ドル買い優勢もドル円にポジティブな雰囲気はない=NY為替前半

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 きょうのNY為替市場はドル買いが優勢となっている。ただ、ドル円の上値は重い。トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都として認定する方針を表明したことで、市場は中東情勢への地政学リスクを意識している。きょうの日経平均は大幅安となっていたが、円相場もリスク回避の円高が強まりドル円を圧迫した。トランプ大統領からのノイズは常にそこにあるリスクとうことを再認識させられる。

 一時111円台を付ける場面も見られたものの、NY時間に入って米株が底堅く推移していることから、いまのところ112円台は維持されている格好。ただ、米国債利回りは長短とも低下しており、ドル円にとってポジティブな雰囲気はない。

 この日発表になったADP雇用統計は予想通りだったほか、第3四半期の労働生産性は予想を下回ったものの、大きな反応はなく通過している。

 米税制改革法案や債務上限引き上げなど米政治関連のイベントへの期待感から、年末に向けてのポジション調整が続いており、ドルはショートカバーが優勢となっている。ドル円にとってはポジティブな流れではあるものの、積みあがった円ショートの巻き返しに相殺され上値は相変わらず重い印象だ。

 目先は10日線が111.95円付近、100日線が111.60円付近に来ており下値サポートとして意識される。上値は112.45円付近に21日線が来ている状況。きょうの下げで21日線が再び重くなっている模様。

 一方、ユーロドルは1.17台後半まで下げ幅を拡大。ドルのショートカバーが優勢となる中、ユーロドルはロングポジションの手仕舞い売りが続いている。前日は1.18ドル台を強固に維持したが、きょうはブレイクしている格好。1.1795ドル付近に来ている21日線と100日線も下回る動きとなっており、下値警戒感も高まっている。

 ただ、市場ではあくまで年末に向けた調整の範囲で、押し目を買い下がる行動を推奨する向きは依然として多いようだ。

 カナダドルが急落。カナダ中銀が金融政策を発表しており、声明で「利上げに関して注意深くなり続ける」との前回の文言を踏襲し慎重姿勢を強調した。

 先週のカナダの雇用統計が5年ぶりの強さを示したことで市場では、慎重姿勢を後退させるのではとの見方もあった。それだけにネガティブサプライズとなった模様。なお、雇用については「改善もスラックは残る」と言及。カナダ円は87.65円付近まで一時下落。

minkabu PRESS編集部 野沢卓美
 

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