コモディティレポート(金)

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【NY金は米長期債の利回り高止まりと米利上げ観測の後退に挟まれもちあいか】
 NY金12月限は9月25日まで4300ドルを下回ると買い戻される底堅い動きと
なっていたが、28日に大きく下落して8月5日以来の安値となる4143.1ドルを
記録した。その後、反発したが9月30日に4200ドル台まで値を伸ばす場面が見ら
れたが、転売が見られて終値ベースでは4200ドル台を維持できず、頭の重さを感じ
させる動きが続いている。
 約2か月振りの水準まで値を落とし、8月上旬から8月下旬にかけ記録した530ド
ル程度の上げ幅は概ね相殺した。金の頭重い動きの背景は、米長期債の利回り上昇だ。
 30日時点の米10年債の利回りは5.30%に達する場面が見られたほか、30年
債も5.5%台と2002年6月以来の高水準で推移している。金は金利が発生しない
ため、利回りにより差益の出る債券へと需要が見られることがNY金市場の上値抑制要
因になっている。
 米長期債の利回り上昇は、インフレ高進、米財政悪化に対する警戒感が背景になると
同時に、巨額の資金調達を進めている人工知能(AI)関連企業が、設備投資資金確保
のために積極的に社債を発行していることも一因となっている。
 そのうちインフレ高進に関しては、NY原油11月限は9月中旬の95〜100ドル
前後から90〜95ドル前後まで値を落としたことで、過度な警戒は緩和された。原油
価格の下落は、米国とイランはそれぞれ個別に仲介国と協議を行い、イラン側は必要と
される条件が満たされた場合にはホルムズ海峡を開放するとする計画を米国に提示する
一方、米国はイランへの制裁緩和に応じる可能性を示したことが背景となっている。
 しかし、現在のインフレ高進は原油価格の高騰だけではない。トランプ米政権による
関税の引き上げ、世界的な人工知能(AI)需要の増加とこれを受けた電子機器類の価
格上昇、荒天や供給不安を受けた穀物価格の高騰など、複数の要因が絡み合った結果と
なっている。
 そのため、原油価格の下落によってインフレ高進が和らぐと予想されるものの、米連
邦準備理事会(FRB)が目標とするインフレ率2%達成を促すほどの効果は予想し難
い。
 また、米財政赤字に関しても2026会計年度の8月までの累計赤字額は前年同時期
とほぼ同程度の1兆9700億ドルとなっているが、米議会予算局(CBO)の7月末
時点での試算によると、2026年度通期の財政赤字は、高金利の影響を受けた国債の
利回りの支払い、トランプ関税の違憲判決による関税の還付増加により2兆1000億
ドル程度まで増加する見通しとなっている。
 これらの要因を受けて米長期債の利回りは今後も高止まりすると予想され、引き続き
高金利がNY金の上値を抑制する要因になってくると見られる。
 ただ、その一方では米8月雇用動態調査が事前予想の720万件を割り込む707万
件にとどまったうえ、9月米消費者信頼感指数が81.9と市場予想の89を下回るな
ど、弱気な経済指標の発表が続いたことで米利上げ観測が後退したことにNY金は下値
を支えられている。
 2日には米雇用統計の発表を控えているが、その内容次第では米金融政策の見通しに
変化が現れる可能性がある。そのため、米雇用統計の内容が注目されるところだが、米
国とイランの交渉進展期待がNY金の下支え要因となる一方、米長期債の利回り高止ま
りが重石となり、NY金は12月限は4200ドル前後での高下が続くと予想される。
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