対談:小次郎講師 × 陽和ななみ
陽和:
今日は「かぶオプ」についてお話を伺いたいと思います。まず、かぶオプの正体について教えていただけますか?
小次郎講師:
かぶオプは、正式名称を「有価証券オプション」と言います。簡単に言うと、個別株のオプション取引のことですね。
陽和:
一般のオプション取引とは違うのですね?
小次郎講師:
そうです。日経225のオプション取引が有名ですが、かぶオプは個別の会社の株式を対象としています。実は日本では昔からあったのですが、あまり活発ではありませんでした。
陽和:
オプション取引の歴史について教えていただけますか?
小次郎講師:
面白い話があります。紀元前600年頃、ギリシャの数学者タレスが始めたのです。気象の知識を使ってオリーブが豊作になることを予測し、町中のオリーブ絞り機を借りる権利を確保したのです。結果、大豊作となり、その権利を高値で売って大儲けをしました。これがオプション取引の始まりです。
陽和:
現代でも似たような例はありますか?
小次郎講師:
はい、企業の「ストックオプション」がいい例です。会社が社員に自社株を一定価格で購入できる権利を与えるもので、会社が成長して株価が上がれば社員も利益を得られる仕組みです。
陽和:
2024年9月に大きな改革があったと聞きましたが?
小次郎講師:
そうです。マーケットメーカー制度を導入して、12銘柄を対象に取引がしやすくなりました。簡単に言うと、いつでも売り買いができる相手がいる状態を作ったのです。
陽和:
対象の12銘柄を教えていただけますか?
小次郎講師:
主な銘柄として、トヨタ自動車、ファーストリテイリング、東京エレクトロン、ソフトバンクグループなどです。特に高額な株式でも、オプションなら少額で取引できるのが特徴です。
陽和:
具体的な例を見てみたいのですが。
小次郎講師:
では、東京エレクトロンの例を見てみましょう。2024年9月の実例です。通常の株式取引だと224万6,500円必要なところ、オプションなら41,550円から取引できました。結果、株式取引の利益率が22.3%だったのに対し、オプション取引では641.2%の利益が出たケースがありました。
陽和:
すごい数字ですね。でもリスクもあるのですよね?
小次郎講師:
その通りです。これは成功例であって、必ずこうなるわけではありません。ただし、買い取引の場合は、最初に投資した金額以上の損失は出ません。ファーストリテイリングの例でも、4,260円から取引を始められ、うまくいけば4,510.3%の利益も出た例がありました。
陽和:
初心者の方へのアドバイスをお願いします。
小次郎講師:
まず、12銘柄の中から選んで取引を始めることをお勧めします。そして、初心者は「買い」取引から始めるのが安全です。「売り」取引は損失が限定されないので、経験を積んでからにしましょう。何より、しっかり勉強してから始めることが大切です。 陽和:本日は貴重なお話をありがとうございました。少額から始められ、損失が限定される「買い」取引は、投資初心者の方にも検討の価値がありそうですね。
ええ、ぜひ興味を持った方は、十分に学習してからチャレンジしてみてください。
陽和:
本日は貴重なお話をありがとうございました。少額から始められ、損失が限定される「買い」取引は、投資初心者の方にも検討の価値がありそうですね。
あ、そうそう、最近よく聞く「カバードコール」について教えていただけますか?
小次郎講師:
ああ、カバードコールは投資家の間で人気の戦略の一つですね。これは現物株を保有しながら、その株のコールオプションを売る戦略です。
陽和:
具体的にはどういった取引なのでしょうか?
小次郎講師:
例えば、ファーストリテイリングの株を100株持っている場合、その株を担保にしてコールオプションを売るのです。これにより、プレミアム収入が得られます。
陽和:
プレミアム収入というのは、オプションを売って得られる収入のことですね。メリットはどんなところにありますか?
小次郎講師:
大きく3つあります。まず、株価が横ばいで利益が出ない場合や少し下がった場合でも、プレミアム収入で利益を出せたり、損失を軽減できます。次に、上昇局面でも権利行使価格までの値上がり益とプレミアム収入が得られます。そして、定期的な収入が期待できるという点です。
陽和:
デメリットもありそうですが...
小次郎講師:
はい、最大の注意点は、大幅な株価上昇時に利益が限定されることです。例えば、権利行使価格を5万円に設定したコールオプションを売り、株価が6万円まで上がった場合、5万円を超える値上がり益は得られません。
陽和:
なるほど、株価が大きく上がる可能性がある場合は、慎重に検討する必要がありそうですね。
小次郎講師:
その通りです。カバードコールは、株価が大きく動かないと予想される銘柄や、比較的高配当の銘柄で実施されることが多いです。投資家の皆さんは、自身の投資方針や市場見通しに合わせて、この戦略を検討してみてください。
陽和:
本日は、かぶオプの基本から応用戦略まで、大変勉強になりました。ありがとうございました。
小次郎講師:
こちらこそ、ありがとうございました。
参考情報
かぶオプの詳しい情報については、株式会社大阪取引所のページも併せてチェックしてみてください。解説コンテンツをはじめ、取扱い会社や関連情報などが発信されています。
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