週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週の原油相場は、中東情勢の緊迫化で週初に上昇したあと、サウジの価格政策や米国の発言を受けて100ドル前後まで押し戻される展開でした。週明けは、イエメンでの軍事衝突とホルムズ海峡でのタンカー攻撃を受けて、ブレントが一時103ドル台へ急伸しました。10月に入ってからの海峡でのタンカー攻撃は9件に達し、9月全体の半数にあたるペースです。一方で、海峡を通る原油の流れは戦前比で約80~90%(日量約2,000万バレル)まで回復しており、供給が止まったままではありません。流れを変えたのは、サウジアラムコの11月積みアジア向け公式販売価格(OSP)の大幅引き下げです。前月比3ドル安、対オマーン/ドバイ平均比でマイナス5ドルとなり、市場予想(3~5ドルの引き上げ)を大きく裏切りました。2020年6月以来の大幅なディスカウントで、アジア市場でのシェア確保を優先した動きと説明されています。週後半には、EIA(米エネルギー情報局)の週間統計で原油在庫が320万バレル減少しました(予想は170万バレル増)。ガソリン在庫は予想外に増え、ディーゼルなどの留出油在庫は5年平均を12%下回る水準が続いています。米国の原油生産量は日量1,400万バレルと過去最高を維持しました。G7が最大1億バレルの協調放出を協議していることも、上値を抑える材料でした。さらに週末にかけては、トランプ大統領が中間選挙前の対イラン攻撃を見送る考えを示したと報じられ、原油は急落しています。

みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 今週の焦点は、ブレント原油が100ドルの節目を守れるかどうかです。基本シナリオは99~103ドルのレンジ推移で、OSP引き下げの余波や生産の回復で上値は重い一方、タンカー攻撃の継続と石油製品の需給逼迫が100ドルを支えるとの見方です。中東情勢では、攻撃見送りを表明したトランプ大統領に対するイランの出方が最大の変数です。ホルムズ海峡での攻撃が続き、イランの洋上原油在庫がゼロになったことが確認されれば、ブレントは105~110ドルへ再浮上するリスクがあります。反対に、外交が進展し、G7による最大1億バレルの備蓄放出が実施されれば、95~98ドルへ反落する可能性があります。IEAが緊急放出を正式に決めるかどうかも、週内の焦点になります。マクロ面では、米9月CPIの結果がFRBの利上げ観測とドル相場を左右します。FOMC議事録では、大半の当局者が年内の追加利上げを想定していたことが確認されており、CPIが市場予想を上回ればドル高が進む可能性があります。反対に、予想を下回れば利上げ観測が後退し、ドル安を通じて資源価格の支えとなる展開が考えられます。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

岡地株式会社
国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。