同様。FOMCをカバーする3週間物も低い。

 ウォーシュ議長はフォワードガイダンスを抑える方針を示しているため、本来であれば政策の予見可能性が低下し、為替のヘッジコストは上昇しやすい。それにもかかわらず、予想変動率が低いことは、市場参加者が様子見姿勢を強めていることを示唆している。

 ポンドドルは1.35ドル台前半に下落。きょうの下げで21日線を下回っており、明日以降の動きが注目される。一方、ポンド円は216円台半ばでの推移。上値は重くなっているものの、下押す動きもなく方向感はない。

 アナリストは、英経済について足元ではG7で最も高い成長を記録しているほか、生産性が持ち直し、労働市場も安定しつつある兆しが見られると指摘。インフレもこれまでのところ想定以上に落ち着いていると評価している。

 ただ、こうした好調さが持続するとは限らないとの見方も示した。最近の景気の強さは暖かい天候やW杯による押し上げ効果が大きく、これらは一時的な要因と見ている。今後は個人消費に息切れが見られる可能性があるほか、新たな物価上昇圧力によって消費者物価指数(CPI)が再び加速するリスクもあるという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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