【NY金はインフレ高進を受けた年内追加利上げ観測が引き続き重石】 NY金12月限は10月23日に2025年9月下旬以来となる4000ドル割れを 示現し3989.1ドルまで値を落とした後は買い戻す動きが見られながらも407 9.4ドルまで浮上したところで売り戻される頭重い動きとなっている。 このように金価格が下落するなかSPDRの金ETF残高は今月19日には105 9.04トンを記録していたが、その後、22日に大きく減少して1045.64トン を記録。その後も減少が続いて今月26日には1040.80トンに達した後は増加に 転じたが、27日時点の残高は1041.65トンにとどまっている。 フランスの政情不安にもかかわらずSPDR金ETF残高に増加の傾向が見られない のは、米長期債の利回りが5%台を維持するなど欧州や米国の債券の利回りが高止まり するなか、金利による差益を産まない金よりも金利としての差益が生じるうえ、金と同 様に安全資産としての役割を持つ債券への指向性が高まっていることや、米国での年内 追加利上げ観測が背景と見られる。 10月27日から28日にかけて開催された米公開市場委員会(FOMC)ではフェ デラルファンドレート(FFレート)の据え置きが決定された。その一方で、12月開 催のFOMCでは追加利上げが実施されるとの見方が強まっている。 追加利上げ観測の最大の根拠となっているのはインフレ高進傾向で、特に10月23 日に103.92ドルまで上昇したNY原油12月限はその後は反落に転じながらも1 00ドル台を維持していることがインフレ高進観測を強めている。 特にNY原油12月限が9月の最高値だった96.41ドルを10月15日以降は上 回る水準での往来が続いていることが警戒される。この原油価格の高騰を受け、10月 の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で+3.7%と前月以上の伸びを見せた9月 CPIを上回ってくる可能性が高い。 実際、米連邦準備理事会(FRB)のウォーシュ議長は10月FOMC後の記者会見 でインフレ率が高過ぎる、としたうえで、このインフレの経済全体への波及を抑制しイ ンフレ予想の安定した状態の維持をFRBの目標、と言及しており、物価安定に向けた 姿勢を見せている。これを受け、12月FOMCでの追加利上げを見込む比率は84. 6%となっており、今後も年内追加利上げが強く意識された状況が続くと予想される。 この安全資産を求める動きや年内追加利上げ観測に加えて金価格の上値抑制要因にな り得るのが、アンソロピック社による新規株式公開(IPO)に向けた目論見書の提出 だろう。同社の上場規模は過去最大級となる可能性が見込まれることを受け、これまで 収益性に対する警戒感から売り込まれていた人工知能(AI)関連株が買い戻される動 きが見られている。 すでに債券市場ではAI関連企業が資金調達のために社債を発行していることと競合 していることが、長期債の利回り上昇の一因となっている。金市場においてもアンソロ ピック社のIPOによりリスクオンの動きが高まり、株式市場に資金が流入する可能性 が高まることが上値圧迫要因となり得る。 米国の中間選挙は11月3日と間近に控えているが中東情勢の見通しには依然として 不透明感が強い。これが原油価格の高止まりを招いているが、新たにNY原油価格の下 落を促す要因が台頭するようであれば、NY金市場にとっては価格押し上げ要因になっ てくるだろう。 一方でNY原油が高止まりし年内追加利上げ観測が根強い状況下では、引き続き41 00ドルを上値抵抗線にしての高下が続くことになりそうだ。 MINKABU PRESS
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